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キャリア各社の設備投資はピークアウトし24年度以降は1.4兆円規模へ

携帯基地局市場と設備投資の実態 2022(1)

 MCAは、携帯基地局市場に関する調査結果を取りまとめた「携帯電話基地局及び周辺部材市場の現状と将来予測 2022年版」を5月に発刊した。そこで今回と次回の2回にわたり、同市場の動向を取り上げていきたい。今回は、携帯キャリアの設備投資と基地局投資に焦点を当てる。

<設備投資額>キャリア各社の設備投資はピークアウトし24年度以降は1.4兆円規模へ

 2021年度におけるキャリア各社の設備投資額はNTTドコモが5481億円、KDDI(au)は3930億円、ソフトバンクが3390億円、楽天モバイルは5089億円、UQコミュニケーションズ(UQC)が112億円、Wireless City Planning(WCP)は100億円の合計1兆8102億円と推定した。セルラーキャリア各社はNTTドコモとソフトバンクを除き、KDDI(au)と楽天モバイルが拡大し、楽天モバイルに至っては、大幅拡大している。

 2022年度はNTTドコモが5630億円、KDDI(au)は4000億円、ソフトバンクが3700億円、楽天モバイルは4190億円、UQCが150億円、WCPは100億円の合計1兆7770億円を見込む。楽天モバイルの大型投資が続き、その規模はKDDI(au)とソフトバンクを凌ぐ規模になっている。

 今後、NTTドコモは5000億円半ばで推移し、KDDI(au)がモバイル向けに4000億円規模の投資が続き、2024年度から3700億円へ縮小する。

 楽天モバイルは2021年度(2021年12月期)をピークに、2023年度まで4000億円規模の投資が続くが、2024年度以降は大幅に縮小していく。一方、ソフトバンクは2022年度をピークに、他キャリアよりも1年早く抑制がはじまり、2023年度からは2000億円半ばでの投資と予想される。それに伴い、合計投資額は2025年度に1兆4000億円にまで縮小する見込みである。

<5G基地局数>2021年度は5G基地局数が約9万局に拡大

 国内市場における5G基地局数(LTE周波数のNR化含む)は2021年度時点で8万8000局となった。NTTドコモが1万9700局、KDDI(au)は1万7900局、ソフトバンクが3万9100局、楽天モバイルは1万1300局である。

 5G専用周波数帯のみを展開しているNTTドコモと楽天モバイルに対し、LTE周波数のNR化に注力するソフトバンクとの新局数の開きが際立っている。一方、KDDI(au)もLTE周波数のNR化を推進しているが、ソフトバンクに比べ、展開の遅れが目立つ。

<5G設備投資>現在は5G向けがメインとなる大手3社の基地局投資

現在、キャリア各社の設備投資は5G向けが主流になっているものの、LTE向けも小規模に推移していく。今後、各社の基地局投資はNTTドコモが2500億円強、KDDI(au)は2000億円規模で推移するのに対し、ソフトバンクが2023年度以降、楽天モバイルは2024年度以降、大幅に投資が抑制される見込みである。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/