スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

安全&実用的&あったか~い♪

オイルランプ「ハリケーンランタン」を使う!

楽しいハリケーンランタン

 ここ数年、ハリケーンランタン(ストームランタン)を楽しんでおりまして。下の写真のような、古風なオイルランプ。底部にあるタンクにためた灯油を、綿の芯が吸い上げ、芯の先に火が灯るというシクミの、昔ながらの照明器具です。使っている詳しい理由は後述しますが、わりと安全で実用的で、じつは部屋をほんのり暖める効果もあるというあたりが魅力的。

ハリケーンランタン各種。左は「DIETZ 50」と呼ばれるもので、高さ21.5cmの小さめのランタンです。サイズはいろいろありますが、本体が大きいと芯の幅も太いので、そのぶん明るいです。どれも10時間以上、灯し続けられます。

 多くの方が「あっソレ見たことある~」って感じだと思います。けど、LEDランプなどと比べると手軽さに欠け、火を使った照明ということもあり、実際に使っている方は少数派かもしれません。まあハッキリ言って前時代的な照明器具です。

 でも、使ってみるとけっこー実用的。とくに「癒しための灯り」としては秀逸だと思います。普段の生活リズムを少し忘れて、ゆったり流れる時間を感じながら、ランタンの光を眺める、的な。

 それに、炎が筒状のガラスつまりホヤ(火屋)のなかにあるので、ロウソクなどより安全です。また、その名が示すとおり強い風が吹いても消えませんし、雨や雪のなかでも使えちゃいます。

 それから、ハリケーンランタンの左右にある柱のようなものは、じつは気流を生むための構造。これにより安定した炎を保っているあたりを考えると、「古風だけどちょっとハイテクかも!」とか思えたりもします。

燃料は灯油やパラフィン系オイルで、本体下部にあるキャップを外して注入します。キャップのすぐ右にあるのが炎の大きさを調節するツマミ。本体背面に倒されている取っ手を使って、灯した状態で持ち運べます。ホヤの上下から新鮮な空気を吸い込み、上部から燃焼に使われた空気が排出されます。また、左右にあるパイプの内部には熱された空気が流れ、低温下などでも炎を安定させる効果を生んでいます。

 最初は「今時、オイルランプなんて……」とか思っちゃったりするわけですが、「へぇ~風に強いんだ」「確かに安全っぽい」「あのパイプって空気が流れてるのか」などとイロイロ知ると、ちょっと欲しくなってきません? ワタクシはそうでした!

 そしてハリケーンランタン、意外にお安いんですっ! 上の写真のものだと、小さいタイプで2000円少々、中くらいのもので4000円弱です。大きい金色のものは真鍮製の高級品なので2万円以上しますが、同等サイズの普及品なら4000~5000円くらいで買えたりします。生産終了のレア品などだと高値がついていたりしますが、ランプとしての機能性はどれも同じ。シンプルな構造なので、手入れしつつ使えば一生使えちゃうと思います。ともあれ、案外安価にて手に入るモノなので、ご興味があればゼヒ!

 ちなみにメーカーとしては、DIETZ(デイツ)(公式ページ)や Feuerhand(フュアーハンド)(公式ページ)あたりの製品が入手性が良いと思います。購入先は、オイルランプ専門店やアウトドアショップ、オークションなど。けっこーフツーに流通しているハリケーンランタンです。

ハリケーンランタン、ココがイイ!

 ハリケーンランタンを初めて使ったのは25年くらい前ですが、当時は数度使って「もうイヤ~」てな感じになりました。アウトドアで使ったんですが、まず「あまり明るくない」こと。それから揺れたり傾いたりすると灯油が漏れがちなこと。あと燃焼時にススが出ることがあり、その汚れ落としも少々面倒でした。なので、その後はガス式の明るいランタンを使うようになりました。

 それから10年くらいして「パラフィン系オイル」というものを知りました。オイルランプの燃料である灯油の代わり使えるもので、ブランド品としては「レインボーオイル」(公式ページ)が有名です。コレを使ってみたらあらステキ! 灯油のようなニオイがしないっていうか無臭に近く、ススもほぼ出ず、さらに揮発しにくく常温で燃えにくい(引火点;火を近づけたときに発火する温度=98℃)ので安全!

 さておき、それからまた10年くらいして、2011年に東日本大震災があり、拙宅は計画停電(輪番停電)エリアでした。停電の夜にハリケーンランタン……ではなくてガス式のランタンを活用。わ~家のなかで炎が灯るランタン使うとあったかいんだな~♪ などと、ハリケーンランタンの存在などすっかり忘れて過ごしていたら、あらまあガスの残量が僅少! 買いに出たら在庫無し状態! そこで思い出したのがハリケーンランタン(とパラフィン系オイル)でした、が、その頃には計画停電が終わっていました。

 でも次に停電とかになったらコレ使お~っと! とか考えてハリケーンランタンとパラフィン系オイルを用意しておいたんですが、全然活躍の機会がなくて微妙に寂しいので、ここ数年は「癒しの灯り」としてハリケーンランタンを灯しているというわけでした。

 ただ、実際に使ってみると、さすがに1800年代から使われてきた照明器具。なかなか便利じゃないか! メリットがあるじゃないか! と。

 具体的にはまず「比較的に安全である」ということ。火を使う照明器具なので火事や火傷には超注意ですが、ハリケーンランタンは炎がホヤに囲まれているので、ロウソクなどよりは安全。ランタン上部(屋根のような部分)やホヤは熱くなりますが、ほかの部分はさほど熱くならず触れても問題ありません。

 それと前述のパラフィン系オイルを使えば、灯油より引火点が高く揮発性も低いため、保管状態では燃えにくい燃料ということで安全です。ただし、灯油を燃料としたほうが炎が明るいので「より明るくしたい」という場合にはパラフィン系オイルはイマイチ。灯油のほうが安いということもあります。ので、パラフィン系オイルは「長時間」「実用品として使う」には向きませんネ。

火を灯した状態では、ホヤとその上部が熱くなりますが、それ以外の部分はほんのり暖かい~冷たいといった感じ。横のパイプなどは手で触れられる温度です。燃料としてはパラフィン系オイル(レインボーオイル)を使っていますが、少々高価で、灯油よりも炎が暗いです。でもパラフィン系オイル自体はニオイがせず、灯してもロウソクっぽいほのかなニオイがする程度。そんな扱いやすさに加え、常温では引火しにくいという安全性からもオススメです。ただ、灯油を使っても、芯の出し方がちょうど良いとススはほとんど出ません(点火時と消火時には少し出る)ので、ニオイが気にならないなら安くて明るい灯油がいいかも、です。

 それから「明るくて火が消えにくい」ということ。明るさは「ロウソクと比べて」というコトです。LEDランタンやガスランタンには全然かなわないというレベルなんですが、「火の灯りに照らされてゆったり過ごす」にはちょうどいい感じ。大きめのハリケーンランタンならギリギリ読書可能だと思いますが、小さめのハリケーンランタンでも暗い場所で周囲を確認したり飲食したりするにはあまり困らない程度の明るさがあります。もちろん明るさを絞ることもでき、明るさ(炎の大きさ)の調節もツマミを回すだけなので手軽です。

 あと「部屋が少し暖かくなる」こと。ホンノリした暖かさではありますが、若干の暖房効果があります。ハリケーンランタン2~3灯を使いつつ、ハクキンカイロ(関連記事)を使えば、暖房ナシでもけっこーイケちゃう感じ。

 マントルを使うタイプのランタンと比べると暗いんですけど、眩しい感じがしないのもイイですし、マントルの交換のような手間がかからないところもいいです。たまにホヤの内側を掃除するとか芯の先をカットして整える(明るさ復活&炎形状安定)とか、まあメンテナンスは必要ではありますが、意外に手間がかからずに使えます。

こんな感じで使う

 あるいは、「オイルランプって使うの難しそう」と思われる方があるかもしれません。でも実際は簡単。知る限りでは、ハリケーンランタンの場合、本体の横にあるレバーを下げてホヤを上げ、ホヤ下部の隙間から芯に火を点けてホヤを下げるだけ。

左写真・赤矢印の部分がホヤを上げ下げするレバーです。メーカーなどによって右側か左側か、あるいは形状や機能性が異なります。この機種の場合、レバーを下げてロックさせれば、ホヤが上がり、ホヤ下部に隙間ができた状態で保たれます。
ホヤの下部隙間から、ライターやマッチの炎で芯に着火。着火したらすぐにホヤを下げ、炎の大きさを調節すればOKです。消火時は炎を小さくし、再度ホヤを上げ、フッと息を吹きかければいいんですが、機種によっては芯を引っ込めれば火が消えたりも。
左がまあまあ適切な炎。これ以下の大きさでも(つまり暗くしても)大丈夫です。右は大きすぎて安定していない炎。ススが出がちで、ホヤが過熱して割れる可能性もあります。最初は炎を小さめにし、様子見を。内部の温度が上がり、内部の空流が安定すると炎も安定します。

 もちろん、事前に灯油かパラフィン系オイルを注入しておくなどの準備も必要。多くのハリケーンランタンではテープ状の平芯が使われていますが、その場合は購入直後に「芯の先の両方の角をカットして少し丸みを付ける」ことが必要です。そうすると炎の形と動きが安定します。

 てな感じのハリケーンランタン。眺めてリラックスするための灯りとしても、非常用照明としても、あるいはレトロなインテリアとしても楽しめますので、ぜひどうぞ。でも火傷や火事には要注意で!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。