みんなのケータイ

「世界中これ1枚で」というAIRSIMを買ってみた

【HUAWEI honor 8】

これがAIRSIM(上が表面、下が裏面)。見た感じはごくごく普通の、香港MVNOのSIMという感じ(実際、SHINETOWN TELECOMという香港MVNOの製品)

 香港で、「AIRSIM」というSIMを購入しました。「世界中どこでも、その国のSIMとして使える」が謳い文句のデータSIMです。

 今は、どの国に行っても、比較的容易に現地のSIMを購入できます。とはいえ、行く先々でSIMを買うのも面倒。最近では、ヨーロッパのようにSIM自体買いにくくなっている地域も出てきているようです。かといって海外ローミングは費用がまだ高い。

 ということで、行った先で現地事業者のSIMとして使える「eSIM(Embedded UICC)」が3GPPでは標準化され、そろそろ製品も出てきそうな気配もあるのですが、まだ標準規格に沿った製品は出ていません。

香港の雑居ビルの2階で購入。売り場のお姉さんはとても丁寧に使い方を教えてくれました

 このAIRSIMは、その前世代に相当するのでしょうか。「独自のSoft SIM技術とOTA技術を組み合わせで、世界で現地SIMのように使えます」というのが謳い文句です。これは、海外旅行大好き筆者としては使ってみないわけにいきません。夏休みに香港、中国、台湾を周る予定でしたので、香港を最初の寄港地し入手、使ってみたわけです。

 が、じゃじゃ馬さんです。このSIM、とても扱いが難しいのです。

 スマートフォンにこのAIRSIMと専用のアプリを入れて、いくらかお金をチャージ。それから、使いたい地域、期間、いつからそこに行くかを設定しておけば、あとは現地に行って携帯電話の電源をON。ローミングもON。

 するとスマートフォンの接続状態表示は、中国では「CMHK|AIRSIM」、台湾では「T Star|AIRSIM」となり、現地のLTE回線につながります。……順調に行けば。

台湾桃園市にて。ここではなぜか順調にT Star-InternetのAPN表示が出て、すぐLTEデータ通信ができました。順調にこれができれば本当に便利なSIMなのですが

 ただ、このSIM、一度ネットワークにつながるとスムーズに使えるのですが、思うようにその準備ができません。世界で使えるSIMを実現するため、現地事業者のネットワーク情報などをSIMに持つべき情報を、スマートフォンとクラウドでやりとりする実装になっているようなのですが、それがなかなか成功してくれません。

 販売元の謳い文句では「現地についたら3分で使える」なのですが、筆者の場合、すんなりセットアップできたのは台湾での一度だけでした。香港、中国、そして日本と地域が変わった場合、何度も再起動が必要になっています。

 よくある失敗は、たとえば、このSIMでは、APN情報は現地にあったものが選択肢として表示されるのですが、なぜか別の地域の情報(よく表示されるのは「Vodafone Internet」)が表示されるといったことが起きます。

 それと、事業者が各エリア1つに限られている点もネックでしょう。現地でSIMを買うとき、筆者などは事前にチェックしてカバレッジエリアや対応バンドを気にして事業者を選ぶようにしていますが、それができないわけです。

 たとえば、中国本土で使用したのですが、筆者の場合現在メインに使っている端末は「NuAns NEO [Reloaded]」ですので、これが対応しているLTEバンドを使っている「China Unicom(中国聯通)」のネットワークを使うSIMを買うのが普通です。が、この端末は中国ではAIRSIMの指定する「中国移動」のLTEバンド39/40/41には対応していません。なので使えないわけです。このため、以前使っていた「HUAWEI honor 8」に挿して使いました。

 まぁ、まだまだ誰にでも勧められる海外SIMとは言えない感じです。ですが、ぜひ、この手のガジェット謎解きというか、趣味でスマートフォンをいじっていると言える人にはぜひチャレンジして、謎を解明してほしいと思います。おそらく、3GPP標準準拠のeSIMでも、リモートプロビジョニングの際などにその知見が生きるのではないかと、筆者は思うのです。