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もどかしい“電池0%”から即解放される「Quick Charge 3.0」

【HTC 10 HTV32】

 スマートフォンには、外観やカメラなど、買う前に試すだけで性能が程度予想できる機能と、使ってみないと分からない機能がある。「電池」の性能は後者だろう。

 HTC 10は、クアルコムの急速充電機能「Quick Charge 3.0」をサポート。対応充電器と組み合わせて充電すると、電池残量に応じて供給電圧を可変し、一般的な5V給電の充電器より高速に給電できるという技術だ。そして、有効に利用できるのは電池残量が特に少ないとき、という条件がある。

「HTC 10」は、現時点で日本で唯一の「Quick Charge 3.0」対応機種だ

 実際に使っているときは、対応充電器であろうがなかろうが充電はできるので、特に意識することもない。HTC 10の場合は画面表示も変化しない。

 ところがあるとき、電池切れになった状態の端末を充電器につないだところ、10分後にはバッテリー残量が15%まで回復していて驚いたことがある。今まで使っていた多くのスマートフォンでは、電池残量0%からの充電はかなり時間がかかる印象があったからだ。

 そこで、一般的な充電器を使って充電したときと、「Quick Charge 3.0」対応の付属充電器での充電速度を比較してみた。比較対象は5V/2A出力対応のUSB-AC充電器だ。

 それぞれ1回ずつ試し、バッテリー残量のログが取れるアプリ「Battery Mix Pro」を使って、10%~満充電までの時間を比較した。あまり厳密に捉えず、参考程度としてほしい。

「Quick Charge 3.0」対応充電器と5V/2A出力の充電器の比較
「Battery Mix Pro」はバッテリー温度のログも取れる。Quick Chargeで充電中も摂氏30~40度で熱くならない

 「Quick Charge 3.0」対応の付属充電器では、満充電までの時間が96分、5V/2Aの充電器では100分かかった。ただし、電池残量が99%から100%に変わるまで、付属充電器では7分、5V充電器では4分かかっていることを付け加えておきたい。

 電池残量が80%になるまでの時間が付属充電器は57分、5V充電器では65分と、確かに差はある。しかし、残量30%では差は1分しかなく、徐々に差を広げている格好だ。

 体感ほどの差がないのはどうしてだろうと考えた。スマートフォンの電池がなくてイライラするのは、起動できないとき、つまり、バッテリー残量が0%の状態から起動までの待ち時間が一番大きいように思える。端末によっては電源を切った状態で5%程度まで回復しないと起動もおぼつかない機種もあるからだ。

 その点では、HTC 10はほぼストレスがない。メールやメッセージを早く返したいときに電池切れになっても、充電器につなげば、すぐに起動できるようになるからだ。

電池容量は3000mAh、筆者の使い方では朝の満充電なら十分1日持つ

 ところで、日本ではまだ一般的ではない「Quick Charge 3.0」と「USB Type-C」の組み合わせで使いたいときに、困ったことがひとつある。それは「ケーブルが売っていない」ということ。パソコンなどで採用機種は増えてきたとはいえ、意外と少ない。公式に「Quick Charge 3.0」対応を謳っているケーブルはほぼ見かけない状況だ。

 そこで、「Quick Charge 3.0」をライセンスしているクアルコムのサイトを見てみた。そのFAQによると、対応ケーブルはデータ通信ができるものならば大丈夫らしい。高電圧に耐えられれば良いわけで「Quick Charge 2.0」対応のものならほぼ問題なさそう。

 とはいえ、モバイルバッテリーでほぼ標準的に採用されている入力端子はmicroUSBで、Type-Cは取り回しが少々悪い。microUSBからType-Cへの変換アダプターを通してちゃんと給電できるのかも不安なので、Type-C対応製品がもう少し出回ってほしいなあ、と思う。

勢い余って「Quick Charge 3.0」対応のモバイルバッテリーも買ってしまったが、これの入力端子もmicroUSBだった