山根康宏の「言っチャイナよ」

Honorの5Gスマホ「Honor X20 SE」やファーウェイ「Pシリーズ」最新モデルが登場

世界最大のスマートフォン市場であり、世界最大の5G加入者数を誇る中国。本連載「言っチャイナよ」は香港在住の携帯電話研究家、山根康宏が中国で毎月発表される5Gスマートフォンを紹介する。今回は2021年7月に発表されたモデルをまとめた(1機種は6月発表)。realmeから深澤直人氏をデザイナーとしたコラボモデルが登場、中国電信は自社ブランド品の独自展開を開始。なおファーウェイが待望のフラッグシップモデルを発表したが5Gには非対応。本連載は5Gモデルのみを紹介するが、今回は参考紹介する。また今月は5Gタブレットが登場したのでそちらもリストに入れた。

Honorの低価格5Gスマホ「Honor X20 SE」

 チップセットにDimensity 700を採用しHonorの5G製品の中でも価格をかなり引き下げたモデル。背面は独特の輝きを持つ美しい仕上げとした。カメラは高解像度な6400万画素をメインに搭載、望遠・超広角を省きコストを抑えている。

主な仕様
発表日2021年7月15日
価格1799元(約3万1000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 700
ディスプレイ6.6インチ2400×1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数1600万(パンチホール)
RAM/ROM構成6GB+128GB、8GB+128GB
バッテリー4000mAh
5G NR対応バンド非公開
サイズ160.68×73.3×8.4mm、179g

フロントに2つのカメラとライトを搭載、セルフィーモンスターのvivo「S10」

 vivo「S10」は2021年3月発表「S9」の後継モデル。S9は「S9」(デュアルフロントカメラ)とスペックダウンの「S9e」(シングルフロントカメラ)の2モデル展開だったが、S10では「S10」と上位モデル「S10 Pro」が発売。どちらもデュアルフロントカメラとし、リアカメラ性能に差をつけた。S10はS9と基本スペックは同等でバッテリーを4000mAh→4050mAhと若干増やし、高速充電も33W→44Wに強化されている。本体は4色展開で、色により本体厚みと重量に若干の差がある。

主な仕様
発表日2021年7月15日
価格2799元(約4万7000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 1100
ディスプレイ6.44インチ2400×1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+800万超広角+200万深度測定
インカメラ画素数4400万+800万超広角(ノッチ)
RAM/ROM構成8GB+128GB、12GB+256GB
バッテリー4500mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n5 / n8 / n28A / n41 / n77 / n78
サイズ158.2×73.63×7.29mm / 7.43mm、173g / 175g

vivo初の1億画素カメラを搭載、前後高性能カメラの「S10 Pro」

 vivo「S10 Pro」は「S10」と同時発表の上位モデル。メインカメラにvivoとして初めて1億800万画素カメラを搭載。またS10は非搭載のNFCも搭載している。そのほかのスペックはすべてS10と同様で、フロントデュアルカメラとデュアルライトも搭載する。

主な仕様
発表日2021年7月15日
価格3399元(約5万8000円)
チップセットMediaTek Dimensity 1100
ディスプレイ6.44インチ2400×1080ピクセル
リアカメラ画素数1億800万広角+800万超広角+200万深度測定
インカメラ画素数4400万+800万超広角(ノッチ)
RAM/ROM構成12GB+256GB
バッテリー4500mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n5 / n8 / n28A / n41 / n77 / n78
サイズ158.2×73.63×7.29mm / 7.43mm、173g / 175g

中国電信、ODM調達の独自スマホ「Maimang 10 SE 5G」

 2020年まで中国電信とファーウェイの協業モデル「Maimang(麦芒)」シリーズが発売されていたが、2021年モデルとなる「Maimang 10 SE 5G」はファーウェイの手を離れ、大手ODMメーカー(CNCE)製造モデルとなった。1000元台半ばで買える低価格機として5Gユーザー増を狙う。

主な仕様
発表日2021年7月19日
価格1699元(約2万9000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 480
ディスプレイ6.51インチ1600×720ピクセル
リアカメラ画素数1300万広角+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数800万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成6GB+128GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンド非公開
サイズ163.93×75.79×8.95mm、198g

深澤直人氏コラボ、スーツケースデザインもある「realme GT 5G Master Edition」

 realmeのミドルハイレンジモデルとして「Master(大師)」と名のつく2つのモデルが発表された。どちらも日本のプロダクトデザイナー、深澤直人氏デザインによるスーツケース風背面仕上げのモデルが登場する。「realme GT 5G Master Edition」はSnapdragon 778Gを搭載。本体カラーは3色。うちスーツケース仕上げはグレイモデル1色のみで本体厚さは0.7mm、重量は4g増となる。4300mAhバッテリーは65W高速充電に対応。

主な仕様
発表日2021年7月21日
価格2399元(約4万1000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 778G
ディスプレイ6.43インチ2400×1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+800万超広角+200万マクロ
インカメラ画素数3200万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー4300mAh
5G NR対応バンドSA : n1 / n3 / n5 / n8 / n41 / n78 / n28A、NSA : n41 / n77 / n78
サイズ159.2×73.5×8.0mm / 8.7mm、174g / 178g

高画質カメラと高速チップセット搭載の「realme GT 5G Master Explorer Edition」

 「realme GT 5G Master Explorer Edition」は4色展開、うち深澤直人氏によるスーツケースデザインは「realme GT 5G Master Edition」のグレイに加え、アプリコットカラーの2色展開となる(スーツケース版はサイズ若干増)。Master Editionの上位版という位置づけで画面サイズアップ、チップセットはSnapdragon 870、メインカメラに5000万画素ソニーIMX766センサーを搭載。高速充電はこちらも65W対応。限定100台で小型スーツケースをセットにした限定版も投入された。

主な仕様
発表日2021年7月21日
価格3199元(約5万4000円)
チップセットQualcomm Snapdragon 870
ディスプレイ6.55インチ2400×1080ピクセル
リアカメラ画素数5000万広角+1600万超広角+200万マクロ
インカメラ画素数3200万(パンチホール)
RAM/ROM構成12GB+256GB
バッテリー4500mAh
5G NR対応バンドSA : n1 / n3 / n5 / n8 / n41 / n78 / n28A、NSA : n41 / n77 / n78
サイズ159.9×72.5×8.0mm / 8.8mm、183.5g / 185g

OPPOの低価格モデルがチップセット変更、「A93s 5G」はDimensity 700搭載

 2021年1月発売の「A93 5G」のチップセットをDimensity 700に変更したモデル。他のスペックは変わっていない。メモリ構成は1モデルのみ、ストレージ256GBの高容量版のみとなった。

主な仕様
発表日2021年7月27日
価格1999元(約2万1000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 700
ディスプレイ6.5インチ2400×1080ピクセル
リアカメラ画素数4800万広角+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数800万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンドSA : n1 / n28 / n41 / n77 / n78、NSA : n41 / n77 / n78
サイズ162.9×74.7×8.4mm、188g

ディスプレイ埋め込みフロントカメラスマホ第二弾、ZTE「AXON 30」

 「AXON 30」はフロントカメラをディスプレイの下に埋め込みノッチを廃止した「UD(アンダーディスプレイ)カメラ」モデル。世界初のUDカメラスマートフォンもZTEの開発で、2020年に発売されたZTEの「AXON 20」および日本発売の「Rakuten BIG」だった。AXON 30はUDカメラの画質を1600万画素と倍増させ、UDカメラを覆うディスプレイ部分の解像度も200dpiから400dpiとすることで全画面表示時にカメラ部分をより目立たなくしている。

主な仕様
発表日2021年7月27日
価格2198元(約3万7000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 870
ディスプレイ6.92インチ2460×1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+800万超広角+500万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数1600万(アンダーディスプレイ)
RAM/ROM構成6GB+128GB、8GB+128GB、8GB+256GB、12GB+256GB、
バッテリー4200mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n28 / n41 / n78
サイズ170.2×77.8×7.8 mm、189g

ファーウェイのSnapdragon 888搭載4Gモデル「P50」

 例年4月に発表されていたファーウェイ「Pシリーズ」最新モデルとして「P50」「P50 Pro」が7月末にようやく発表された。アメリカ政府の制裁を受け、5Gスマートフォン向けチップセットの新規供給ができないことからどちらも4G対応のみとなる。P50はファーウェイ初となるSnapdragon 888搭載モデルのみが登場。4GデュアルSIMの同時通信+Wi-Fi 6デュアルバンド利用で最大3.5Mbpsの速度を実現するという。発売は9月の予定。

主な仕様
発表日2021年7月29日
価格4488元(約7万6000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 888
ディスプレイ6.5インチ2700×1224ピクセル
リアカメラ画素数5000万広角+1300万超広角+1200万ペリスコープ3倍望遠
インカメラ画素数1300万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー4100mAh
5G NR対応バンド5G非対応
サイズ156.5×73.8×7.9 mm、181g

ファーウェイ9か月ぶりのフラッグシップモデル「P50 Pro」

 P50の上位モデルでカメラは5000万画素に加え望遠は6400万画素、モノクロ4000万画素を搭載する高性能カメラフォン。チップセット供給量の問題からKirin 9000版とSnapdragon 888版があり、8月12日からは8GB+128GB / 8GB+256GBのKirin 9000モデルが先行発売となる。P50同様4G SIM 2枚とデュアルWi-Fi通信が可能。最低価格は5988元(約10万2000円)だがこれはRAM8GB+ROM128GBのSnapdragon 888版となり、Kirin 9000版は8+256GBで6488元(約11万円)からとなる。

主な仕様
発表日2021年7月29日
価格5988元(約10万2000円)から
チップセットHiSilicon Kirin 9000 / Qualcomm Snapdragon 888
ディスプレイ6.6インチ2700×1228ピクセル
リアカメラ画素数5000万広角+1300万超広角+6400万ペリスコープ3倍望遠+4000万モノクロ
インカメラ画素数1300万(パンチホール)
RAM/ROM構成Kirin 9000 : 8GB+256GB、8GB+512GB、 12GB+512GB
Snapdragon 888 : 8GB+128GB、8GB+256GB、8GB+512GB、
バッテリー4360mAh
5G NR対応バンド5G非対応
サイズ158.8×72.8×8.5mm、195g

Koobeeから3万円台の低価格5Gタブレット「iPlay 40 5G」登場

 5GタブレットはまだSamsung、Huawei、Appleなど大手メーカーしか発売していないが、中国のタブレット大手Koobee(酷比魔方)から1999元という低価格5Gタブレット「iPlay 40 5G」が発売された。ディスプレイは10.4インチ、バッテリーは6000mAhで18W充電に対応。別売の専用スタイラスペンやBluetoothキーボード、カバーなども販売される。

主な仕様
発表日2021年7月30日
価格1999元(約3万4000円)
チップセットMediaTek Dimensity 720
ディスプレイ10.4インチ2000×1200ピクセル
リアカメラ画素数1300万広角
インカメラ画素数500万(パンチホール)
RAM/ROM構成6GB+128GB
バッテリー6000mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n28 / n41 / n77 / n78 / n79
サイズ156.5×264.7×8.2mm、475g

UNISOCチップ搭載の格安5GタブレットTeclast「T40 5G」

 ここ数カ月採用モデルのなかったUNISOCのチップセット「T7510」を採用したTeclastの「T40 5G」は5Gタブレットながら業界最安値の1599元、3万円を切る価格を実現。カメラ性能は低いもののタブレットではあまり利用されないことから問題ないだろう。7000mAhバッテリーやRAM 8GB搭載などスペックは悪くない。スピーカーは4つ搭載。キーボード付きカバーもあり本体と専用端子で接続される。但し発売時期は現時点で未定、2021年中に販売開始予定。

主な仕様
発表日2021年7月30日
価格1599元(約2万7000円)から
チップセットUNISOC T7510
ディスプレイ10.4インチ2000×1200ピクセル
リアカメラ画素数5000万広角+1300万超広角+1200万ペリスコープ3倍望遠
インカメラ画素数1300万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB
バッテリー7000mAh
5G NR対応バンド5G非対応
サイズ156.5×73.8×7.9 mm、181g
山根 康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。