みんなのケータイ

iPhoneのストレージを占める写真をどこに保存するべきか

筆者のiPhone内の最古の写真。たぶんiPhone 3Gの撮影サンプル。このあと、数年分の写真がバックアップ忘れで抜けてる(スマホで撮る習慣がなかった時期だけど)

 10年以上もiPhoneを使い続けていると、写真ライブラリに膨大な量の写真やスクリーンショット、動画が貯まる。初期のiPhoneの写真は行方不明になっていたりするが、クラウド保存になって以降の写真は、ほぼほぼiCloudの写真ライブラリに残っている。

 そうした写真が残るのは面白いし便利だし、思い出になる。なにかにつけてスマホを取り出して写真を撮るようになってからまだ10年も経っていないが、思い出深い旅先での食事から街中で見かけた珍しい看板まで、さまざまな日常がそこに残っている。

 いまから数十年後、こうして撮り続けた写真を見返しながら、沖田艦長みたいに「何もかもみな懐かしい……」とつぶやく日が来るのが楽しみでならない。

iCloudのストレージ状況。写真以外ではメール(20年分)とバックアップ(端末数が多い)が多い

 しかし写真を撮り続けていれば、総保存容量が大きくなる一方だ。筆者は家族も友だちも居ないので、そこまでたくさんは撮っていないが、すでに写真ライブラリは24.7GBほどのiCloudストレージを使っている。

 クラウドストレージは継続的にコストがかかる。8月現在のiCloudの価格は、50GBで月額130円、200GBで月額400円、2TBで月額1300円。筆者はまだ200GBプランだが、この上の2TBになると、「そこそこかかるなー」という金額になってくる。

 こうしたクラウドストレージ料金を節約するために、iCloudの写真ライブラリを使わない、あるいは写真データを外部のストレージに移した、という人も少なくないと思うが、本当に消えて欲しくない写真・動画であれば、よく考えて保存しないとダメだ。「デジタルデータは不変」みたいなイメージもあるが、実際のところ、デジタルデータはけっこう消えるので、紙焼きした写真のように数十年後も見られるとは限らない。

  ではどうすればよいか

 SDカードのような半導体ストレージも、HDDのような磁気ストレージも、DVDのような光学ストレージも、いずれは劣化や故障で読み取れなくなる。また、そもそも規格が廃れて読み取れなくなる可能性だってある。

 こうした記録メディアに自分で保存するなら、消えること前提で複数のバックアップを取るようにして、定期的にデータが壊れていないかをチェックしたり、新しい規格のストレージに移し替えたりする必要がある。継続コストがかかるし、手間もかかるが、こうしたコストや手間も惜しむと、残念ながら数十年後にデータが残っている確率は、かなり低下してしまう。

 初期コストをかけるなら、RAID1以上でデータを保護した外部HDDやNASという手もある。NASは大雑把に言えば自宅内ネットワークに設置できるデータ保存サーバーだ。ちゃんとしたNASなら、エラーを監視・訂正する機能もあるので、データ残存性は高い。しかしNASをちゃんと構成すると、iCloudの20年分とかのコストがかかるし、10年とか経てば買い換えや補修に追加コストがかかるので、スマホのデータ保存のために導入するのはコスト的に割に合わない。

筆者宅のNAS。良いか、筆者が死んだときには中身を見ずに消すのだぞ……消すのだ……

 ちなみに筆者はというと、仕事のデータ保管などのためにNASを運用しているので、iPhoneで撮影したスクリーンショットなんかは、NASに移している。スクリーンショットは可逆圧縮のPNGなので容量が大きい。仕事でも撮るので、2010年ごろから2021年まででスクリーンショットが3979枚、約8GBと、けっこうな容量になっている。

 しかしNASにTB単位で空き容量がある筆者の環境でも、iPhoneで撮影した写真・動画を全部NASに入れてiCloudの料金を節約しようという気にはならない。iCloudのラクさと便利さを考えると、現在契約中の200GBで月額400円のプランの方が良いとしか思えないからだ。

 まずこうしたクラウドサービスは、運営側がサーバーのメンテナンスをしてくれている。ディスクが壊れたら交換しているし、不正アクセスを防ぐようなシステムも整えてくれている。それを考えると、実はコスト的にそんなに悪くない。

 手軽さも桁違いだ。iCloudなら撮った写真は自動同期される。バックアップを忘れることなんかはない。

 そしてiCloud上の写真や動画は、同じApple IDでサインインしているiPhone/iPad/Macに同期し、どの端末からも見られる。新しいiPhoneを買ってきても、Apple IDでサインインするだけで、古い写真を見られるようになる。

年単位で撮りためた写真を後で見返すのも、クラウドに集約しておけば簡単

 あとアップルの「写真」アプリで見られるというのは、なかなかに使いやすい。普段は日時順に並べて表示しているが、10年以上も撮りためたライブラリから写真を探すには、地図上で表示したり、ワード検索したりできるのが非常にありがたい。あるいは過去の旅行写真を自動でレコメンドする「メモリー」の機能も、なかなかに楽しい機能である。これらはSDカードなど外部ストレージでは難しい機能だ。

 「写真」アプリのワード検索は、そこまで精度は高くないが、そこを含めて個人的に好きな機能だ。筆者は外食時に写真を撮ることが多いので、料理名で大雑把に検索すると、過去に食べた料理が表示されるが、よく食べる近所のチェーン店から思い出に残る逸品まで引っかかってくれて楽しい。

「写真」アプリの検索機能。「カレー」じゃないものも多いけど、そこを含めて楽しい

 撮った写真をどこに保存するべきか。確実性、どのデバイスからも見られるアクセス性、地図やワードなどによる検索性、これらを考えると、 iCloudの写真ライブラリ機能は、ほかには代えがたい便利さ がある。とくに保存の確実性は、ヘタに自分で管理するより、iCloudの方がマシだ。コストはかかるが、何十年後かに思い出を振り返るために、iCloudに頼っていきたい。ただ、写真量は増え続けているので、それに合わせてiCloudのコストも下がり続けてくれるといいんだけど……。