山根康宏の「言っチャイナよ」

デュアルカメラで低価格5GスマホVivo「Y53s」や中国の新ブランドスマホが登場

世界最大のスマートフォン市場であり、世界最大の5G加入者数を誇る中国。本連載「言っチャイナよ」は香港在住の携帯電話研究家、山根康宏が中国で毎月発表される5Gスマートフォンを紹介する。今回は2021年6月に発表されたモデルをまとめた。6月はVivoが3機種、Honorが3機種と大手メーカーは2社のみが新製品を発表。Honorは独立後初のSnapdragon搭載モデルを投入、中国移動は新ブランドの自社5Gスマートフォンを発表した。

高画質デュアルカメラとAV強化の低価格5Gスマホ、Vivo「Y53s」

 Vivo Y53sは最近のモデルとしては珍しい、6400万画素+200万画素というデュアルカメラ仕様のモデル。本体内部構造を改良しチャンバー容量を3割高めスピーカー再生能力も高め最大94dbの音量も実現。5重の冷却機能と90Hzのディスプレイリフレッシュレートでゲーム用途も視野に入れている。なお本モデルは2017年発売の「Y53」の姉妹モデルではなく、同じYシリーズ「Y52s」のカメラ強化モデルという位置づけの製品だ。

主な仕様
発表日2021年6月11日
価格1799元(約3万1000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 480
ディスプレイ6.58インチ2408x1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+200万マクロ
インカメラ画素数800万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+128
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンドn1 / n28a / n41 / n77 / n78
サイズ163.95x75.3x8.5mm、189g

スペックを引き下げた格安5Gスマホ、Vivo「Y31s t1版」

 Vivoの「Y31」と名の付くモデルは2021年に入ってからこれで3モデル目。1月に「Y31s」、3月に「Y31s Standard Edition」、そして今回「Y31 t1版」が発売された。Y31s Standard Editionのとほぼスペックは同じでメモリ構成を4GB+64GBに変更。また充電W数を18W→10Wに引き下げた。バッテリー周りの仕様変更からか、Standard Editionと本体サイズは同等ながら重量は1.3g重くなっている。

主な仕様
発表日2021年6月15日
価格1399元(約2万4000円)
チップセットMediaTek Dimensity 700
ディスプレイ6.51インチ1600x720ピクセル
リアカメラ画素数1300万広角+200万深度測定
インカメラ画素数800万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成4GB+64GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンドn1 / n28a / n41 / n77 / n78
サイズ164.15x75.35x8.5mm、189.7g

カメラデザインを大きく変えたHonorの新シリーズ「Honor 50」登場

 Honorの新たなフラッグシップライン「Honor 50」シリーズ3モデルが発表された。中核モデルの「Honor 50」はファーウェイから分離後のHonor初のクアルコムチップセット、Snapdragon 778Gを搭載。1億800万画素カメラを含む4つのカメラを2つの円盤上に配置する斬新な背面デザインを採用した。66Wの急速充電に対応。

主な仕様
発表日2021年6月16日
価格2699元(約4万6000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 778G
ディスプレイ6.57インチ2340x1080ピクセル
リアカメラ画素数1億800万広角+800万超広角+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数3200万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー4300mAh
5G NR対応バンドn1 / n5 / n8 / n41 / n77 / n78
サイズ159.96x73.76x7.78mm、175.0g

大画面とデュアルフロントカメラも搭載するフラッグシップ機、Honor「Honro 50 Pro」

 Honor 50の上位モデルでディスプレイサイズ・解像度を高め、フロントカメラはデュアル仕上げとしてVlogも意識。急速充電は100Wに対応。なお両モデル共にディスプレイリフレッシュレートは120Hz、Frost Crystal色のモデルの背面はダブルコーティング&ダイヤモンド仕上げで美しい光沢感とマットな仕上げを両立した。

主な仕様
発表日2021年6月16日
価格3699元(約6万3000円)
チップセットQualcomm Snapdragon 778G
ディスプレイ6.72インチ2676x1236ピクセル
リアカメラ画素数1億800万広角+800万超広角+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数3200万+1200万超広角(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB
バッテリー4000mAh
5G NR対応バンドn1 / n5 / n8 / n41 / n77 / n78
サイズ163.46x74.66x8.05mm、187.0g

カメラにこだわったベーシックモデル、Honor「Honro 50 Pro」

 Honor 50シリーズの下位モデルながら1億800万画素カメラや66W急速充電に対応するのが「Honor 50 SE」。ディスプレイの大きさは3モデルの中で一番大きい。SoCはメディアテックのDimensity 900を搭載。背面色は上位モデルより大人しく、ややカジュアルな印象。

主な仕様
発表日2021年6月16日
価格2399元(約4万1000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 900
ディスプレイ6.78インチ2388x1080ピクセル
リアカメラ画素数1億800万広角+800万超広角+200万マクロ
インカメラ画素数1600万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー4000mAh
5G NR対応バンドn1 / n41(2496-2690MHz) / n77 / n78
サイズ164.73x75.63x8.0mm、191g

中国移動の新ブランドスマホ「NZONE S7 Pro 5G」が登場

 中国移動の独自ブランド5Gスマートフォン「NZONE」が発表された。2019年に中国移動は「先行者」ブランドでZTEベースの5Gスマートフォンを投入していたが、NZONEは若い世代向けの低価格5Gモデルとして地方都市などでの5G利用者拡大を目指す。

主な仕様
発表日2021年6月22日
価格2299元(約3万9000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 720
ディスプレイ6.6インチ2400x1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+800万超広角+200万マクロ
インカメラ画素数1600万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー4000mAh
5G NR対応バンド非公開
サイズ179x73.3x8.4mm、160.7g

カールツァイス&ジンバルカメラの派生モデル、Vivo「X60t Pro+」

 2021年1月に発表した「X60 Pro+」のカメラ構成変更モデル。3200万画素2倍望遠(ポートレート用)を1200万画素に変更。他のスペックは変わらないが、価格は4999元と、X60 Pro+の4998元とほぼ変わらない。

主な仕様
発表日2021年6月25日
価格4999元(約8万6000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 888
ディスプレイ6.52インチ1560x720ピクセル
リアカメラ画素数5000万広角+4800万超広角+1200万2倍望遠+800万5倍望遠
インカメラ画素数3200万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、12GB+256GB
バッテリー4200mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n28 / n38 / n41 / n77 / n78 / n79
サイズ158.6x73.4x9.1mm、190.6g
山根 康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。