スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

あったか~い♪ 液体燃料式カイロ

ハクキンカイロで激サム状況下も余裕!

ハクキンカイロとは?

 この季節になると毎年お世話になる「ハクキンカイロ」(公式ページ)。液体燃料(ベンジン)で発熱するカイロ(懐炉)です。メーカー公式ページによると「使い捨てカイロの約13倍!」だそうですが、ソレってナニがナンの13倍? って話はさておき、コレ、ほんんんっとに暖かいです。さっすが100年近い歴史を持つ「ポケット暖房」。

ハクキンカイロの「ハクキンカイロ STANDARD」。サイズは縦101×横68×厚さ15mm。金属製のカイロでベンジンを化学反応させて熱を発します。発熱中は手で持ち続けるのが難しいほど熱くなるので、付属のフリース袋などに入れて携帯します。

 コレを見て「懐かしい~」「えっナニそれ?」「あっソレソレ、使ってる!」等々、印象は様々だと思いますが、一度触れればアラ不思議、声を揃えて「あったか~い♪」と言っちゃうでしょう。使い捨てカイロの場合、手でカイロを揉んだりしていないと冷え冷えの手が十分暖かくならなかったりします。一方、ハクキンカイロの場合は手で包むように持つ程度で冷え冷えの手がホカホカに。

 ハクキンカイロ(を付属袋に入れた状態)と使い捨てカイロでは、まあそーんなには体感温度自体に変わりはないように思います。でも、ハクキンカイロは温度が下がりにくいという感じ。持続的に発熱している印象が強く、「体にたっぷりと暖かさが伝わる」といった感覚。初めて使うと「えっ、こんなにあったかいのがあったんだ!」と驚けると思います。

 さてさて、使い方ですが、簡単です。本体内にベンジンを注入したら、火口をライターなどで熱し、フタをすればOK。しばらくすると、手で持っていられないくらい本体が暖かく(というか熱く)なりますので、付属の袋に入れて懐へ。

本体のフタを外すと火口(赤矢印)が見えます。火口を外し、燃料となるベンジンを注入。燃料注入後、火口を元に戻し、火口をライターの炎などで軽く加熱すれば発熱が始まります。火口に火を点ける必要はなく、一瞬熱する程度でOK。火口に直接炎を付けると、火口劣化の原因になりますので注意しましょう。

 発熱のシクミは「ベンジンの触媒燃焼」だそうです。プラチナ(platinum;白金)を触媒としてベンジンを酸化させたときの熱(酸化熱)がハクキンカイロの暖かさ。袋に入れた状態の暖かさは使い捨てカイロと同程度という感じですが、触媒部分では130~350度の温度になっているそうです。

 発熱し続ける時間ですが、25ccのベンジンで最大約24時間とのこと。燃料注入用の小さなカップが付属していますが、これでだいたい6時間ぶんや12時間ぶんのベンジンを測って注入できます。つまり大雑把ではありますが、発熱時間の調節も可能というわけです。なお、燃料は専用のベンジンですが、ZIPPOのライターオイルなども使えます。

 ちなみに、燃料以外の消耗品は、触媒内蔵の「火口」や本体内の脱脂綿。火口が劣化してくると発熱が鈍り、あまり暖かくなりません。火口について、メーカーでは「1~2シーズン程度での交換」を推奨しています。本体内の脱脂綿は約5~10年もつそうです。

 とても暖かいこと、それから使い捨てではないのでゴミが出ないこと、さらにはピカピカの金属製で持ち物として愛着がわいたりすることなど、実用性と趣味性を兼ね備えているハクキンカイロ。ただ、デメリットも少々あって、本体の価格(3000~5000円程度)や燃料の価格(純正ベンジンは500ccで税込680円)を考えると、ランニングコストは使い捨てカイロより高くつくかもしれません。また「独特のベンジン臭がイヤ」という人も。あと、使い捨てカイロの貼るタイプのように、衣服の上に貼り付けて使うこともできません。

 でもまあ、工夫次第で装着位置はわりと自由になりますし、袋にコロンを一滴たらせば「暖かい&イイ香り♪」となりますし、毎日ゴミを出しているという反エコ的罪悪感もありません。ので、ぜひ♪ ホントすっげ~暖かいですヨ♪

現在のラインナップ

 ハクキンカイロのラインナップですが、ハクキンカイロ株式会社からは現在3種類が発売されています。それぞれ「ハクキンカイロ STANDARD」「ハクキンカイロ mini」「ハクキンカイロ GIANT」です。サイズ違いですが、「ハクキンカイロ GIANT」は火口が大きく発熱量も多いようです(ただし燃料の消費量も多め)。

左から「ハクキンカイロ STANDARD」「ハクキンカイロ mini」「ハクキンカイロ GIANT」。どれも「まあまあ手のひらサイズ」といった感じ。詳しいサイズ等はメーカーの商品ラインナップページをご参照ください。

 時期によって需要が伸びたりナゼか急激に人気が出たりするハクキンカイロは、メーカー直販サイトでも在庫切れになったりすることがあります。ですが、2016年末にメーカー直販サイトにて注文したらフツーに購入できたので、現在は品薄ってわけでもないようです。

 ちなみに、ハクキンカイロ株式会社OEM品もいくつかあるようです。たぶん「Zippo ハンディウォーマー」(公式ページ)もそうですが、ハッキリしたことはわかりません。また、海外では「Peacock Pocket Warmer」として販売されています。現在では発売されていない旧モデルや他社製類似カイロは、スタパトロニクス過去記事や動画コンテンツのスタパビジョンバックナンバーで見ることができます。

 余談ですが、ワタクシが現在気に入って使っているのは「ハクキンカイロ GIANT」。大きめのハクキンカイロなんですけど、火口が大きいので発熱量も多く、燃料が入る容量も多めで、身も心も暖かくなれる感じ。まあ実際の暖かさは「ハクキンカイロ STANDARD」や「ハクキンカイロ mini」とそーんなに大きな差はナイと思うんですけどネ。

 コンパクトに持ち歩きたいなら「ハクキンカイロ STANDARD」か「ハクキンカイロ mini」がいいですね。どちらも約24時間使えますし、実用上の不足はなさげ。とくに「ハクキンカイロ mini」はクレジットカードサイズ(厚みは13.5mm+袋)なので、女性にもよく向くと思います。

 使っていて思うのは、前述のとおり暖かいのはもちろんなんですが、まぁしかしコレ長もちだなぁ~というコト。壊れるような箇所はありませんし、消耗品は火口くらいなモンです。袋に入れ、さらに懐に入れて使うので、ほとんど傷つくこともありません。フタの端のメッキが剥がれて地金(真鍮?)が見えてきたりはしましたが、まあ一生モノ級の耐久性がありそうです。

 本体はそんな感じで、何年も使っていてもまだピカピカ状態(シーズンオフの間に表面が盛大に曇ることがありますけど軽く拭けばまたピカピカに)。ただ、付属の袋がヨレヨレになるっていうか、着古して毛玉多々になったセーターみたいにナリガチです。ので、長年使うつもりなら予備の袋を買うか自作するといいかも、です。

装着位置によってはイロイロな効果も!

 ハクキンカイロ、単に上着やズボンのポケットに入れておくだけでも暖かいんですけど、装着位置を工夫すると「明らかな効果」がイロイロとあります。たとえばお腹のあたりに入れておくと、室温がかなり低くても暖房を使わずに居られたりします。

 ワタクシの場合、背中の、肩甲骨の間に吊しています。ハクキンカイロ×2個(の袋)を紐で結んで、体の前と後でバランスを取って吊して使用。ナンでもその位置に冷え性を緩和するツボがあるらしく、温めるとイイって話を聞いたことがありまして、それでその位置にハクキンカイロを装着してみたら、これがイイ! ヒッジョーに寒い日でも、あまり寒い感じがしないっていうか、「今日はわりと暖かい日だな」と勘違いしちゃうっていうか、そんな感覚です。

左はハクキンカイロに付属しているフリース袋。ナゼかどの袋にも、紐を通せるようなループがあります。右は2つのハクキンカイロ(旧製品とZippoブランド品)を紐で結んだもの。紐の輪に首を通し、それぞれのカイロが体の前後に来るようにし、背中のカイロは肩甲骨の間くらいにセット。そうすると、とりわけ寒さを感じにくくなる効果があると思います。吊したカイロの上から上着を着るとか、セーターなどの中に吊すとかすれば、意外なほどカイロの位置がズレません。ただし、体の前側に来るカイロを発熱状態にすると「ベンジン臭がダイレクトに鼻に来てビミョー」かもしれません。

 それから、これは誰でもやると思いますけど、腰への装着。去年の11月頃に軽く腰を痛めたんですけど、腰痛って冷えると悪化しますよね。そこでハクキンカイロ。「この腰痛ちょっとヤバいかな~」という程度にヤな感じの痛みが続いていたんですが、カイロで温め始めたら急激に痛みが緩和。数日で治りました。長時間温め続けたのが功を奏したような気がします。

 あと厳寒期のオートバイや自転車。上の写真の、背中への装着をしたうえで、しっかり防寒すると「かなり違う」という寒さ対策になります。「あったかく走行♪」みたいなコトはちょっと無理なんですけど、頭の中が「寒くてツラい」ということで一杯になるほどには至らない、みたいな。まあ、足先や手先は、別途寒さ対策が必要ではありますが。

 足首に装着するのもイイ感じ。突き刺さるような脚周辺への冷えが大きく緩和されます。あ、そう言えば「首・手首・足首」を冷やさなければ風邪ひかないとか何とか言いますもんね。装着は、靴下と足首の間に挟んだりしますが、足首とカイロが密着し過ぎるので、たまに位置を動かしたほうが安全かもしれません。

 てな感じでイロイロと工夫できるハクキンカイロ。寒くても~イヤンと感じているならぜひお試しを。ただ、毎年のコトなんですけど、ナゼか冬になるとベンジンのぼったくり販売業者が出現したり、異常な値段でハクキンカイロおよびその類似品の転売野郎が出たりしますので、まずはハクキンカイロのメーカーWebサイトで適正な価格をチェックしてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。