第454回:おでかけ転送 とは
「おでかけ転送」とは、DVDレコーダー、Blu-rayレコーダーなどで録画したテレビ番組を、メモリカードに転送して、対応の携帯機器で再生できるという機能です。
対応レコーダーとしては、ソニー製の「BDZ-A/X/EX/RX」シリーズなどが登場してします。また、再生側の対応機器としては、「ウォークマン NW-A82x」シリーズ、携帯ゲーム機の「PSP」「PSP go」、携帯電話、カーナビゲーション端末「nav-u」などがあります。
このうち携帯電話では、2010年1月現在、auの「BRAVIA Phone U1」「URBANO BARONE」「AQUOS SHOT SH006」が対応しています。また、NTTドコモの携帯電話では、「F-02B」「P-02B」「SH-02B」「SH-05B」「N-01B」などの機種が対応しています。NTTドコモでは同様の機能を「ブルーレイディスクレコーダー連携」と呼び、対応レコーダーとしてソニー製のほか、パナソニック製やシャープ製があると案内しています。
レコーダーに記録されていたデータは、これら携帯機器の画面サイズに合わせて変換して転送されます。HD(高解像度)で記録されていた番組でも、「BRAVIA Phone U1」へ転送する際には、320×240ピクセル・フレームレート30fps、最大768kbpsのビットレートに変換された番組を再生することが可能です。
■著作権保護機能でデジタル放送も持ち出し可能に
デジタル化されたテレビ放送では、アナログ放送と違い、著作権保護機能が設定されており、ビデオやパソコンで録画したテレビ番組を持ち出すにはさまざまな制約があります。たとえば、一度DVDに記録した番組は、ダビング10対応レコーダーなら同じように複製することはできますが、形式を変換して、携帯機器用に複製する、というようなことはできないのが一般的でした。形式を変換した際に、著作権保護機能を無効にし、番組データが無限に複製されるのを著作権保持者などが拒んでいるためです。
「おでかけ転送」はメモリカードの著作権保護機能を利用し、レコーダーやBlu-ray/DVD、携帯用機器に転送した回数などを管理することで、アナログ放送の番組だけでなく、デジタル放送で録画した番組であっても、ダビング回数の上限を制限しながら携帯機器で見られるようにします。
コピー回数の管理は、たとえばデジタル放送のテレビ番組は、番組によって、Blu-ray・DVDメディアなどにコピー9回、ムーブ1回できる「ダビング10」が存在します。あるいは一度だけムーブが可能な「コピーワンス」の設定がされて放送されています。実際に出会う機会はほぼありませんが、規格上は、コピーが無限に可能な「コピーフリー」、ムーブもコピーも許可しない「コピーネバー」も存在します。
「おでかけ転送」は、携帯機器に番組データを転送する際に、転送先のメモリカードや機器、転送される番組を管理しています。そして「おでかけ転送」された場合、レコーダー内に記録された番組データのコピー・ムーブ許可回数を1つ減らします。録画したばかりの番組を転送すれば、コピー回数が1回減って、残り9回になるというわけです。また、ムーブ1回のみ残っていた番組を「おでかけ転送」すると、もう複製できません。
「おでかけ転送」には対になる機能として、携帯機器に転送した番組を見られなくする代わりに、レコーダー上の番組のコピー・ムーブ可能回数を戻す「おかえり転送」という機能も存在しています。
「おでかけ転送」の概念。番組データを携帯機器用に変換し、機器にコピーする。その際、レコーダー上のコピームーブ回数を1減らす。対となる機能に「おかえり転送」があり、携帯機器で見られなくする代わりにレコーダ上のコピームーブ可能回数を1戻す |
「おでかけ転送」は、先述したように、レコーダーが機器に転送した番組データや、コピー回数を厳密に管理します。そのため、レコーダー側では、携帯機器の著作権管理方式などを具体的に把握している必要があり、どの携帯電話、マルチメディアプレーヤー機器でも使えるわけではありません。
たとえばデジタル放送のテレビ番組を転送する場合、ソニーのレコーダー「BDZ-EX200」からSH006やP-02B、N-02B、F-02Bなどへ転送できますが、F-02AやN-02Aなどには転送できません。同じソニー製のレコーダー「BDZ-A950」ではアナログ放送なら転送できますが、デジタル放送番組はF-02BやP-02Bなどに転送できません。手持ちの携帯電話が対応しているかどうか、こうした機能を利用するには、当面、注意が必要でしょう。
2010/2/9 15:37