みんなのケータイ
使うなら「Photography Pro」一択、予想以上に楽しい「Xperia 1 II」での撮影
【Xperia 1 II SO-51A】
2020年10月23日 06:00
「Xperia 1 II」が他のスマートフォンと大きく違うのは、カメラの開発思想かもしれない。
特に、αのユーザーインターフェイス(UI)をタッチパネル前提のスマホに落とし込んだ「Photography Pro」を使うと、その差を実感することができる。カメラのように横位置で構え、シャッターボタンを半押ししてフォーカスをロックし、そのまま押し込んで撮影という流れは、デジカメの操作感に近い。
これまでの“スマホ風カメラアプリ”もそのまま搭載されているが、Xperia 1 IIを購入してからは、すっかり起動しなくなってしまった。長押しで起動するカメラアプリもPhotography Proに設定し、静止画の撮影にはもっぱらこのアプリを利用している。発表当初は、「スマホでここまで複雑な設定をしながら撮るかな?」とも思ったが、実際に使ってみると、これが思いのほか楽しかった。露出を変えたり、シャッター速度を変えたりしながら、撮影に工夫ができるからだ。
とは言え、そこはバランスで、撮影時に設定をいじくりまくっていると、肝心のシャッターチャンスを逃してしまう。そのため、筆者は基本的には「P(プログラムオート)」に設定して、ISOもAUTOで固定しながら、シチュエーションに合わせて露出だけを上下させるようにしている。どちらかと言うと、人物の場合は、暗くなるより、わずかに露出オーバー気味の写真が好みのため、「+0.7」~「+1.0」で撮ることが多い。
晴れた屋外で撮ると、以下に掲載したように肌が透き通った質感になるが、こうした写真を撮るのは、ほかのスマホだとなかなか難しい。特に、最近のAIで強力に補正する機能を搭載したスマホの場合、どうしても色味がコッテリとしてしまう傾向がある。それに対し、Xperia 1 IIの仕上がりは非常に素直な色合いだが、こと人物写真に対しては、こちらの方が好みに近い。瞳AFの陰で、しっかり目の位置にピントが合っている点も、この端末ならではだ。
秒間20枚の連写ができるのも、Xperia 1 IIならでは。ライターの中山氏は猫を撮るときに活用していたが、筆者は子どもの撮影に多用している。動いている子どもを連写で撮ると、まるでパラパラマンガのように一瞬一瞬を切り取ることができ、躍動感のある写真が撮りやすい。連写で撮った写真はバラバラに保存されるのではなく、Googleフォトで見ると1つの写真の中に格納されるため、同じような写真だらけになってしまう心配もない。
ただ、Googleフォトだと、連写で撮ったうち、何枚かを残すのが難しい。連写で撮った写真は選択して残したり、捨てたりといった操作に対応しておらず、1枚残すか、すべて捨てるかの2択になってしまう。2、3枚残そうと思ったときには、ファイルアプリで「DCIM」内にある「PHOTOGRAPHY_PRO」フォルダを開き、「BURST」を選択しなければならない。Googleフォトだけで写真管理が完結しないのは、ぜひ改善してほしいポイントだ。
上記のように、基本的には「P」モードで露出を上げ気味に撮ることが多いが、この設定のままだと、室内などで写真が暗くなりすぎてしまうことがある。そのようなときには、「S(シャッター速度優先)」モードに変更している。スローシャッターにすれば真っ暗な室内でも被写体を映し出すことができるし、多少暗くなってもよければ、シャッター速度を上げて被写体ブレしないように撮影することもできる。
こうした工夫を簡単にできるのが、Photography Proの利点と言えるだろう。「プロモード」のように、パラメーターの変更をできるスマホはほかにも存在するが、普段使っているデジカメと作法が大きく異なるため、なかなか使いこなすのが難しい。Xperia 1 IIのPhotography Proなら、ある程度高機能なデジカメを使ったことがあれば、スムーズに操作を覚えることができ、各メニューが何を意味しているのかも分かりやすい。シャッターを押すだけでそれなりにキレイな写真が撮れるという簡単さはないが、工夫に楽しさを見出せる人にはお勧めできそうだ。
静止画撮影には欠かせなくなったPhotography Proだが、残念ながら、動画撮影には対応していない。そのため、動画を撮影しようと思ったときには、標準のカメラアプリかもう1つのプロ向けアプリ「Cinematography Pro」の出番になる。ただ、Photography Proがある程度デジカメに習熟していれば使えるのに対し、Cinematography Proはよりガチな人向けのアプリ。それもそのはず、Cinematography Proはソニーのシネマカメラ「CineAlta」のUIや絵作りがベースになっている。
Photography ProがProとうたいつつセミプロや素人でも使えるのに対し、Cinematography Proは文字通りプロ向けというわけだ。さすがに筆者も、これを使いこなすのは難しいし、身もふたもないことを言えば、そもそも子どもの映像を撮るのにシネマクオリティは必要ない(笑)。αでも動画は撮れるため、Photography Proに動画モードがあってもいいし、同じソニーでもCineAltaではなく「Handycam」程度であれば、普段使いができそうだ。「Xperia 1 III」では、ぜひ動画撮影のクオリティアップと簡易化の両立にも取り組んでほしい。