ケータイ用語の基礎知識
第959回:ASMRとは
2020年7月7日 06:00
聴くだけで心地よくなる、触感がゾワゾワする「ASMR」
ASMRとは、聴覚や視覚への刺激で、心地よくなったり、眠気を誘われたり、触感がゾワゾワするといった反応のことです。このASMRな内容を含む動画をASMR動画、ASMRな内容を含む音声ファイルをASMR音声などと言ったりします。
名称は、英語の「自律的感覚頂点反応」を意味する“Autonomous Sensory Meridian Response”の略から来ています。autonomous(自律的な)やmeridian(経線・頂点)と言った単語からASMRを想像するのは少し難しい気もしますが……。
読み方としては「エー・エス・エム・アール」と読むことが一般的ですが、「アスマー」と呼ぶ方も多くいます。そして、ASMRを作る人達を「アスマーリスト」と呼びます。
体験したければYouTubeやインスタで検索
ASMR動画・音声を体験したければ、たとえば、よくYouTubeやインスタグラム、ニコニコ動画の「ASMR村」などに動画がアップロードされていますので、スマートフォンやパソコンとヘッドフォンを使ってここから視聴するのが、簡単でしょう。
どんな動画・音が具体的にはあるかというと、たとえば、物を食べるときの「サクサク」という「かみ砕く音」、パソコンのタイピング音、それから耳かきの様子を映し、そのシャリシャリという耳の中でする音を流す動画もあります。
耳かきの派生で「女の子のささやき声」動画ASMRというのもあります。むしろ、ある特定の層にはこちらの方がお馴染みかも知れません。お姉さんが耳かきやシャンプーをしてくれて、そのまま寝落ちするというようなシチュエーションで1時間程度、ずっと耳元でささやいてくれる、というような動画は根強い需要があるようです。
心落ち着ける目的で使われる物としては環境音動画などもあります。ひたすら薪が燃え続ける画像と「パチパチ」と弾ける音が静かに流れる「たき火」動画、3時間喫茶店店内のうるさすぎず静かすぎず適度な音量でノイズが流れていく「カフェの音」動画などというのも人気があります。
ASMR動画、音声を見る、聞く目的としては、これで「ストレス解消」「睡眠導入補助」のため、といった目的が多いようです。さきほどのカフェの音などは、「作業(勉強)への集中」のために作られた物のようですね。
YouTubeなどの他にも、最近ではASMRを商業ベースで使おうとしている企業もあります。たとえば、企業の“特有の音”をASMR化し配信しているオーディオレーベルの「SOUNDS GOOD」やスマートフォンではZOWAなどはその一例でしょう。
ASMRの原理・効果は未だ謎
日本だけでなく、癒やし効果や快眠効果があるとして、世界で流行しているASMRですが、なぜ人間が、ASMRのような音を聞くと、眠くなったり、触られてもいない触感がゾクゾクするのか、まだはっきりとしたことはわかっていません。
触覚に関しては、脳の中で聴覚と触覚の処理をする部分が近い場所にあるため、音を聞いて聴覚が刺激されることで、脳内の触覚の処理部分にも電気活動に影響を与えているのではないかという説を立てている人もいます。
また、ASMR音声は、だいたいの場合、これらが、とてもリアルな音で、特に、バイノーラル録音といって、右、左、上、下、遠く、近くなどの距離を感じられる立体的なサウンドで記録されています。
特にバイノーラル録音で立体的なサウンドを聞くと、リアルな音の臨場感が、経験したこととが脳内で結びついて、実際に過去に起きたことが想起されるのではないか、とする人もいます。
なお、ASMRに関しては、「ストレス解消」「睡眠導入補助」に役にたっているのかに懐疑的な人もおり、特に睡眠に関しては、睡眠に入るタイミングで音が鳴っている状態であるため良質の睡眠には害になる、とする人もいます。