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携帯基地局市場、国内ベンダーを尻目にアジア勢の拡大が続く

携帯基地局市場と設備投資の実態 2019(3)

 MCAの市場調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2019年版」から、携帯基地局市場の動向を取り上げる集中企画。最後は、基地局(無線機)ベンダーシェアや動向を確認してみましょう。

勢いが止まらないアジアベンダー

 推移を見ると、国内ベンダーのシェアが急激に落ち込んでいる一方、アジアベンダーの勢いが増しています。北欧ベンダーは2017年度にやや落ち込みましたが、2018年度には盛り返しました。アジアベンダーが拡大した背景には、サムスン電子ジャパンとファーウェイの好調さが影響しています。

NTTドコモの基地局投資に左右される国内ベンダー

 国内ベンダーは富士通とNECであり、NTTドコモのみに無線機を供給しています。最近、ドコモは設備投資における基地局投資を抑制する傾向にあり、富士通とNECは大きく影響を受けました。

 この傾向は今年度も変わらず、富士通とNECにとっては厳しい状況が続きます。ただ、ドコモは他キャリアに比べ、無線機調達規模が大きいため、今後、基地局投資が回復した場合、国内ベンダーに勢いが戻る可能性があります。

命運が分かれた北欧ベンダー

 北欧ベンダーは、エリクソン・ジャパンとノキアソリューションズ&ネットワークスで、エリクソン・ジャパンはKDDI(au)とソフトバンク、ノキアが楽天モバイルを含む国内4社に無線機を供給しています。エリクソン・ジャパンはソフトバンクでファーウェイに圧されていますが、KDDI(au)の基地局投資拡大により、好調に推移しました。

 ノキアは大手3社に供給していますが、ドコモ以外は小規模展開で、ドコモの基地局投資回復が待たれます。なお、楽天モバイルにも無線機を供給していますが、2018年度は商用化前のため、対象外としました。

国内市場で大手になったアジアベンダー

 アジアベンダーは、サムスン電子ジャパンやファーウェイ、ZTEジャパンで、サムスン電子ジャパンはKDDI(au)に、ファーウェイとZTEジャパンがソフトバンクに無線機を供給しています。

 サムスン電子ジャパンはKDDI(au)の基地局投資拡大に伴い、2017年度よりも事業が拡大しました。ファーウェイは、米中関係の煽りから、国内市場への影響が心配されましたが、4Gネットワークには影響がなく、2018年度は2017年度よりも好調となっています。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。