ケータイ用語の基礎知識
第776回:Android Pay とは
2016年10月11日 12:25
Android Payは、グーグルが提供する決済サービスです。その名の通り、Androidスマートフォンを使って支払いをするための仕組みです。Androidスマートフォンをクレジットカード、デビットカード、ポイントカードといったものの代わりに使うことができます。
2015年9月、米国で提供が開始され、2016年10月現在では、英国、シンガポール、オーストラリアでサービスが始まっています。それら4カ国では、すでに1000店舗以上で対応しています。日本ではまだ提供されていません。
使い方は、日本で普及する多くのカード式電子マネーと同様です。店舗での支払いの場合、レジにあるリーダーにかざすことで決済できます。このとき、スマートフォン上でアプリを開いておく必要はありません。
オンラインショッピングの場合、Android Pay対応のショップでは決済時に、「Buy with Android Pay」という表示がされ、この部分をワンタッチすることで支払えます。
決済機能だけでなく、Android Payをポイントカードとして使うこともできます。たとえばシンガポールでは飲食店、ガソリンスタンド、洋服店、スパ、スポーツジムなど1100店以上の店舗で使えるポイントカード「Plus!」というサービスがあります。Android Payは「Plus!」のメンバーシップカードとして利用できます。さらに支払いの際にスマートフォンをかざすことで「Link Point」というポイントをためる、あるいはカードに入っているポイントを支払いに使う、また、会員向けの割引価格の適用なども可能になっています。
対応機種は、NFC(TypeA/B)を搭載しているAndroid 4.4以上がインストールされているスマートフォンです。
充実した「セキュリティ」の仕組み
日本では、FeliCa対応のカード、あるいは「おサイフケータイ」によって、電子決済自体はもはや珍しいものでありませんが、Android Payには日本の「おサイフケータイ」とは少し違うところもあります。
Android Payの場合、登録するクレジットカード、あるいはデビットカードは一般的なVISAやMasterCardになります。先頃、Android Payが利用できるようになったシンガポールには、DBSやスタンダードチャータート銀行といった金融機関がありますが、これらの銀行で、日本でいう普通口座や総合口座に相当する口座を開いた場合はキャッシュカードとデビットカードが一体化したカードが使えるようになり、多くの人がAndroid Payをする利用可能な環境と言えます。
たとえば日本のモバイルSuicaではJR東日本の「ビューカード」を登録しないとオートチャージができない、というような制約がありますが、Android Payには基本的にはそのような制約はありません。Androidアカウントの登録国、あるいはカードの発行国によってアプリのインストール、利用できないカードなどはあるものの、多くのカード会社、あるいは銀行のカードが登録できます。また複数のカードを登録でき、その枚数の制限もなし、となっています。
また、Android Payが、日本のおサイフケータイと少し異なる点としては、盗難防止やセキュリティの仕組みが挙げられます。たとえば、Android Payでは、決済手段としてクレジットカード、デビットカードがリンクされていますが、このカード番号が直接スマートフォンに登録されているわけではなく、アプリ上にはカード番号やカード使用者の名前が表示されるようなことはありません。
Android Payでは、悪用防止のために、取引ごとにカード番号ではなく、仮想的なカード番号が使う「トークナイゼーション」を仕組みとして利用しています。そのため、万一、決済の際のNFC更新データなどが漏洩することがあっても第三者がこの情報を悪用することは不可能です。なお、トークンはオンラインのときには一定の間隔で更新されたものが送られてきており、かつ一定時間利用が可能となっているため、スマートフォンがオフラインでも、前にオンラインになってからある程度の時間内であれば決済は可能となっています。
スマートフォン自体を紛失した場合も、アプリ上にもまた、AndroidデバイスマネージャーをWeb、あるいは他のスマートフォンにインストールしたアプリから操作することによって遠隔地ロックをかけて使用不能にすることが可能となっています。
Android Payで支払った金額と場所は、スマートフォン上に記録されているので、後から簡単にどこでいくら支払ったのか確認することもできます。紛失と言うことで言えば、Android Payは、むしろプラスチックのクレジットカードそのものよりも安心ということが言えるでしょう。