みんなのケータイ
画面を見せるだけの「スマホ1日乗車券」を函館で使ってみた
【Galaxy S20 5G SC-51A】
2020年10月15日 06:00
北海道では、道南地域の交通事業者(バス、鉄道、路面電車、フェリー)と連携し、地域交通の活性化を図る、MaaS(Mobility as a Service)の実証実験「DohNa!!」(ドーナ)が1月30日~2月末に行われ、その一環としてスマートフォンなどで購入・利用できる「スマホ乗車券」が発売されました。
この実証実験は、交通事業者が公共交通データの標準フォーマット(GTFSデータ)をGoogleに送信し、Googleマップ上で経路や運賃、ダイヤの検索を行えるようにするもの。さらに、Googleマップでの経路検索画面から、1日乗車券などの「スマホ乗車券」の販売サイトにもアクセスできるようになりました。これにあわせて、函館市はスマートフォンで購入・利用できるスマホ乗車券を発売したのですが、実証実験終了後もスマホ乗車券の販売は継続されています。
スマホ乗車券は「DohNa!!」のWebサイト上で購入でき、支払いはクレジットカード(Visa/Master)のみに対応します。購入後は、3日以内に「利用開始」ボタンをタップすることで有効になり、3日以内に利用を開始しなかった場合は、自動的にキャンセル扱いとなり、無手数料で支払いに利用したクレジットカードに返金処理が行われます。
現在購入できる「スマホ乗車券」は、路面電車(函館市電)全線が乗り放題の「市電1日乗車券」「市電24時間乗車券」、函館バスの指定エリアが乗り放題の「函館バス専用1日乗車券カンパス」「カンパス24時間券」、函館市電の全線と函館バスの指定エリアが乗り放題の「市電・バス共通1日乗車券」「市電・バス共通2日乗車券」の6種類です。
初回利用時には登録が必要で、氏名と居住都道府県の入力が必須となっています。購入したチケットの利用方法は、スマートフォンのブラウザ画面上に表示された券面を見せるだけというシンプルなもの。乗務員がスマホ乗車券の存在を知らなかったらどうしよう……と思っていましたが、何の問題もなく利用できて安心しました。
なお、有効期限を迎えると、券面には「VOID」(無効)と表示され、利用できなくなります。QRコードを利用した認証機能も用意されていますが、これは現在使われていないようです。実証実験時には、一部のバス路線で期間限定で利用されていたようです。
ほかの地域での鉄道や軌道における同様の取り組みを見ると、長崎市内を走る路面電車の長崎電気軌道では2013年からスマートフォンを利用した1日乗車券を販売しています。こちらは専用のアプリをインストールしなければならず、旅行時だけインストールというのも少し手間がかかります。
最近では、ジョルダンが提供する「乗換案内」アプリ内で購入・利用できるフリーパスを販売する事業者も存在します。乗換案内アプリ内で利用できるという点では、専用アプリと比べると「利用してみようかな」と思いやすくなりますが、使っていないユーザーにとっては、何個も乗換案内アプリをインストールしたくないという人も多いのではないでしょうか。
「DohNa!!」のシステムを提供するウェルネットでは、JR北海道などの鉄道路線で「スマホ定期券」を提供していますが、こちらは専用のアプリを利用します。定期券のように、高額でいつも使うようなものであれば、専用アプリでも問題ないと思いますが、観光などで限られた日数しか使わないのであれば、ブラウザだけで済ませられるほうが利用者にとっても取っつきやすいのではないでしょうか。
ちなみに、函館市電では通常の紙タイプの1日乗車券は、利用する日付をコインなどで削るスクラッチタイプのものが利用されています。スマホ乗車券を利用することで、1日乗車券の購入のために販売窓口に訪れる必要もなく、小銭を持ちあわせておらずスクラッチを削れないというようなトラブルに巻き込まれる心配もなく、自身のスマートフォンだけで1日乗車券を購入・利用できるのはかなり手軽でした。紙のチケットにも、旅情を感じられたり後から見返せるなどのメリットはありますが……まあこれは仕方ないかな。