みんなのケータイ
もはや難しくなくなった海外旅行時のSIM選び
2018年4月26日 06:00
ちょっと前までならば、海外に出かける前には現地のSIMカード情報を調べておくことが最も重要だった。現地でネットにつながらなくては仕事だけではなく地図やお店検索もままならないからだ。現地での食事はスーパーに行けば食料品が手に入るし、移動もコストはかかるがタクシーに乗ればなんとかなる。だが通信環境だけはあらかじめ下調べしておかねば現地で何もできなくなってしまう恐れがある。
ところが今や、世界各国で使えるプリペイドSIMの種類が増えている。日本でもアマゾンで購入できる、タイのAISのグローバル対応SIMなどは、現地でプリペイドSIMを買うよりも安上がりなこともある。事前に買っておけるので、現地で通信事業者の店で行列に並ぶ必要もない。プリペイドSIMは日本で買っておく、そんな時代なのだ。
しかし、忙しいと事前にSIMを買う余裕もなくなってしまう。筆者は4月中旬、ミラノとハノーバーへ出かけたが、直前までバタバタしてしまい現地で使えるSIMを買う時間が無かった。ちなみに筆者は香港在住だが、1月に引っ越しした街は電脳街。SIM屋台もあり世界中のSIMがいつでも買える状況だ。いつでも買えるとなると「また次でいいや」と考えてしまい、気が付けば海外への出発時間直前になってしまうのだ。
てなことで香港を出発し、まずは乗り継ぎ地のドーハへ到着。たしかカタールの事業者、Ooredooは世界各国で使えるプランをだいぶ前から出していた。最近ここのプリペイドSIMを買っていないので久々に購入してみたところ、SIMの基本料とグローバルデータ1GBで4000円ほどだった。1GBでこの値段はいまとなっては安くはないが、乗り継ぎ地で訪問先の国でも利用できるSIMが入手できるのはありがたい。
さて、ミラノに到着してさっそく通信事業者の店へ。ところがミラノ中央駅のTIMはプリペイドSIMが品切れ。Windは客が多すぎて待ち時間は1時間くらい。いくら現地のプリペイドSIMの料金を調べておいても、このように現地で買えない、買いにくいことはよくあることだ。しかたなく半日はOoredooを使いつつ、いくつかのTIMの店を回ってなんとかSIMを買うことができた。
料金は25ユーロで10GB。これだけあれば十分だろう。ミラノ滞在中はシェア自転車も使ったため、道案内などでスマートフォンのデータ通信は常に使っている状態だった。ホテルのネットも遅い時間があったが、そんなときはLTE回線を使ったほうが快適。ミラノの滞在はTIMのおかげでかなり助かった。
ミラノの後はドイツへの移動で、まずはケルンの空港に降り立った。ここでスマートフォンの電源を入れると、ドイツテレコムの電波を無事に拾った。EUのロー民業料金撤廃のおかげで、ミラノの10GBの余った分をそのままドイツで使えるのだ。しかも回線品質は一番いいと言われるドイツテレコム。ドイツでも予備にSIMを買おうかと思ったが、結局買わずにTIMのローミングだけでノートPCの接続も含め、すべてのデータ通信をまかなった。
アジア各国ではヨーロッパほど自由度はないものの、国を超えて使えるプリペイドSIMも多い。また日本の事業者の海外ローミングも安くなってきた。LCCのおかげで海外に出る敷居も低くなったが、海外でのデータ通信環境の準備も、もはや難しくなくなっている。現地の事業者の店に立ち寄る楽しみがなくなりつつあるのが個人的にはちょっと寂しいと感じるところである。