みんなのケータイ

Pixel Watchとwena 3

 スマートウォッチと言えばApple Watchというぐらいみんな使っていますが、iPhoneがメインでない場合は使いづらいので、私の場合はソニーのwena 3を愛用していました。Androidでも使えるスマートウォッチはいくつもありますが、私の場合はApple Watchと同じように決済を行えるのが最低条件です。

 それでも候補がいくつかありますが、個人的には「Google Payが使えるようになる」ことをずっと待っていました。それがまさかここまで待たされるとは思いませんでしたが、Google純正スマートウォッチ「Pixel Watch」が登場し、その直前にはWear OS向けGoogle Payが日本でも利用可能になったので、環境が整いました。

 Pixel Watchをヘッドとしてwena 3に装着し、2つを併用できないか。そんな観点でPixel Watchをチェックしてみました。

Pixel WatchでGoogle Payには期待していたのですが……

Pixel Watchの決済機能は使えるか

 期待した日本でのPixel Watchの発表。Google Payが利用できてFeliCaも搭載するのでSuicaも使える…というところまでは良かったのですが、iDやQUICPay、Suica以外の電子マネーには非対応で、クレジットカードはNFCを使ったタッチ決済しかサポートしていません。

 そもそもスマートフォン向けでもGoogle Payは、NFCによるクレジットカードのタッチ決済の対応が遅れています。三井住友カードや楽天カードのように、別途アプリを使ってカードをGoogle Payに登録したり、独自でNFCのタッチ決済対応をしているカードも、Pixel Watchでは使えません。

 クレジットカードとしてはタッチ決済対応のRevolutを登録し、そのチャージ元として何らかのクレジットカードを登録すれば、当面の対策にはなります。とりあえずは、Googleをはじめとした各社には対応を進めていただきたいところ。

Revolutを登録すれば、裏側のクレジットカードは問わないので、楽は楽です。チャージが必要なので、その点は注意が必要です

 Suicaに関しては、スマートフォンに登録していたSuicaを移行したことでオートチャージも使えて、ひとまず問題ない利用ができていましたが、当初チャージができない不具合がありました。手元では、今月下旬になって急にチャージができるようになったので、ようやくおおむね問題なく利用できるようになりました。

当初発生していたチャージ時のエラー。すでに解消したようです

 ちなみに、スマホのSuicaを移行すると、Suica ID番号がそのままPixel Watchに移行するため、JRE POINTの設定を変更する必要もなく、さらにSuicaの利用データもオンラインから取得できるので、会計ソフトの設定も変更する必要がありません。これが実は便利で、「短距離の都度利用」や支払いでの利用だけなら、メインSuicaとしては十分に使えます。

Suicaで改札を通過。ヘッドをぶつけなくてもかざせば反応します。Suicaの場合はGoogle Payを起動して画面に券面を表示しなくても決済できます。ご覧の通りwena 3も装着しているので、腕を逆に向けるとwena 3のSuicaでの決済になります。特に便利なわけではありませんが

 いずれにしても、まだまだGoogle Payは中途半端というのが正直な感想です。

wena 3とは両立できる?

 さて、wena 3ですが、使っているのは「wena 3 Rubber」で、時計のヘッドを外せばスマートバンドとして常時装着できる重量になります。1週間以上の電池持ちなので、充電の手間が少ないのもメリット。Suica、楽天Edyを使えるのが強みですが、クレジットカードに関してはiOS用のおサイフリンクアプリを使ってiDとQUICPayを登録する方式です。

少し前までは、外出時にはこのようにヘッドを乗せていました。これはHUAWEI WATCH GT 2 Pro。wena 3と同じくバッテリー持ちがいいのですが、決済機能は非搭載

 これはGoogle PayやApple Payとは異なる、旧式のおサイフケータイの仕組みで、カード登録には書面で送られてくる番号を入力するなどといった手間がかかります。QUICPayは旧式なのでサービス終了していて、結局wena 3でもクレジットカードはほとんど使えません。

 それでも、時間を知る、スマホの通知を見る、センサーで睡眠、歩数などを知る、といった使い方においてはwena 3でも十分。自宅の鍵を開け閉めするQrio Lockに対応している点も強み(というか、このためにQrio Lockを購入した)。

 Pixel WatchはQrio Lockに非対応ですし、そもそもアプリ数も物足りません。Pixel Watchの登場で、対応するアプリが増えるというのですが、今のところはまだその気配がありません。

 決済機能としては中途半端な2つのヘッドを組み合わせる意味があまりありません。wena 3 Rubberは、ラバーの上にヘッドを乗せるため、背面のセンサーが使えなくなります。そのため、Pixel Watchのセンサーが特に優れているともったいない状態です。

 そこで、左腕にPixel Watchとwena 3の2つをそれぞれ装着して、しばらく併用して検討してみました。見た目はちょっと不自然ですが、まあ、ヘッドが2つあるよりは目立ちにくいでしょう。

 併用してみると、やはりwena 3のバッテリー持ちは優秀。Pixel Watchは1日1回の充電が必要です。基本的には風呂(シャワー)に入る前に充電して、出たら再び装着することで、今まで足りなくなったことはありません。そのまま睡眠センサーのチェックのために2つを付けたまま就寝していました。

とある日のwena 3アプリとPixel Watch(Fitbit)の計測データの比較
こちらは睡眠データ。Fitbitの方がグラフィカルではあります

 全体的に歩数は多めに計測されているようです。睡眠時間は、合計時間に目覚めた状態が含まれていないようですが、日によって寝入りの時間の認識が異っていて、この辺はセンサーの差かアルゴリズムの差でしょうか。まあ、そこまで細かい精度を求めているわけではないですし、それなりに似たような睡眠状態になっているようです。

 歩数に差があるのは少し気になるところですが、まあ、どのみち細かく毎日チェックしているわけでもないので、特に問題はありません。測定できる項目も大差はありません。

 それならばwena 3にPixel Watchのヘッドを乗せる、という使い方もありなのですが、問題はPixel Watchで決済を使おうとすると、毎回PINかパターンによるロック解除が必要という点です。一度ロックを解除すると、装着している限りはロックが解除されているのですが、wena 3にヘッドを乗せてセンサーをふさいでしまうと、装着を認識してくれません。

wena 3の上からPixel Watchを装着して、ヘッドを乗せた状態を疑似的にテスト。やはり装着認識はされません。ただ、Google Payのリーダーにかざす状態にしていると、普段よりも長時間、画面が点灯しているようです(=ロックされない)。どのみちクレジットカードでの決済は画面表示が必要なのでレジ待ちの間にロック解除。Suicaは改札に近づいた段階でロック解除しておけば対処はできそうですが……

 安全性を考えれば意味は分かるのですが、決済のたびに毎回ロック解除するというのも手間です。スマホの指紋センサーというのは便利だと再認識するところですが、これが悩ましい。Apple Watchも、手首検出は恐らくセンサーを使うでしょうし、iPhoneのロック解除とApple Watchのロック解除を連動する設定も、それならそのままiPhoneで決済すればいいという感じで、事情はPixel Watchと変わらなそうです。

 そもそも、Pixel Watchはヘッドにあるバンドの接続部が特殊な仕組みで、そのままではwena 3に装着できません。サードパーティが一般的なバンドが装着できるアダプターあたりを出してくれればいいのかもしれません。

 要するに、現時点でwena 3 RubberとPixel Watchの決済は、両立させることが難しい、というのが結論でした。Google Payがおサイフケータイを完全サポートしてNFCのタッチ決済対応カードが増えたら、改めて悩むことになりそうです。