みんなのケータイ

旅先で気をつけたいWi-Fiのセキュリティ

 年末年始ともなると、旅行などで海外に出かける人が多い。海外でのスマートフォンの利用については、SIMフリー端末やSIMロックを解除した端末を用意して、現地でSIMカードを調達というのが定番だったけど、本コラムでも多くの著者陣も触れているように、最近は短期間なら、24時間980円で利用できるauの「世界データ定額」が便利。NTTドコモの「海外1dayパケ」は24時間あたりのデータ通信量が30MBに制限されているけど、auの対抗上、国と地域限定ながら、30MBを超えても通信速度が制限されないキャンペーンを実施している。ソフトバンクも榛葉副社長にインタビューしたとき、「検討はしていますよ」と話していたので、来年あたりは国際ローミングサービスも24時間980円のプランが出揃うことになるのかな。

 こうした海外データ定額サービスのおかげで、少しリーズナブルになった海外でのスマートフォン利用だけど、それでも渡航先でのデータ通信量を節約するために、よく利用するのがホテルなどのWi-Fiサービス。これも国と地域によって、利用するスタイルはさまざまだけど、意外に多いのがパスワードなしで接続できるWi-Fiサービス。特に、アジア圏は多いような印象がある。パスワードを必要としないため、誰でも簡単に接続できる反面、Wi-Fiの無線通信部分が暗号化されていないため、第三者が通信内容を傍受できてしまうというリスクがあり、セキュリティ上、好ましくない。

 かつては国内でも暗号化なしのWi-Fiスポットが数多く設置されていたが、最近は総務省からの指導も明示されるようになり、徐々に暗号化なしのWi-Fiスポットは減りつつある。そう言えば、ソフトバンクはWi-Fiスポットを設置しはじめたとき、暗号化なしのWi-Fiスポットだったため、「通信事業者として、それはダメでしょ」って指摘してたけど、当時は「暗号化なしでも問題ない」という姿勢だったのがようやくここ数年で方針を改め、暗号化なしのWi-Fiスポットを改修し、ちゃんとした暗号化されたWi-Fiスポットに切り替えている。

 さて、話は戻って、暗号化されていないWi-Fiスポットをどうするか。安全なのは「使わない」ってことになるけど、それじゃ意味がないので、そこで使うのがVPN(Virtual Private Network)で接続するという方法。以前にも本コラムの「iPad 4のWi-Fiをどこでも安全に」でVPN接続の話題を書いたけど、要するに、ひとまずはホテルなどのWi-Fiに接続し、そこから安全なVPNサーバーに接続して、すべての通信はVPNサーバー経由で利用するわけ。

 各携帯電話会社も同様の対策に乗り出していて、auはauスマートパスプレミアム会員向けに「Wi-Fiセキュリティ」というサービスを提供している。これはAnchor Freeが提供する「Hotspot Shield」を利用したもので、設定すれば、安全ではないWi-Fiスポットに接続したとき、自動的にVPN接続が有効になるという仕様。ただ、ひとつ残念なところがあって、閲覧できる(接続できる)のは日本のサイトのみに制限されていて、もっとも使いたいと予想される中国での利用には対応していない。

 NTTドコモはセキュリティサービスの「ドコモ あんしんスキャン」の追加機能として、「セーフWi-Fi」の提供を開始した。こちらは危険なWi-Fiスポットに接続したときに警告を表示するというサービスだが、VPN接続を提供してくれるわけではなく、あくまでも警告のみ。ソフトバンクが提供する「セキュリティチェッカー powered by ZIMPERIUM」も同様。

NTTドコモの「あんしんスキャン」に追加された「セーフWi-Fi」では危険なWi-Fiスポットに接続したときに警告を表示してくれる。ただし、VPN接続などは提供されない
auがスマートパスプレミアム会員向けに提供する「Wi-Fiセキュリティ」。HotSpot Sheildのサービスをベースにしたものだけど、国内のサイトを接続するときしか適用されないのが残念。画面はGalaxy S8+で接続したときのもの
ノートンが提供する「ノートンWi-Fiプライバシー」。最初の7日間は無料で試用することができる

 ボク自身は前述のVPNサービスを利用しているし、自宅にVPNで接続できる環境も整えているけど、ごく普通のユーザーにとって、自宅のVPNで接続するってのはちょっと敷居が高い。そこで、市販のセキュリティ対策ソフトが提供している「Wi-Fiセキュリティ」アプリを試してみることにした。今回試したのは「ノートンWi-Fiプライバシー」という製品。1年1台版が2990円、1年3台版が3490円、Google Playでの定期購入は年額3490円だけど、Amazonなどのオンラインショッピングで購入すれば、3台版を3000円以下で購入できるので、そちらがおすすめ。

Google Playで購入することもできる。ただし、Amazonなどでオンラインクーポンを購入した方が割安かも……
正しくアクティベーションされると、初期設定時に接続リクエストが表示される。今後はVPN接続時にステータスバーにカギのアイコンが表示される
ベトナム滞在中はシンガポールに接続された。今のところ、動作も安定している
ホテルでも安心して、Wi-Fiを利用できる環境を構築できた。各携帯電話会社やMVNO各社でも提供してくれませんかねぇ

 セットアップは基本的に端末にアプリをインストールするだけなんだけど、もし、セキュリティ対策アプリでノートンアカウントを持っていれば、そこにパソコンでログインして、購入したプロダクトキーを入力しておくと、簡単。今、ベトナムのホーチミンに滞在中で、まさに滞在中のホテルのWi-Fiが暗号化キーなしなんだけど、無事にセットアップができて、VPNで安心して、インターネットを利用できている。一年に何回くらい利用するのかにもよるけど、海外渡航が多いユーザーはこれを機に、購入しておくのも悪くないかな。

 Wi-Fiのセキュリティはこれまで意外に軽視されてきたけど、スマートフォンでできることが増えている現状を考えれば、各社とももう少し本腰を入れて、対策して欲しいところ。VPN接続なんて、各社とも法人向けソリューションなどでも提供しているんだから、そろそろ個人向けに面ちゃんとしたサービスを構築して、提供して欲しいところですが、どんなもんでしょうか?>各携帯電話会社及びMVNO各社のみなさん