ケータイ用語の基礎知識

第960回:ミニアプリとは

「スーパーアプリ」を基盤にする「小さなアプリケーション」

 「ミニアプリ」とは、特定の「スーパーアプリ」(親アプリ)を基盤にする、小さなアプリケーションです。たとえば、LINEで言えば、『LINE』が「スーパーアプリ」、『LINE Mini App』たちが「ミニアプリ」です。

 LINEは使ってるけどミニアプリは使ったことがないよ、と言う方はLINEのホーム画面を見てください。「サービス」という画面があります。そこに「オープンチャット」というアイコンなどがあります。また、ここには、追加で「ジョルダン乗り換え案内」なども追加できるようになっています。これらが、LINEのミニアプリなのです。

 他にもミニアプリを持つスーパーアプリとしては「PayPay」、海外の例でいけば中国の「WeChat(微信)」「AliPay(支付宝)」などもあります。

LINEのホーム画面。真ん中「サービス」に並んでいるのがミニアプリたち。
ジョルダン乗り換え案内のミニアプリ画面。乗りたい電車をLINEの友だちとシェアできる

普段よく使うアプリからシームレスに使える便利さがイイ

 ミニアプリの便利な点としては、まず、ユーザーが日常的に使っているアプリ上で起動するため、用途別にアプリを起動し直す必要がないことが挙げられます。また、スーパーアプリ上で動いているので、多くはその機能と連携することができるというのもメリットです。

 たとえば、さきほどのLINE上の乗り換え案内だったら、「待ち合わせシェア」と言って、乗る電車の時刻の情報をLINE上の友だちと共有することができるようになっています。

 特にミニアプリが流行したWeChatやAlipayなどでは、様々な機能のミニアプリ(小程序)が多数リリースされています。

 たとえば筆者のWeChatでの経験では、レストランの予約、レストランに行くまでのタクシー、レストランでのメニューの選択、全てミニアプリで行うことができました。ちなみにこれらの支払いはWeChat決済機能で済ませられます。

 これらの機能をひとつのWeChat上でシームレスに使い続けるできるため、ユーザーは動きを1アクション毎に止める必要がありません。ついでにいえば、再度使用する際はミニアプリの過去の使用歴から即座に呼び出すことができるため、探す手間もないでしょう。

 この便利さから、中国では、非常にミニアプリが流行したのだと思います。

アプリ開発側にとってもメリットの大きい「ミニアプリ」提供

 アプリ提供側目線で言えば、わざわざAppStore、GooglePlayといったアプリケーションストアからではなく、ユーザーの馴染みの深いアプリからの提供や、インストールしたユーザーの認証を独自にやり直す必要がない、というのもメリットです。

 何しろ、ユーザーの身元はある程度、スーパーアプリ提供者によって保証されているわけですから。

 それから、先にも挙げましたが、ミニアプリから、スーパーアプリの持つ機能を利用できるのもミニアプリを開発する大きなメリットです。

 たとえば、LINE ミニアプリの場合ですが、アプリからはこんな機能が利用できます。

・Reservation機能(予約機能)
ミニアプリと予約フォームを連携した予約機能
・Notification(お知らせ)機能
プッシュ通知を使用してユーザーに発信ができるサービス
たとえば予約時間になったらお知らせが届けるなどができる。
・Payment(お支払い)機能
商品の決済がLINE payでできる
・Coupon(クーポン)機能
来店促進、再来店促進などに利用できる「クーポン」の発行
・Membership Card(ポイントカード)機能
LINE自体をお店のポイントカードにできる

 また、独自アプリの開発が多くのコストがかかることを考えると。LINEミニアプリは、LIFF(LINE Front-end Framework)を活用したWebアプリの開発となるため、開発費は大幅に抑えることができるようになります。これも開発側にとっては大きなメリットでしょう。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)