ディスプレイが左右90度にスイングする新デザインが特徴のF903i。スイング機能は、主にメールとフルブラウザ、カメラ撮影時に活用できる。たとえばメール閲覧中にスイングさせれば、下側のピクト行が消え、より広いエリアでメール本文を表示させられる。フルブラウザやカメラ撮影時も同様だ。
それら以外にも、メニュー操作やiモードなど、ほとんどの操作は、横長画面でも行なえる。しかしその場合、左側に大きくピクト行が表示され、実質的な表示エリアは、ほぼ240×240部分になり、縦長画面時と変わらない。スイング機能は面白いと思うが、横長画面を生かしたコンテンツが少ない現状では、それほどメリットは感じなかった。正直、ワンセグ放送や大容量動画配信に対応するのでなければ、スイング機能を搭載するより、小型化してもらった方が嬉しかったと思う。
メニューなどの使い勝手は、従来機種と変わらない。Symbian OSを採用し、メニューのカスタマイズ性が高い。セキュリティ面では、指紋認証機能を利用した端末ロックやパスワードマネージャーなど、非常に良く作り込まれている。指紋認証センサは、本体背面に搭載されているため、ケータイを開いていても閉じていても、普通に握った状態から利用しやすい。ただし、FeliCaアンテナと指紋認証センサが同じ面にあるため、FeliCaロック解除からFeliCa使用までに、ケータイを持ち替えなければいけない。できれば、ロック解除からFeliCa使用まで、片手でできるようにデザインして欲しかったところだ。
スイング機能は目を引くが、それを生かすコンテンツがない現状では、スイングのためにF903iを選ぶ、というものでもないだろう。長文メールなどの閲覧性で言えば、D903iやSO903iなど大型ディスプレイ機種の方が良い。しかし一方で、オーソドックスな使い勝手、高いセキュリティ・プライバシー保護機能など、富士通が得意としてきた堅実な作りは守られている。とくにセキュリティを最重視したい人は、それだけでF903iを選んでも良いだろう。