第568回:iOS とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


アップルのOS、iPhoneに搭載

 「iOS」(アイ オーエス)は、アップルのスマートフォン「iPhone」やタブレットの「iPad」、デジタルメディアプレーヤー「iPod touch」に組みこまれているOSの名称です。かつてはiPhone OS、その前はOS X iPhoneと呼ばれていたこともありました。

 その名の通り、仕組み的には、アップルの販売するパーソナルコンピュータのOSである「Mac OS X」を携帯機器向けに再構成、最適化を施したもので、その中心となる部分(UNIX風のPOSIX準拠オペレーティングシステムであるDarwinカーネル)、あるいは、アプリの開発環境(Objective-Cをコア言語とするオブジェクト指向でCocoaベースのフレームワーク)が搭載されているなど、Mac OS Xと共通する仕組みを持っています。大きな意味ではUNIX系統のOSであると言っていいでしょう。

 iOSでは、マルチタッチパネル、加速度センサーなどを「iPhone」に備えられている、さまざまなデバイスの特性を活かす特徴的なユーザーインターフェイスが用意されています。これは、Mac OS Xにはない特徴的な点です。

 ただし、iOSでは、Mac OS Xの根幹技術の一部(Carbon)やUNIX関連の機能の多くが削除されていて、OS X用のアプリケーションがそのまま動くわけではありません。

 iOS向けのアプリを開発するため、「iPhone SDK」と呼ばれるネイティブアプリケーションソフトウェア開発キットが提供されています。これを使ってiOS専用のアプリケーションを作成することになります。Objective-Cを勉強していれば、個人でもアプリケーションを作ることができます。アップルの審査などは必要ですが、個人でも「App Store」でアプリケーションを配布することが可能です。

最新版のiOS6、今秋より利用可能に

 iPhoneなどに搭載されるOSの名称が「iOS」となるわけですが、これまでの流れを振り返ってみましょう。

 iPhone OSから「iOS」と呼ばれるようになったのは、バージョン4、つまり「iOS 4」からです。

 最初のOS X iPhone バージョン1からバージョン2では、App Storeやマップが強化されました。iPhone OS 3(2009年6月提供)になるとコピー&ペースト機能が追加されました。

 iPhone 4で最初から搭載されていた「iOS 4」は2010年6月に提供され、複数のアプリケーションを同時に起動できるマルチタスク機能、アプリケーションアイコンのフォルダー機能、iPad用として登場した電子書籍リーダー「iBooks」などが追加されました。

 現在、最新版となる「iOS 5」(2011年10月提供)では、クラウドサービスの「iCloud」、音声アシスタントサービス「Siri」、メッセージングサービス「iMessage」などが追加されています。

iOS 6の新機能「Passbook」

 なお、アップルでは、2012年6月12日にiOSの最新版「iOS 6」を発表しました。まずは開発者向けにβ版の提供が開始され、一般ユーザー向けには今秋より無料で提供される予定になっています。「iOS 6」では、これまでのGoogle Mapsを利用したものでなくアップルがデザインした地図機能が採用され、ナビとして利用する際は、進行方向を矢印で示しつつ、曲がるべき角にさしかかると音声案内も行われるターン・バイ・ターン方式のナビゲーション、「iPad」(第3世代)でも利用できるようになったSiri、カメラやフォトアプリからすぐ写真を投稿できるようになるFacebookとの統合などが新機能として挙げられます。

 アップグレード対象となる機種はiPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4S、iPad 2、iPad(第3世代)、iPod touch(第4世代)となっており、比較的古い世代のiPhoneでも対応するようです。




(大和 哲)

2012/6/19 12:28