みんなのケータイ

iPhone/iPadと相性が良いどころか同じアプリが動くようになった最新Mac

【Mac mini(M1)】

ちょっとわかりにくいが、Mac miniはデスク天板にぶら下げているPCラックに置いている。旧モデル(下)と積み重ねても、まだNintendo Switchを置いたりする余裕がある

 モバイル製品ではないが、11月にMac miniを購入した。筆者は2005年のPower PC搭載モデルからMac miniを買い換え続けていて、今回のモデルは6台目のMac miniとなる。置き場所を選ばないコンパクトさ、ファン音の静かさ、外部ディスプレイへの接続性、高いコストパフォーマンスなどなど、Mac miniは筆者にとって最適な作業用パソコンなのである。

 今回購入したのは、この秋に登場したApple Silicon「M1」を搭載するMac miniだ。Apple SiliconはARMベースでアップルが独自開発した、iPhoneやiPadが搭載する「A」シリーズとは兄弟関係にあるようなプロセッサで、Apple Silicon搭載MacではiPadアプリが使えるようになっている。

 といっても、どんなiPadアプリでも使えるというわけではない。アプリ開発者が「Mac向けにも配信する」と許可したiPadアプリだけがMacのApp Storeに掲載される、という仕組みのようだ。

 MacのApp Storeに掲載されているiPadアプリは、いまのところあまり多くない。あまり多くないが、けっこう面白いというか興味深い状況だ。

PayPayアプリは解像度可変なようで、Mac上では自由なウィンドウサイズで実行できる(表示が乱れがちだが……)

 たとえばファイナンス系や決済系のiPadアプリは、そこそこMac向けにも配信されていて、たとえばQRコード決済アプリの「PayPay」も使える。「Mac上でPayPayとかどうすんねん」と思われるかも知れないが、ウィジェットも使えるので、残高確認に便利……かも知れない。

 仕事で使うような実用アプリは、もともとiPhone/iPad版とは別にMac版を販売しているものも少なくないし、クラウドサービスであればブラウザから使えるので、「Apple Silicon搭載Macならでは」というiPadアプリは多くない。Apple Silicon搭載Mac登場以前から、Mac向けアプリとiPhone/iPad向けアプリの開発環境は統合が進み、一緒に開発できるようになっているので、Macでも売れそうなアプリはすでにMac版も開発されているのだ。

OtterもMac上では自由なウィンドウサイズで使える。しかしブラウザからも使えるので、アプリの必要性はあまり高くはない

 たとえば筆者が使ったことのある実用iPadアプリのうち、Mac版アプリがないものとしては、音声認識アプリの「Otter」や「Smilingual」、「UDトーク」などがMac向けに配信されている。とくに「Smilingual」と「UDトーク」はアップデートでApple Silicon搭載Mac向けの調整もしている……ようだが、Mac版のApp Store上ではいまだに「macOSでは検証されていません。」と表示される。いいのかそれで。

Mac向け配信が許可されているiPadアプリは、Mac上のApp Storeから検索・ダウンロードできるようになっている

 あとはGoogle Authenticator互換の2段階認証アプリ「Authy」もMacで使えた。いちいちスマートフォンを立ち上げないで済むのがラク……かも知れないが、無駄にインストールするとセキュリティリスクがどう転ぶかなんとも言えないし、AuthyはApple Watchでも使えるので、Mac上で使えるようにする必要性も低い。

 ニュースなどの情報系や動画配信系のアプリは、権利関係もあるせいか、Mac向けにはあまり配信されていない。そもそもパソコンからだとブラウザで使えるサービスが多いので、Mac向けにアプリを配信するメリットは小さいだろう。

Radikoのアプリ。Mac上だとかなり小さなウィンドウで表示される。使えなくはないが、ブラウザからの方が便利かな……
食べログのアプリもMacから使えたが、iPhone版で(iPad版は存在しない)、ブラウザからアクセスした方がはるかに使いやすい

 情報系や動画配信系では、「Radiko」や「音泉」、「食べログ」といったアプリがMacからも利用できることが確認できた。いずれもパソコンならブラウザからの方が使いやすいが、ブラウザのタブを開いておかないで済むのはメリット……かも知れない。しかしこの3つのアプリ、たまたまではあるが、実はiPad上でもiPhoneアプリを使う仕様なので、表示が小さくて使いにくい。

 Mac上でiPadアプリを使うというのは、筆者もまだいろいろ試している段階だが、Macからアンインストールできない、あるいは配信はされているけどまともに起動しない、表示が乱れてログインできない、などの不具合にも少なからず遭遇している。現段階では実用性はそれほど高くないという印象だ。

Macではウィジェットは画面右端から呼び出す形式。一番下にPayPayウィジェットを追加した。スマホを立ち上げずに残高確認できるのは便利……かも?

 しかしそれでも、iPad向けアプリがMacで使えるようになったのは、非常に面白いと思う。まだ使えるアプリが少なく、不具合も散見されるが、アプリ開発者側が実用性を見いだしてくれれば、Macでも正常に動作するように調整されるiPadアプリも増えてくるだろう。

 また、現時点ではグーグル(Google)やヤフー(Yahoo!)といった大手のアプリがほとんどMac向けに提供されていないので、そのあたりのMac対応も期待したい。パソコンのブラウザから使えるサービスも、アプリなら通知やウィジェットが使えるので、その方が良い。Macの使い勝手を大きく向上させるようなアプリの登場に期待したい。