みんなのケータイ

つながらない夏フェスの会場で考えた。やっぱりサブ回線があると安心かも

 最近、複数の友人から相次いで、サブ回線の導入について相談されました。筆者自身は複数の回線を契約していますが、それは複数の端末を使うためです。デュアルSIM対応のスマートフォンも持っていますが、1台に2つの回線をセットして使うのは海外出張時くらい。万が一のつながらないときに備えて、メイン回線、サブ回線を使い分けるということは、正直なところ、これまであまり考えたことがありませんでした。ですが最近は、「サブ回線があってもいいかも」と思い始めています。でもその理由は、KDDIの大規模障害があったからではありません。

 改めて状況を見渡してみると、以前に比べて最近はサブ回線を持ちやすい環境が整ってきているように思います。iPhoneを筆頭に、大手キャリアが販売する端末でも、物理SIMカードとeSIMの併用で、2回線をセットできるスマートフォンが増えていますし、大手キャリアのサブブランドやMVNOなど、安価な月額料金で利用できるサービスや、eSIMに対応するサービスの選択肢も広がっているからです。

 筆者の「iPhone 13 Pro」も今は、ドコモとpovo2.0の2つの回線が使えるようになっています。これは記事を書くためにたまたま、povo2.0をeSIMで契約したからなのですが、実はこの夏、そのおかげで助かったことが3回ありました。

 1回目は例の障害時。povo2.0がつながりにくい状態でも、ドコモの回線があったおかげで困らなかったのは確かです。

 2回目は音楽フェスの会場で、ドコモの回線が混み合ってつながりにくくなった時に、povo2.0で電話をかけることができました。普段とは違う電話番号を不審がって、友達がなかなか電話に出てくれないといったことはありましたが、おかげで広い会場でもちゃんと落ち合うことができました。

 3回目はまた別の音楽フェスの会場で、やはり一時的にドコモのネットワークが混み合って、決済アプリを使えないということがありました。アプリを起動してもQRコードがなかなか表示されずにじりじりしたのですが、データ通信をpovo2.0に切り替えたらこちらは難なく通信ができて、さくっと決済を終えることができました。

 音楽フェスのような大規模イベントの会場には、各キャリアとも移動基地局車などを配備して対応していますが、それでも会場の広さや場所、時間帯や混雑状況によって、一時的につながりにくくなることがあります。

「FUJI ROCK FESTIVAL」の会場に配備された、ソフトバンクの移動基地局車(2019年の取材時に撮影)

 一方で最近はイベントのタイムテーブルやリアルタイムのインフォメーション(急な変更やお知らせなど)を、専用アプリで配信するイベントが増えています。またグッズ販売や飲食ブースにも電子決済が積極的に導入されているので、つながらないと会場内で連絡がとれないだけでなく、イベントの最新情報が得られない、支払いができないといったことにもなります。

 そんな経験から、通信障害に備えてというよりは大規模イベントに備えて、「サブ回線があってもいいかも」と、思うようになりました。

 メインがドコモ系やソフトバンク系の場合は、サブ回線にpovo2.0をセットすれば、基本料金0円で必要なときだけプランをトッピングするという運用ができます。アプリから簡単に手続きができ、すぐに使い始められるのが便利。ただし180日間課金利用がないと、契約解除となってしまう点には注意が必要です。

メインがKDDI系の場合は、月額料金が数百円に収まるドコモ系のMVNOや月額990円のLINEMOミニプランなら、比較的負担が少なくて済みます。LINEMOには、イベント時にグループで連絡を取りあうのに欠かせない、LINEのメッセージやLINE通話が、データ通信にカウントされないというメリットもあります。

めったに起こらない(そうでないと困る)大規模障害に備えて、常にサブ回線を備えておく必要まではないように思いますが、もし夏フェスのような大規模イベントに参加する機会が多いなら、そのシーズンだけでもサブ回線があると安心かもしれません。