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MNP第2ラウンドへ向けた「au 2007年春商戦向けモデル10機種」
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■ 「春のワンセグ祭り」とも言えるラインナップ
auから2007年春商戦向けモデルとして、10機種が発表された。新入学新社会人シーズンを狙った春商戦は、ここ数年、冬のボーナス商戦と同等か、それ以上に激しさを増しており、各社とも積極的にラインナップの充実を図ろうとしている。特に、今年は昨年10月に開始されたMNPを受け、ユーザーが動くことが予想される『MNP商戦第2ラウンド』に位置付けられるタイミングだ。
今回、auから発表された新端末は合計10機種。昨年のMNP商戦向けの発表もかなり充実していたが、今年も最初から充実のラインナップを取り揃えている。特に注目されるのは10機種中7機種にワンセグが搭載されていることだ。auは一昨年のW33SA以降、もっとも積極的にワンセグに取り組み、昨年だけでも4機種(うち1機種はセカンドモデル)を市場に投入している。それが今回はいきなり7機種ものワンセグ対応端末を投入し、今週初めに発売された「W43H II」と合わせ、auだけで合計8機種ものワンセグ対応端末が店頭に並ぶことになる。まさに「春のワンセグ祭り」とも言えるラインナップだ。
また、auは今回の新端末の発表では、「auケータイクーポン」「オープンアプリプレイヤー」などの新サービスも合わせて発表されている。「auケータイクーポン」はNTTドコモの「トルカ」にも似たサービスで、おサイフケータイを使い、電子的なクーポンを配布しようというものだ。今回発表された10機種中8機種がおサイフケータイに対応しており、そのうちの7機種で利用することができる。
オープンアプリは昨年10月に発表されているが、Javaによって記述されたアプリケーションの実行環境だ。auが提供するEZアプリ(BREW)は高度なアプリケーションを高速に動作させられる半面、安全にアプリケーションを利用できるようにするため、KDDIやコンテンツプロバイダしかアプリを提供できないようにしている。そのため、EZアプリ(Java)からEZアプリ(BREW)への移行後はいわゆる「勝手アプリ」が存在しない状況が続いていた。今回のオープンアプリプレイヤーは、EZアプリ(BREW)でJava VMを提供することで、オープンなJavaアプリケーションを利用できるようにしたものだ。
この他にもいろいろと注目すべき点はあるが、発表会でごくわずかな時間ながら、実機を触ることができたので、その印象をお伝えしよう。各機種の詳細な特徴については、発表会の各記事を参照していただきたい。また、ここでの印象は短時間の試用に基づくものであり、試用した実機も発売前のものなので、実際に市場に投入される段階では、仕様が変更されているかもしれない点はご理解いただきたい。
■ MEDIA SKIN
au design project第6弾として登場したモデルだ。ベースとなった2005年11月発表のコンセプトモデルはINFOBARやtalbyとともに、ニューヨーク近代美術館のコレクションに選定されている。26万色表示の有機ELディスプレイはコントラストも高く、非常に視認性が良いが、今回、試用した環境が室内のみだったため、屋外や暗い室内、明るい室内など、異なる環境での視認性も気になるところだ。ちなみに、関係者のコメントによれば、有機ELディスプレイはサムスン製とのことだ。
ボディは最近、珍しいフリップ式を採用し、ボディの外装パーツに特殊な表面処理や塗装を施すことで、独特の触感を実現している。これだけのコンパクトなボディながら、ワンセグやFeliCaも搭載しており、デザイン端末としては高機能な部類に入ると言えそうだ。
実際に使ってみて気になるのは、ボタン類の小ささだ。デザインを優先した結果、最近の端末にしては珍しいくらいボタンが小さく、筆者のような指の太いユーザーにはかなり操作しづらい。ケータイにとって、デザインが大切な要素であることは間違いないが、「使う」という点についてもう少し配慮が欲しかったところだ。
■ W52T
今回発表された端末の中で、W51Hと並んで、もっともハイスペックな端末のひとつだ。3.0インチのワイドVGA液晶を搭載し、ワンセグ、Bluetooth、デジタルラジオ、1GBメモリ、3Dナビ&アプリと、内容もかなり充実している。ボディは東芝製では珍しいスライド式を採用する。NTTドコモのD903iのようなワンプッシュ機構はついていないが、バネによるアシストは作用しており、ボディは開閉しやすい。ボタン部とディスプレイ部の段差はそれなりにあるが、方向キー部分に少し傾斜がついているため、慣れれば、十分に使えそうだ。
ちなみに、W52Tだけでなく、他機種も含め、今回のauのラインナップでは「タスク切替機能」が搭載されているが、ワンセグなどのアプリを停止して、メールの画面などを呼び出す疑似的なものとなっている。他社の端末に搭載されている「マルチタスク」的なものと違い、機能の切り替え操作や同時利用に制限が多いので、注意が必要だ。
■ AQUOSケータイ W51SH
旧ボーダフォン、ドコモと展開してきたシャープのAQUOSケータイのau向けモデルが「AQUOSケータイ W51SH」だ。ディスプレイを回転させるサイクロイド機構を搭載し、3.0インチのワイドQVGA液晶を採用する。W41SHで好評を得た「Task bar」や「クイック起動」も継承される。
ワンセグについては縦横どちらの画面でも視聴が可能だが、EPGを利用したmicroSDカードへの録画予約、付属ケーブルを利用した家庭用テレビやカーテレビなどへの出力をはじめ、他のワンセグ対応端末にはない機能も揃える。EZ FeliCaに対応していないのが残念だが、おなじみのスタイルでワンセグを視聴したいユーザーにはおすすめの端末だろう。
■ W51CA
昨年前半、W41CAで大ヒットを飛ばしたカシオ計算機は、二軸回転式ボディにワンセグを搭載した「W51CA」を開発した。ボディデザインを見てもわかるように、W41CAのデザインを継承しながら、新たにサブディスプレイを追加している。液晶ディスプレイは従来と同スペックとなる240×400ドット表示が可能な2.6インチのワイドQVGAサイズだが、液晶パネルはワンセグの視聴を考慮し、画面が明るく、視野角の広いIPS液晶が採用されている。
ワンセグについては業界最長となる約5時間30分の連続視聴が可能な上、EPG(番組表)からの予約録画を可能にしている。筆者が確認した範囲では、auのラインナップでEPGからの録画予約が可能なワンセグ対応端末は、W51CAとW51SHだけと見られる。CAシリーズではおなじみのUSBクレードル充電台も付属しており、端末を載せただけで、ワンセグを自動起動し、番組視聴をすることも可能だ。W41CAで好評を得たアデリーペンギンなどの演出も継承されており、W41CAからの機種変更を考えているユーザーにも選びやすい端末と言えそうだ。
■ W51SA
三洋電機製端末ではW31SA/II以来のスライド式を採用したのが「W51SA」だ。W31SAはスリムなボディのスライド式だったが、W51SAは少し幅広になった印象だ。厚みもW31SAなどに比べれば、薄いが、最近の端末としては標準的なサイズと言えそうだ。方向キー周りのデザインが独特だが、クリアキーが方向キーの真下にないのは少し違和感が残る。液晶ディスプレイはW51CAなどと同じ高品質なIPS方式の液晶を採用しているが、ワイドQVGAではなく、標準的な240×320ドットのQVGAサイズとなっている。
特徴的なのはFMトランスミッターを搭載していることで、LISMOで取り込んだ音楽やダウンロードした着うたをカーステレオや家庭用オーディオ機器などを楽しむことができる。会場では家庭用のポータブルオーディオ機器が用意されていたが、おそらくもっとも利用頻度が高いと予想される自動車での利用を試してみたいところだ。LISMOという音楽に強い環境を持ちながら、FMトランスミッターがW51SAしかないというのはちょっと残念な印象だ。
■ W51K
2.7インチの液晶ディスプレイ、二軸回転式ボディを採用したスリムなワンセグ端末が「W51K」だ。ボディの塗装仕上げはボディカラーによって違い、メタルシルバーのみがマットで指紋などがつきにくい仕上げになっているのに対し、シアノブルーとミラーオレンジは光沢のある仕上げとなっている。ミラーオレンジはauのラインナップでもかなり目立つ派手な仕上りだ。
特徴的なのはW43Kから継承されたウーファー付充電台だ。今回はワンセグが視聴できるということもあり、横置きデザインを採用している。ウーファー付充電台はLISMOでの音楽再生だけでなく、ワンセグやアラームなどにも利用できる。音楽やワンセグを再生していないときは、画面に時計や自分が選んだ写真などを表示できるため、フォトスタンドや置時計的な使い方もできる。
ウーファー付充電台は前面のパーツを底面側に回転させると、端末を横置きした状態でもイヤホンマイク端子や外部接続端子が利用できるようになるが、そこまで作り込むのであれば、いっそのこと、USBクレードル充電台にして欲しかったところだ。
■ W51H
昨年は春と秋に相次いでワンセグ端末を投入し、市場をリードしてきた日立製作所。同時発表のW52Tとともに、au初となるVGAクラスの液晶を搭載した「W51H」を開発した。VGAクラスの液晶については、昨年来、数機種が登場したが、2.9インチで480×800ドット表示が可能なワイドVGA液晶というスペックは、通常スタイルのケータイとしては最高峰に位置付けられる。液晶パネルは日立製作所が開発した高品質な液晶技術として知られるIPS(In-Plane-Switching)液晶を採用し、広い視野角と明るさを実現している。
ボディは二軸回転式を採用。サイズはW43H/IIとほぼ同等だが、W43Hよりも先端部が少し広くなったため、全体的に幅広の印象を受ける。特徴的なのは液晶ディスプレイ下に備えられた「スマートセンサー」と呼ばれる指紋センサーだ。セキュリティ設定のロック解除に利用できるほか、液晶ディスプレイを反転したビュースタイルでは、パソコンのタッチパッドのように操作し、画面スクロールなどができる。少し慣れは必要だが、PCサイトビューアーでのスクロールなどにも使えるのは便利だろう。ちなみに、セキュリティ設定は通常の暗証番号、暗証番号と指紋センサーの組み合わせ、指紋センサーのみから設定できる。
■ W51T
東芝製端末のもう1台は、二軸回転式ボディを採用したワンセグ対応端末だ。昨年、発売されたW44Tを進化させたようなイメージに近い。ただ、W44Tに比べると、二軸回転ヒンジの動きが良くなった印象で、全体的な質感も向上している。仕上げはボディカラーによって違い、オレンジとシルバーはマットな仕上げなのに対し、ホワイトは光沢のある仕上げとなっている。卓上ホルダもワンセグ視聴を考慮し、横置きデザインを採用する。
カメラは手ブレ軽減機能付きの324万画素オートフォーカス対応、100MB大容量メモリ搭載、PCサイトビューアー、PCドキュメントビューアーなど、機能的にはひと通りのものが揃っている印象だ。ただ、液晶ディスプレイは2.6インチと大きめのサイズながら、240×320ドット表示のQVGAサイズと標準的なものになっている。
■ W51P
C3003P以来、実に5年ぶりの登場となるパナソニック製端末が「W51P」だ。パナソニックはここ数年、主にドコモ向けに端末を供給してきたが、昨年、705Pでソフトバンク向けに供給を再開し、今回、au向けにも供給を再開することになった。これにより、シャープに次いで、国内の携帯電話事業者3社への同時供給をすることになる。
ただ、ソフトバンク向けがNTTドコモ向けと同じW-CDMA方式であるのに対し、au向けはまったく異なるCDMA 1X WIN方式となる。そのため、今回試用したモデルを見る限り、内部のソフトウェアはCAシリーズ及びHシリーズを開発するカシオ日立モバイルコミュニケーションズからの供給を受けているようで、ユーザーインターフェイスはW43CAなどに非常に近いものになっている。
ボディは一般的な折りたたみデザインだが、パナソニック製端末ではおなじみのワンプッシュオープン機構を採用する。トップパネル側は横向きのサブ液晶を内蔵するほか、パネル部分にグラフィックを描き、内側から光らせることで、グラフィックを浮かび上がらせるようなデザインに仕上げている。ただし、トップパネルは着せかえパネルではない。
久しぶりのパナソニック製端末ということで、期待するユーザーも多いが、デザインは3色とも女性向けであることをかなりハッキリと打ち出しており、筆者も含め、男性ユーザーは手を出しにくいデザインだ。Pシリーズという人気のあるシリーズで、ここまで女性向けにしてしまったのは、ちょっと疑問が残る。せめて、1色くらいはユニセックスなデザインのモデルがあっても良かったのではないだろうか。
■ W51S
昨年発売され、人気を得たW43Sの後継に位置付けられるモデルが「W51S」だ。W43Sでは端末の開閉などに応じて、トップパネル側に埋め込まれたLEDが光る「あかり」の演出が好評を得たが、今回も同じように、端末の開閉などに応じて、トップパネル内のLEDが光るものの、トップパネル全体が光るのではなく、先端部のイルミネーション、トップパネル先端部に埋め込まれた「メール」「着信」「アラーム」の3つのお知らせアイコンが光る仕様となっている。W43Sのように、パネルの着せかえはできないが、ボディカラーごとに仕上げを変えており、個性を発揮している。
ボディは全体的にスクエアにまとめられており、最薄部で19.3mmと薄いものの、液晶ディスプレイが2.7インチのワイドQVGA(240×432ドット)というサイズのため、かなり縦長のボディというイメージになっている。
■ ラインナップは充実したが……
以上が今回発表された10機種だ。昨年、MNP商戦向けに発表したモデル及び追加モデルも含めると、実に30機種以上がこの半年ほどの間に投入されることになる。ただ、他事業者と違い、モデルの入れ替えが早いauのラインナップでは、半年後には探さないと購入できなくなっているモデルもあり、興味のある端末があれば、夏のボーナス商戦までの間に何らかの判断をする必要があるだろう。
2007年春商戦向けのラインナップについては、冒頭でも触れたように、ワンセグ対応端末が充実している一方、有機ELディスプレイやワイドVGA液晶ディスプレイなどが新たに登場し、その他のモデルの多くもワイドQVGA液晶ディスプレイを採用するなど、ディスプレイに高スペックの端末が多いことが特徴として挙げられる。特に、VGAクラスのディスプレイはPCサイトビューアーやPCドキュメントビューアーを利用するときなどにも効果があるうえ、auの人気サービスのひとつであるEZナビウォークも見やすい環境で利用できることになる。
ただ、ラインナップ全体を見たとき、どれが印象に残るかというと、正直なところ、どれも印象に残りにくいかもしれないという疑問も残った。従来の記者発表に比べ、モデル数が多い割に、実機を試用する時間が極端に短かったこともあるが、従来モデルも含め、デザインや仕様で似通ったモデルがいくつかあり、今ひとつ個性が発揮し切れていない印象が残るのだ。モデルによっては、カラーバリエーションとデザインのバランスが今ひとつに見えてしまうものもあった。
また、ここ数年、auは積極的に使いやすさを強調し、フレンドリーデザインなどの取り組みをしてきたが、提供された資料を見る限り、今回の10機種にはフレンドリーデザインのモデルがないようだ。これが何を意味しているのかはわからないが、昔から言われているように、ケータイは「使ってナンボ」のものであり、多くのユーザーに使ってもらうための工夫が十分にできているかどうかは少し疑問が残った。auに限ったことではないが、ケータイ業界はニンテンドーDSやWiiの成功に学ぶべき点があるような気がしてならない。
新機種は今月末頃から順次、店頭に並ぶ予定だが、購入する前に本誌の新製品SHOW CASEやインタビュー、レビューなどを参照して、自分にフィットした1台を選んで欲しい。
■ URL
ニュースリリース(KDDI)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2007/0116/
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(法林岳之)
2007/01/17 13:26
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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