みんなのケータイ
ハイレゾDAPをスマホでフルコントロール、「HiByLink」の衝撃
【AXON 7】
2017年7月21日 06:00
つ、ついに「AXON 7」にヌガー、それもAndroid 7.1が来た! ……と興奮気味に原稿を書いているはずだったのだが、7月14日の“順次”提供開始から1週間近く経過した20日夜になっても、筆者の端末にOSバージョンアップの通知は来ていない。残念ながらこの話題は次回以降に持ち越しとなってしまった。
そこで、バージョンアップつながり、というわけではなないのだが……筆者が利用している小型のハイレゾ・デジタルオーディオプレーヤー(DAP)「Shanling M1」が、7月12日に公開されたファームウェアバージョン 3.0で、正式に「HiByLink」機能に対応した。この機能は簡単に言ってしまうと、スマートフォンのアプリで、DAPの「Shanling M1」をわりと自由に操作できてしまう機能だ。
「HiByLink」機能を利用するには、スマートフォン側では音楽プレーヤーアプリ「HiBy Music」(海貝音楽)を使用する。現在、このアプリのβ版で「HiByLink」機能が提供されており、β版アプリのapkファイル(Ver.3.0 ビルド5313)が、ファームウェア更新ファイルに同梱されていた。
「Shanling M1」は、ハイレゾ対応のDAPとしてはかなり小型の部類で、価格も1万5000円前後と、機能や性能を考えるとなかなかにリーズナブルな製品だ。BluetoothイヤホンやBluetoothリモコンを接続したり、逆にBluetoothレシーバーになったりできるなど多機能な点も特徴だ。
個人的に最も重要なのは、USB(Type-C)によるデジタル出力にも対応している点。ほかのポータブルDAC・アンプと組み合わせることで、「Shanling M1」はハイレゾ音源の再生とデジタル出力のみを行う、小型ハイレゾ・トランスポートとして機能させることができるのだ。
2017年1月25日に掲載した本コーナーのエントリーで、CHORD製のポータブルDAC・アンプ「Mojo」とその将来の展開について触れたが、この時、来るべき「Poly」までの“つなぎ”として購入したばかりだったのが「Shanling M1」だった。
CHORDの「Poly」は、ポータブルDAC・アンプの「Mojo」にドッキングする形でプレーヤー機能を追加し、その操作はすべてスマホなどの外部の機器から行うという、意欲的なコンセプトの製品。だが、例えば米国の販売店では「7月中に発売」と案内されている段階で、日本での発売はもう少し時間がかかりそうな状況になっている。7月中旬に開催されたあるイベントでCHORDブースのスタッフに「Poly」の状況を聞いたところ、すでに技適マークも取得済みとのことで、準備自体はできているという。ただし、生産ラインを最近発売されたほかの製品にまわしており、日本向けに出荷する「Poly」が生産され出荷準備が整うのは、もう少し後になるとのことだった。
そんな「Poly待機組」はまだおあずけ期間が長引きそう、という観測の中、6月末にベータ版として登場し、7月12日には正式ファームウェアにも組み込まれた「Shanling M1」の「HiByLink」機能とは、まさに、「Poly」が実現しようとしている(一部の)機能や操作性を先取りするような内容なのである。“つなぎ”として用意したはずの「Shanling M1」が、「Poly」のような機能を搭載してしまったのだ。ちなみに、「M1」より上位モデルの「Shanling M2s」も「HiByLink」に対応している。
前述の「Shanling M1」+「Mojo」という組み合わせや、こうしたプレーヤー+ポータブルアンプという形態は文字通り2段重ねでの運用になり、「手軽な持ち運び」という感覚を損なってしまうのが常だった(Shanling M1+Mojoはかなり小型の部類だが)。持ち運ぶだけならまだマシだが、曲を変えたい、アルバムを変えたい、プレイリストの次の曲にしたいなどと操作しようとすると、2段重ねの金属塊を厳重に保護されたポーチから取り出して操作することになり……「めんどくさいからこのままリピート再生しちゃお」などと本末転倒なことも起こる。
そうした多段運用ユーザーの憂鬱を完全に解消してしまうのが、「HiByLink」機能だ。スマートフォンの「HiBy Music」アプリ(β版)にて、「HiByLink」の項目で「Shanling M1」をペアリングすれば、すぐにアプリ上に「Shanling M1」に保存されている楽曲がズラリと表示され、再生など自由に操作できるようになる。
アルバムの選択や楽曲の再生、プレイリストの作成、ランダム再生など、一般的なスマートフォンの音楽プレーヤーアプリと同じ感覚で操作できる。というよりこのアプリはそもそも、スマートフォン用のハイレゾ対応のプレーヤーアプリ。操作性は標準的なレベルでまとまっている。
「HiByLink」接続時でもアプリの操作感覚はサクサクで、DAPと連携しているからといって反応がもたつくこともない。もちろん、これはいわば高度なリモコン操作なので、実際の楽曲は今まで通り「Shanling M1」から「Mojo」を経由して出力されている。スマートフォンに楽曲が転送されたり、スマートフォンから音が出たりするわけではない。
プレイリストは、「Shanling M1」本体で作っていたものをアプリ上で見られるほか、アプリ上で新たに作ったプレイリストも、「Shanling M1」本体に転送される。プレイリスト派もけっこう嬉しい柔軟な仕様だ。
「Shanling M1」の再生機能について、スマートフォンからほぼ完全にコントロールできるようになったことで、「Shanling M1」+「Mojo」という2階建てユニットは、気兼ねなくバッグの中に押し込んだり、頻繁に開閉するのは向いていない形状のポーチに収納したりする事が可能になった。もっとも、「Mojo」のボリューム操作だけは連携できないので、完全にしまい込んでしまうのは現実的ではないが、再生環境が今までとは比べ物にならないほど快適になったのは間違いない。
なお、「HiBy Music」アプリは無料で、起動時に広告のようなものが表示されるが、この関係なのかアプリの権限には「電話」と「位置情報」も含まれている。Androidなので後からアプリの権限を変更でき、この2つの権限は不許可にしても「HiByLink」機能は利用できるようだ。
ファームウェアのバージョンアップで、突然“大化け”の兆しを見せている「Shanling M1」。次回はバージョンアップで大化けした「AXON 7」の様子をお届けできるだろうか……。