ケータイ用語の基礎知識
第893回:iDeCoとは
2019年2月12日 11:54
個人型確定拠出年金=iDeCo
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」のことです。加入者自身が毎月一定の金額を積み立てて、あらかじめ用意された金融商品で運用し、60歳以降になってから年金や一時金という形で受け取ることができます。逆に言うと、積み立てを始めると基本的に60歳になるまで引き出すことができない金融商品です。
以前はこのiDeCo、加入できる人が自営業者や勤務先に企業年金がない会社員などに限られており、積極的には販売されていませんでした。
しかし、2017年1月の法改正により、厚生年金基金か確定給付企業年金に加入している会社員、企業型確定拠出年金加入の多くの会社員や公務員、主婦・主夫なども対象となりました。そこで、多くの金融機関がこのiDeCoを積極的に販売するようになったのです。
このiDeCoは、どこで申し込んでも「iDeCo」という名前、積立金額は月額5000円から、積立金額はすべて「所得控除」の対象となる、といった点は同じです。
また、iDeCoの利息や運用益は非課税で、受け取るときも「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象となるので、税金の面からいうと大きなメリットを受けられる制度となっていることも同じです。
基本的なパターンとしては、元本保証型の預金があり、その他に投資信託がアクティブ型やパッシブ型、対象を主に国内・海外・先進国・エマージング市場に求めるものなど、最大35本まで用意され、利用者が配分を選んで投資します。
銀行・証券会社によって異なる点としては、投資先や運用管理費用、その他のサービスが少しずつ違います。iDeCoは基本的に60歳までの長期間の投資なので、運用管理費用のように毎月かかる手数料の多寡は最終的に非常に大きなものになります。利用する場合は慎重に比較検討する必要があります。
「au」ブランドのiDeCoもはじまる
携帯電話事業者やその関連会社が、通信以外の事業に積極的に乗り出しているのはニュースで報じられている通りですが、2018年10月には、KDDI アセットマネジメントが、スマートフォンで利用でき、運用でポイントがたまる「auのiDeCo」の提供を開始しました。
auのiDeCoでは、携帯電話ブランドのauらしく、スマートフォンで「月々の積立額や節税額の確認」「画面から運用状況・運用商品の見直し」といったことが可能で、基本的に全ての操作をスマートフォンアプリのみで利用できます。また、今後はパソコン向けのWebサイトでも、アプリと同様の機能が利用できるようになる予定です。
仕事をリタイアするまでにいくら積み立てられるか、アプリ上で簡単にシミュレーションできるため、運用目標を立てる際の目安を作るのが非常に楽になります。また、現在の運用状況はもちろん、運用スタイルを変えるとお金の育ち方がどう変わるのかもチェック可能です。
auユーザーだけでなく、紙の書類への記入・提出が必要になりますが他社のユーザーでも申し込みが可能です。
また、iDeCoは税制面で既に優遇されているのですが、auのiDeCoでは、さらに独自に信託報酬の還元として、ポイントを受けられるという特典もあります。
運用する投資信託の残高に応じて、auユーザーの場合は最大0.1%の「au WALLETポイント」、他社ユーザーの場合はWowma!で使える「Wow!スーパーポイント」が最大0.05%付与されます。ただし、月間の平均保有残高に応じて付与されるので、たとえば100万円投資しても、値動きがあるため必ず年間1000ポイント付与されるわけではありません。
auのiDeCoは月々の運営管理手数料が無料で、口座管理手数料が167円/月と安いことも特長です。
ただし、「auのiDeCo」は投資に慣れていないユーザーに向けて作られているためか、iDeCoとしては用意されている投信は非常に少なくなっています。
2019年2月現在、ラインアップはリスクリターン別に「auスマート(安定)」「auスマート(安定成長)」「auスマート(成長)」「auスマート(高成長)」の4本で、いずれもノーロード、バランス型で信託報酬は比較的高くなっています。投資先としては、これに元本確保型の「定期預金」が加わるのみです。
基本的には、想定している内外株式、債券などのバランスが公開されているので、購入者がリバランスをする必要がない、つまり購入したらそのまま放っておくのがよいタイプの投信がラインナップされています。
同じように運用管理手数料が無料で口座管理手数料も安いiDeCoとしては、たとえばイオン銀行のiDeCoがありますが、そちらがインデックス型やターゲットイヤー型、テーマ型、バランス型と20以上の投信を揃えているのと比べるとずいぶん違います。
たとえば、auのiDeCoでは、TOPIXに近いパフォーマンスで……といったことは難しく、ハイリスクハイリターンか、ローリスクローリターンか、という条件でしか選べないことは、iDeCoを申し込む際の考慮に入れておいた方がいいでしょう。