第533回:Unity とは
「Unity」(ユニティ)は、米Unity Technologiesが提供しているゲーム開発ツールです。Wii、Xbox360、PlayStation 3、Mac、Windowsなどゲームを楽しむ機器向けから、Webブラウザで遊ぶゲーム、あるいはiPhone/iPod Touch/iPad、Android向けのバージョンも存在しています。
開発元によれば、現在世界中で、約50万人以上の開発者が「Unity」を使用しているとのことで、非常に普及している開発ツールです。
日本国内では、携帯電話向けソーシャルゲーム大手のグリーと技術提携を行い、iOSとAndroid向けに「Unity Plugin for GREE iOS SDK」「Unity Plugin for GREE Android SDK」が提供されています。グリーでは、既にiOS向けUnity、Android向けUnityを採用したゲームを開発し、提供しています。たとえば、iPhone向けの「CosmoLightning」、Android向けの「ビリヤード by グリー」は、Unityを実際に使い、提供されているゲームです。
海外では、BlackBerryを提供するResearch In Motion(RIM)が、タブレット向けでUnity Technologiesと協力する方針を示しています。
■高性能でマルチプラットフォーム、ひとつのソースから多機種へ
「Unity」は、2Dと3Dどちらのゲームにも対応しています。またパソコンからスマートフォンまで、幅広いプラットフォームに対応したゲームエンジンであり、ゲームエディタを統合した開発環境という構成です。
ゲームエンジンには、たとえば、2011年7月にリリースされた最新版のUnity バージョン3.4で、任意のビットマップをシームレスに、3Dオブジェクトでテクスチャー(表面の柄)として利用できる機能(Allegorithmic substance integration)なども搭載しており、パソコン専用ゲームエンジンなどと比べても、性能的にそれほどひけをとりません。
他にも以下のような機能があります。
Beast ライトマッピング
物体の動きに合わせて光の当たり加減を調整するという機能です。
「レンズ効果」
手前の物と奥の物の焦点の当たり方(被写界深度)の調整、光の反射具合、色補正などのエフェクトが利用できます。
「アセット管理」
大規模な開発で役立つ機能です。作り上げた素材を管理し、すぐ確認できます。
このように、充実した機能を備えることから、海外を中心に、訓練用シミュレーターや、医療や建築のビジュアリゼーションなど、高度かつインタラクティブな3Dコンテンツを作成するために使われているケースもあるそうです。
また、Unityは1つのプログラムソースから、多くのプラットフォーム向けにゲームを開発できるマルチプラットフォームであることも特徴の1つです。機種により、機能や再現力に差があることはありますが、わざわざ移植作業をせずとも、多くのプラットフォームで同じゲームを同時にリリースすることができる、というのは開発者にとって便利な機能です。
グリーでは、Unityで開発するゲームに対し、「GREE SDK」提供の機能を組み込めるAndroid向け「Unity Plugin for GREE Android SDK」とiOS向け「Unity Plugin for GREE iOS SDK」を提供しています。
開発者にとって便利なツールである「Unity」は、一般的なユーザーにとっては、あまり関わりのないことにも思えます。その一方で、スマートフォン向けゲームの開発にも利用されていることから、「Unity」で開発したゲームは今後ますます身近なものになっていくかもしれません。
2011/9/27 11:51