みんなのケータイ
デュアルSIMでできなくなってしまった、音声とデータ通信の同時利用
【Galaxy Z Fold4】
2023年8月7日 00:00
一部スポット、時間帯にドコモの通信品質が低下しているのは、既報のとおり。特に、東京都心部のターミナル駅やその周辺では、速度の落ち方が顕著だ。筆者が職場にする渋谷駅周辺は、代表例に挙げられているほど。一定の対策が完了した今でも、通信ができないレベルまで混雑してしまうことがある。
こうした事情を踏まえ、筆者はメインで使うデータ通信の回線を、ドコモからソフトバンクに切り替えることにした。
とは言え、電話やSMS、+メッセージを使っていたメイン回線を丸々MNPしてしまうのは少々手間がかかる。そこで、Galaxy Z Fold4のデュアルSIM機能を活用して、ドコモ回線を残しつつ、データ通信にソフトバンクを活用することにした。幸い、7月にirumoが始まったことで、ドコモならコストを抑えながら回線を維持できるようになった。
これまでも、ソフトバンクは予備回線として「データ通信専用3GBプラン」を使っていたが、このSIMカードを「メリハリ無制限」に変更。SIMカードは別のものだが、回線種別としては、メインとサブを入れ替えるようにした格好だ。これなら、ドコモで電話をしつつ、ソフトバンクでデータ通信することができる。
これまでもソフトバンク回線は使っていたものの、あらためてメイン回線として使うと、東京都内での安定性や速度の速さには驚かされる。混雑しそうなターミナル駅周辺でも、比較的快適に利用できることが多い。
4Gからの周波数を転用した5Gエリアも含まれてはいるものの、自宅から事務所まで、ほぼ5Gでつながりっぱなしになる点も評価できる。ネットワーク品質に対して不満の声が多かった一昔前とは、状況が一変したと言えそうだ。
ただ、デュアルSIMで使っていると、少々戸惑うこともある。ドコモ回線で電話していると、ソフトバンク回線でデータ通信ができないのが筆者の困りごとだ。
それもそのはず、Galaxy Z Fold4は、DSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)もしくはDSDV(デュアルSIM/デュアルVoLTE)に対応しているが、この方式でできるのは、あくまで2回線でのスタンバイ(待ち受け)。音声通話のVoLTEもデータ通信の一種になるため、2回線、同時には利用できない。
2回線で同時にデータ通信を利用するには、DSDA(デュアルSIM/デュアルアクティブ)への対応が必要になる。Galaxy Z Fold4が搭載する「Snapdragon 8+ Gen 1」のモデムである「Snapdragon X65 5G Modem-RF System」がサポートしているのはDSDVまで。
DSDAは、「Snapdragon 8 Gen 2」以降に搭載される、第1世代のDSDAに対応した「Snapdragon X70 5G Modem-RF System」を待たなければならない。
とは言え、モデムだけでDSDAが実現するわけではなく、端末メーカー側の対応も必要になる。そのため、Snapdragon 8 Gen 2を搭載した23年登場のフラッグシップモデルも、DSDAに非対応の端末は多い。
Galaxyも例外ではなく、Galaxy S23シリーズもDSDAには対応していないようだ。キャリアやメーカーのスペックシートには、DSDVなのかDSDAなのかが記載されていないが、2回線同時利用の際には比較的重要な違いのため、ぜひ付け加えておいてほしい。
回避策として考えられそうなのが、転送電話サービスの活用だ。ドコモ回線にかかってきた電話を自動でソフトバンク回線側に転送してしまえば、電話とデータ通信の回線が同じになり、同時利用が可能になる。疑似的にDSDAのようなことが実現できるというわけだ。
転送電話もかけ放題オプションの対象になるので、オプションに加入していれば余計な通話料が発生することもない。
ただし、この方法だとソフトバンク側で通話できるのが着信時のみになる。自らドコモ回線で発信した場合は、当然ながらDSDVではデータ通信ができないので、少々中途半端なのが難点。
今のところ、別の端末でテザリングし、Wi-Fiにつないでから通信するぐらいしか解決策がない(が、それをするなら、もう1台の端末でデータ通信した方がいい)。対応機種がどこまで広がるか次第だが、今後の拡大に期待したい。