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M1チップは魅力的だが……私が「iPad Air」買い換えを見送った理由

 「iOS15.4」でついに、マスクをしていてもFace IDが使えるようになりました。これまでもApple Watchがあれば、マスクをしていてもロック解除ができましたが、今度はロック解除だけでなく、電子決済やアプリにログインする際の認証なども可能に。おかげでレジ前でマスクを外したり、あわててパスコードを入力したりせずに済むようになったのは、本当にうれしい限りです。

 Face IDが使いやすくなったのは有り難いのですが、一方でTouch IDにもまだまだ根強い人気があります。

 筆者の友人にも、Touch IDが使いたいという理由で「iPhoneはSE一択」と公言している人がいます。筆者自身も「iPad Air」でTouch IDを使用していますが、ノールックでロック解除ができるのは確かに便利。ただし「Smart Keyboard」にセットして使っているときには、Face IDが使えるといいのになと思ってしまいます。

 Androidスマートフォンには顔認証と指紋認証、どちらも使えるものが多いので、Apple製品もそうならないかなぁ……と常々思っているのですが、先日発売された新しい「iPhone SE」や「iPad Air」も、引き続きTouch IDだけでした。なぜこんな話しをしているかというと、もし「iPad Air(第5世代)」がFace IDも使える仕様になっていたら、「iPad Air(第4世代)」から買い換えていたと思うからです。

 筆者愛用の第4世代と、新しい第5世代の「iPad Air」の間で、最も大きく進化したのはチップセットです。

 第5世代では、「iPad Pro」と同じM1チップが採用されたのですが、これはコストパフォーマンスの面からもかなり魅力的。もし前モデルのユーザーでなければ、あるいはゲーマーだったり、動画編集をバリバリやる人だったら、間違いなく飛びついていたでしょう。

 ただ、実際の筆者のiPadの用途、たとえば本を読んだり、動画を見たり、原稿を書いたり、校正したりといった比較的ライトな使い方では、今のA14 Bionicチップでもまったく不満はなく、5G対応とあわせて考えても、前モデルから買い換えるモチベーションにはなりませんでした。

 チップセットや5Gへの対応よりもむしろ、心が揺さぶられたのはフロントカメラの進化です。

iPad Airを横に立てた際の第4世代のZoomの映り方。ディスプレイの真正面にいるのに、フロントカメラが向かって左端にあるため微妙なスペースが……

 12メガピクセルの超広角カメラ、何より「センターフレーム」に対応しているのは、本当にうらやましい限り。というのもこれまで、「iPad Air」を横向きの状態で立ててZoomなどのビデオ会議に参加する際には、いつも収まりの悪さを感じていたからです。横向きだとフロントカメラが左側にくるため、自分では真っ正面にいるつもりでもスペースができて、画面の端に寄ったような画角になってしまうのです。

 その点、センターフレームがオンになっていると、自動的に自分がセンターにくるように調整してくれるので、気持ちよく画面の中央に収まることができます。自意識過剰かもしれませんが、ビデオ会議中の自分の映り方ってやっぱり気になるので、会議に集中するためにも、この進化は案外大きいと思います。

第5世代ではカメラがより広角に。さらにセンターフレームをオンにすると、自動的に顔が画面の中央に収まるようフレーミングされます

 もうひとつ付け加えるなら、今回の新しい「iPad Air」はカラーも明るくて魅力的です。そんなわけで、筆者の買い換えモチベーションレベルは一時、かなりのところまで上昇しました。仮装大賞の採点パネルでいえば、あと一歩で合格ラインというところ。これにもしFace IDがあれば、確実にファンファーレが鳴っていたと思うのですが、残念ながら今回はあとひと押しが足らず。「購入」ボタンを押す手前で、踏みとどまってしまったのでした。