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解約違約金の上限1000円規制導入で通信会社を「乗り換える」「乗り換えない」それぞれの理由は

 2019年10月1日から施行される改正電気通信事業法により、「通信と端末の完全分離」ならびに「不当な囲い込み禁止」が導入される。とりわけ、これまで1万円弱に設定されていた解約違約金に1000円までの上限が課されることで、利用者の流動化が進むかが焦点となっている。

 そこで、通信会社の乗り換え意向などに対するアンケート調査を取りまとめた「携帯ユーザーの端末選好、乗り換え、利用実態に関する消費者調査」から、主な調査結果を取り上げたい。

解約違約金の上限1000円規制導入で通信会社を「乗り換える」「乗り換えない」それぞれの理由は

解約違約金の上限1000円規制が消費者にどのような影響を与えるのか探るべく、「端末買い換え時」と「解約違約金が1000円になった際」の2つのタイミングで、通信会社の乗り換えを検討するかどうか調査を行った。

両者を比較したのが下のグラフだが、解約違約金が1000円になることで、検討に前向きとなる利用者は多少増加するものの、その影響は小幅にとどまった。

通信会社 乗り換え検討の有無

 違約金1000円で乗り換えを検討する理由としては「違約金がそこまで安くなるなら、変えたいタイミングで通信会社を見直して乗り換えてもいいと思う」「乗り換えて安くなるのなら1000円ぐらい払う」などの声が目立った。

 対して、1000円になっても検討しない理由としては「今の通信会社に特に不満がないので」「違約金の問題でないので0円でも変わらない」「メルアドが変わると面倒」「家族で通信会社をそろえているから」などが自由記述に寄せられた。

端末買い換え時のメーカー選好、同じメーカーを選ぶ割合が極めて高い「アップル」

米国によるファーウェイの事実上締め出しに対する報道が一時過熱したが、消費者に対する影響をおさえてみたい。

「利用している端末メーカー」と「買い換え候補となるメーカー」の関係

 上のグラフは、「現在利用している端末メーカー」(緑色)と、「端末買い換え時に、現在利用している端末メーカーを候補にする」(オレンジ色)回答を並べ、その比率を数字で示したものである。

 たとえば、現在「アップル」の端末を利用しているユーザーで、買い換え時にも「アップル」を候補にする、と答えた割合は89.0%と極めて高い数値となった。「ファーウェイ」の比率は48.8%で、サムスン電子やASUSと同様の水準だった。同社の数値より低いメーカーもあり、一連の報道が消費者の選好に与えた影響は大きくなさそうだ。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。