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AF付き2メガピクセルカメラで最高峰を目指した「V601SH」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2003年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


注目の2メガピクセルケータイ

 初のカメラ付きケータイ「J-SH04」、世界初のメガピクセルカメラ搭載ケータイ「J-SH53」と、常に市場をリードしてきたシャープの「J-SHシリーズ」。J-SHシリーズを継承しながら、最高峰を目指した2メガピクセルケータイ「V601SH」が発売された。筆者も実機を購入したので、早速レポートをお送りしよう。


ボーダフォンの新ラインアップ

V601SH

 ボーダフォン/シャープ『V601SH』。サイズ:49×99×25mm(折りたたみ時)、117g。ブレイズレッド(写真)、ブリリアントブルー、ラスターシルバーをラインアップ
 今年10月から社名、ブランド名を変更し、心機一転のスタートを図ったボーダフォン。ラインアップされる端末のネーミングも一新され、新しいネーミングを採用した新端末も続々と登場している。新ラインアップは3Gサービス「Vodafone Global Standard」対応のV800/V700シリーズ、PDCのパケット通信サービスに対応したV600/500シリーズ、PDCの疑似パケット通信を採用したV400/V300シリーズ、PDC方式を採用したプリペイド向け端末のV200/100シリーズから構成される。それぞれのシリーズのうち、数字の大きい方が高機能モデル、数字の小さい方が普及モデルに位置付けられている。まだ実際に端末がリリースされていないシリーズもあるが、今後のラインアップ拡充で、それぞれのネーミングを採用した端末が増えていくはずだ。

 今回、発売されたシャープ製端末「V601SH」は、PDCのパケット通信サービスに対応した高機能モデルだ。J-フォン時代で言うところの「J-SH5x」シリーズに続くモデルということになる。

 J-SHシリーズと言えば、本誌読者もご存知の通り、ここ数年のケータイのトレンドを作り出してきたことで知られている。カメラ付きケータイの元祖となる「J-SH04」、カメラ付きケータイをベストセラーに押し上げた「J-SH07」、J-フォン端末初のPDCパケット通信対応端末「J-SH51」、メガピクセル級カメラを世界で初めて搭載した「J-SH53」など、いずれもそれぞれの時代を代表する端末を開発してきている。

 V601SHでは2004年以降のケータイ市場を見据え、今までにない機能を搭載することで、最高峰を目指した端末として開発されている。たとえば、カメラを2メガピクセル化し、オートフォーカスを搭載する一方、撮った画像をテレビに映し出すビデオ出力機能を搭載し、カメラの活用シーンをさらに拡大している。もちろん、従来モデルで好評を得た電子ブック対応やボイスレコーダーなど、メモリカードを活用した機能も継承されている。実際に動作する端末を見ながら、その出来をチェックしてみよう。


質感を高めたボディ

背面

 J-SH53に比べ、ボディはかなりスッキリとまとめられている
 製品のスペックや細かい仕様については、ボーダフォンとシャープの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディは従来同様の折りたたみデザインを採用しているが、デザインは全体的にスッキリとまとめられており、塗装や外装パーツの質感もグッと高級感が増している。本体背面にはディスプレイと2メガピクセルカメラ、モバイルライト、スピーカーが内蔵されており、テンキー部の右側面にはSDカードスロットを備える。スロットの開閉はJ-SH53と共通で、外側に一度、スライドさせてから開く構造だ。左側面にはテンキー部側に平型コネクタのイヤホンマイク端子、液晶ディスプレイ側にはカメラ起動時のシャッターなどに利用するサイドキーを備える。ちなみに、ビデオ出力機能を利用するときは、イヤホンマイク端子に付属のビデオ出力ケーブルを接続する。


SDカードスロット 充電スタンド
 テンキー部の右側面にはSDカードスロットを装備。カバーをスライドさせてから開く構造  付属の充電スタンドの底面には三脚などに固定できるネジ穴を装備

 ディスプレイはメイン側は240×320ドット/26万色表示が可能な2.4インチTFTカラー液晶、背面側は64×96ドット/65,536色表示が可能な1.2インチGFカラー液晶を採用する。メイン側の液晶パネルは、シャープ製端末でおなじみのCGシリコン技術によるシステム液晶(CGシリコン液晶)で、高精細かつ高品質な表示が可能だ。実際にカメラなどで撮影した画像を見ればよくわかるが、他の液晶パネルとは一線を画した美しさを実現している。JPEG形式の画像であれば、ソフトウェア処理により、最大1,670万色の表示も可能だ。


メインディスプレイ サブディスプレイ
 液晶ディスプレイはおなじみのCGシリコン技術によるシステム液晶を採用  サブディスプレイはGFカラー液晶を採用。スケジュールやメールなども表示可能

 ボタン類は方向キーと決定ボタンを組み合わせた[マルチガイド]ボタンを中心に、左上に[ボーダフォンライブ!]ボタン、右上にユーザーショートカットリストなどを表示する[ダイレクト]ボタン、左下に[開始]ボタン、右下に[電源/終了]ボタンをレイアウトしている。[マルチガイド]ボタンとテンキー部の間には、左から[クリア]ボタン、[スケジュール/メモ]ボタン、[文字]ボタンが並ぶ。従来のJ-SH53はキーの形状が異形タイプだったが、今回のV601SHではほとんどのキーが楕円や円でデザインされており、全体的な印象も大きく変わっている。


キーレイアウト サイドキー
 マルチガイドキーを中心にレイアウト。従来のJ-SH53とはキートップの形状が異なる  左側面にサイドキーを装備。ダブルクリックでモバイルライトが点灯する

新LCフォントで高精細で見やすい画面を実現

 次に、機能面について、見てみよう。まず、メニュー画面は9分割のアイコン表示になり、アイコンで表示された設定項目や機能、ツールなどを選べるようにしている。メールなどの表示フォントについては、先日のニュースでも紹介した通り、新たに開発した「新LCフォント」を採用しており、メールやブラウザ画面では6段階、文字入力画面では3段階、各種メニュー画面では2段階で、フォントサイズを変えられるようにしている。太さも4段階、書体も標準とポップの2種類から選択することが可能だ。多くの端末では複数の表示フォントを搭載する場合、それぞれのサイズのフォントを個別に搭載しなければならないため、多くのメモリ容量を消費してしまう。これに対し、新LCフォントではユーザーの設定に応じて、表示フォントを自動生成できるため、少ないメモリ容量で多彩な表示が可能になるというわけだ。


メニュー オススメ
 メニュー画面はJ-SH53と違い、9分割のアイコン表示を採用  メニュー画面で[オススメ]を選んで表示されるメニュー

 そして、メールまわりだが、まずメールメニューの呼び出し方法がJ-SH53から変わっている。J-SH53では[ダイレクト]ボタンで表示される[ユーザーショートカット]メニュー、もしくは[J-スカイ]ボタンで[メール]を選ぶ必要があったが、V601SHでは[マルチガイド]ボタンの上方向を押すだけで、[メール]メニューを呼び出すことができる。メールはフォルダ管理に対応しており、メールアドレスや件名などでの自動振り分けが可能だ。ちなみに、振り分けは受信メールだけでなく、送信メールについても設定できるので、たくさんメールを出す人でも安心して管理することができる。


フォルダ 送信予約メール
 メールはフォルダ管理に対応。自動振り分けもメールアドレスや件名で振り分けられる  「送信予約メール」をONにすれば、圏内に移動したときに自動的に送信してくれる

ユーザーショートカット

 [ユーザーショートカット]メニューは設定項目に合った数字のキーを長押しすれば、各機能を呼び出すことができる

マルチメニュー

 待受画面以外で[ボーダフォンライブ!]ボタンを長押しすると表示される[マルチメニュー]
 また、メール周りでは新たに送信メール予約設定や受信メール即読という機能が追加されている。メールを出そうとしたとき、地下などで圏外に居るため、なかなか出すことができず、結局、出しそびれたといった経験はないだろうか。V601SHではメールを送信するとき、送信予約メール登録をしておけば、端末が圏内に移動したとき、自動的にメールを送信してくれる。リトライ機能やレポートも表示されるので、ほぼ確実に相手にメールを出すことができるわけだ。

 受信メール即読機能は、メールの作成中やウェブ閲覧中にメールが届いたとき、画面の最上段にニュースティッカー(テロップ)のようにメールが届いた旨が表示される機能だ。受信メールの告知が表示されたとき、ダイレクトボタンを長押しすれば、すぐに受信したメールを呼び出すことができ、返信などの操作をした後、元の画面に戻ることもできる。この[ダイレクト]ボタンの長押しによる受信メールの表示は、その他の操作をしているときでも利用できる(待受画面を除く)ので、ぜひ覚えておきたいTipsだ。同様のTipsとしては、[ボーダフォンライブ!]ボタンの長押しで表示される[マルチメニュー]がある(待受画面以外で利用可能)。

 さらに、メールの表示方法ではQVGAサイズの画面を活かし、画面を上下に分割して、メールの一覧と本文を表示するようにしたり、アドレス帳に登録されている相手の顔写真を表示する方法なども用意されており、一段とメールを楽しく使えるようにしている。メールを連続的にやり取りするときに便利なチャットフォルダも搭載されている。

 日本語入力は従来のJ-SH53でも好評を得た「ケータイShoin2」を継承している。ひらがなを1文字入力するごとに候補が次々と表示される「近似予測変換」、五十音の各行の先頭のみを入力して変換する「ワンタッチ変換」、時間帯に応じて変換候補が表示される「推測頭出し変換」、Space Town for Vから入手可能な「ダウンロード辞書」など、日本語入力については非常に強力な環境が整っている。絵文字や記号についても過去に入力した文字を簡単に入力できるようにするなど、一段と使い勝手に磨きが掛けられている。

 このほかにもV601SHには実際に使っていて、「あ、なるほど」と思わせる機能やTipsが数多く用意されている。誌面の都合もあるので、そのすべてを紹介することは難しいが、機能的にもよく考えて作られており、ある意味、「奥の深いケータイ」を実感することができる。ただ、それは初心者に難しいということではなく、初心者に易しく、なおかつ慣れてきたユーザーには「なるほど」と納得させる仕様なのだ。


カメラ付きケータイはついに2メガピクセル&AFの時代へ

カメラ

 背面に202万画素のCCDカメラを装備。レンズ部は3枚の非球面ガラスで構成されている
 さて、V601SHで最も注目されるカメラと映像周りについてみよう。冒頭でも紹介した通り、従来のJ-SHシリーズはカメラ付きケータイの市場を切り開いてきた先駆者的存在だ。その実績は国内にとどまらず、海外にも拡がりを見せている。シャープが英Vodafone向けに提供中のGXシリーズの売れ行きが好調なことからもその拡がりをうかがい知ることができる。

 V601SHは前述のように、202万画素のCCDカメラを本体背面に備える。レンズ部は3枚の非球面ガラスで構成しており、歪みの少ない美しい画像を撮影できるようにしている。ちなみに、現時点での200万画素クラス(有効画素数)のカメラ付きケータイはV601SHのほか、同じシャープ製のNTTドコモ向け端末「SH505iS」、auのCASIO製端末「A5403CA」の3機種が存在する。

 V601SHのカメラが特徴的なのは、単にCCDを高画素化するだけでなく、デジタルカメラにも搭載されている「オートフォーカス(AF)機構」を搭載している点だ。現在までに発売されてきたカメラ付きケータイは、そのほとんどがパンフォーカス(固定焦点)を採用しており、「だいたいこのあたりにピントが合っているように撮れる」という状態だった。これに対し、V601SHのオートフォーカスは被写体に自動的にピントを合わせて、撮影することが可能だ。ピントを合わせる動作が必要になるため、シャッターを押してから、実際に撮影されるまでのタイムラグは通常のデジタルカメラに一歩譲るが、ピントの合ったクッキリ感は今までのカメラ付きケータイになかった感覚だ。V601SHは特定の場所にあらかじめフォーカスを合わせておく「フォーカスロック」にも対応するほか、[文字]ボタンでオートフォーカスモードを[標準][マニュアル][接写][人物][風景]に切り替えることが可能だ。また、後述する動画の撮影中でも[F]ボタンを押すことで、動く被写体にピントを合わせ直すこともできる。ユーザーの工夫次第で、いろいろな形で活用できそうだ。


AFモード サブメニュー
 AFモードは[標準][マニュアル][接写][人物][風景]から設定可能。[文字]ボタンでも切り替えられる  デジタルカメラモードのサブメニュー。サブメニューを呼び出さなくてもショートカットキーで各種設定が可能

 撮影できる静止画サイズは、デジタルカメラモードが「1,224×1,632ドット」「960×1,280ドット」「768×1,024ドット」「480×640ドット」、写メールモードが「240×320ドット」「120×160ドット」「120×128ドット」「64×96ドット」と、それぞれ4種類ずつが用意されている。いずれのモードで撮影する場合もカメラ起動時に[0]ボタンを押すことで撮影サイズを変更でき、[1]ボタンで写メールモード、[2]ボタンでデジタルカメラモードに切り替えることが可能だ。画質はデジタルカメラモードが「ノーマル」「ファイン」「ハイクオリティ」の3種類、写メールモードが「ノーマル」「ファイン」の2種類から選択することが可能だ。

 ちなみに、V601SHはカメラ起動時のショートカットキーがたいへん充実しており、これを覚えると、格段に操作しやすくなる。カメラ起動時に[ボーダフォンライブ!]ボタンを押すと、ガイドが表示されるので、ぜひともチェックしておくことをおすすめしたい。

 撮影時の機能としては、最大20倍のズーム、フレーム付き撮影、最大25枚の連写、2/5/10秒に設定できるタイマーなどの機能を備える。最近のエントリー向けデジタルカメラでは必須機能となっているシーン別撮影にも対応し、通常、利用する「オートモード」の他、「スポーツモード」「夜景モード」「文字モード」が用意されている。さらに、連写については画像の明るさなどの設定を変えながら、連続9枚の撮影を行なう「ブラケット連写」、ゴルフやテニスなどのスイングチェックに使える「オーバーラップ撮影」なども用意されている。なかでもブラケット連写は設定を変更しながら撮影してくれるため、失敗したくないここ一番の撮影に便利だ。

 撮影した画像はサムネイル、もしくは一覧表示が可能だ。SDカードに保存された画像は従来同様、DCF形式で保存されており、DPOFにも対応しているため、指定した画像を画像を必要な枚数だけ、DPEサービスやプリンターで出力することが可能だ。さらに、シャープの携帯電話情報サイト「ケータイdaSH」では、Windows XP/2000/Me/98で動作する画像管理・編集ソフト「ピクチャム」が配布されており、SDカードに保存した画像をアルバムのように整理・保管したり、シールプリントなどに利用することが可能だ。

 撮影した画像の編集については、QVGAサイズの液晶ディスプレイを活かし、画面を左右に分割して編集するユーザーインターフェイスを採用している。同様の編集機能はすでに他のシャープ製端末でも採用されているが、元画像と編集後の画像を比較しながら編集できるため、初心者でも簡単に楽しい編集画像を作り出すことができる。具体的な編集機能としては、アルミ缶やなどのユニークなものもある「エフェクト」(10種類)、怒るなどの表情の変化が付けられる「フェイスエフェクト」(10種類)、手軽に画像を飾ることができる「フレーム」(20種類)、動きのある「ムービングフォトフレーム」(10種類)、「パノラマ合成」「回転」などが用意されている。ちなみに、デジタルカメラモードで撮影した画像はデータフォルダに保存すると、QVGAサイズに変換され、これらの編集機能を利用することができる。


サンプル サンプル
 1,224×1,632ドットのサンプル画像。リンク先は無加工。(モデル:篠崎ゆき/スーパーウイング所属)  接写モードで撮影したサンプル画像。背景がボケることで、中央の被写体が浮き上がって見える。カメラ付きケータイでもここまで撮れるのはうれしい

 また、撮影というわけではないが、V601SHのカメラには新たに「文字読み取り機能」が搭載されている。名刺に印刷されたURLやメールアドレスなど、英数字を最大35文字まで読み取ることができ、読み取り結果を元に、インターネットに接続したり、電話帳に電話番号を登録することも可能だ。従来のJ-SH53などでもサポートされていたバーコード読み取り機能も継承されている。V601SHではオートフォーカスが利用できるため、より確実にQRコードなどを読み取れるようになっている。QRコードの読み取りを試してみたいユーザーは、筆者の「携帯電話向けホームページのご案内(Vodafone live!向け)」をご覧いただきたい。

 一方、静止画以外についてはどうだろうか。従来のJ-SH53などでもムービー写メールモードやモーションカメラ(MEPG)モードに対応していたが、V601SHでは新たにMEPG-4形式の「ビデオカメラモード」がサポートされている。ビデオカメラモードはMPEG-4形式のASFファイルで、240×320ドットのムービーを最大16分も撮影することができる。しかもフレームレートが15fpsとなっているため、動きのあるシーンでもスムーズでなめらかなムービーが撮影可能だ。最大5倍のズームや接写も利用できるので、ちょっとした記録用にも便利だろう。

 ビデオカメラモードで撮影したムービーはメールに添付できないので、メールで利用したいときはムービー写メールモードやモーションカメラ(MPEG)モードで撮影する。ちなみに、V601SHのMPEG-4(ASF形式)対応は内蔵カメラで撮影ができるだけでなく、他の機器で録画したASF形式のムービーを再生することも可能だ。対応するフォーマットは240×320ドットのASF形式で、映像はMEPG-4(384kbps)、音声はG.726(32kbps)という仕様になっており、SDカードの「\SD_VIDEO\PRL001」に指定のファイル名で保存する必要がある。このフォーマットはシャープのパーソナルサーバー「Galileo(ガリレオ)」で録画することが可能だ。

 さらに、V601SHにはカメラを活かすための機能として、ビデオ出力機能が搭載されている。付属の専用ビデオ出力ケーブルを平型コネクタのイヤホンマイク端子に接続すれば、V601SHで撮影した静止画やムービーをテレビなどの画面上に映し出すこともできる。もちろん、タテ撮りとヨコ撮りをした場合のどちらでも正しい向きで表示させることが可能だ。ビデオ出力機能はすでに他製品で実現されているが、このあたりはさすがに、抜かりないといった印象だ。ちなみに、ビデオ出力はムービーや静止画だけでなく、ビデオ出力対応のVアプリも映し出せるので、V601SHを家庭用テレビゲーム機のように活用することも可能だ。


AV出力 ケーブル
 左側面のイヤホンマイク端子に付属のビデオ出力ケーブルを接続する  付属のビデオ出力ケーブルの先は、一般的なAV端子。テレビなどに接続が可能

 この他にも電子ブック対応やボイスレコーダーなどの機能が従来モデルなどから継承されているが、V601SHで新たに搭載された機能では「SVG-Tコンテンツ表示機能」が注目だ。SVG-Tは「Scalable Vector Graphics-Tiny」の略で、W3Cで策定された携帯電話向けベクターグラフィックスフォーマットだ。SVG-Tコンテンツ表示機能ではパソコンなどで作成したPowerPointやExcelのドキュメントを端末で閲覧できるほか、SVG-Tフォーマットの画像を拡大・縮小して、表示することも可能だ。SVG-Tフォーマットの画像を試してみたいユーザーは、シャープVサイト( http://www.sharp.co.jp/j/ )に詳しいが掲載されているので、そちらもご覧いただきたい。

 同様に、V601SHに新たに搭載された「バウリンガルコネクト」も興味深い取り組みだ。オプションで販売されるSDカード「バウリンガルコネクトカード」を装着すれば、タカラが販売する「バウリンガル」と同じように、愛犬の鳴き声を人間の言葉に翻訳(?)して、端末の画面に表示してくれるというものだ。元々、カメラ付きケータイの被写体は、人物に次いで、ペットが多いと言われている。残念ながら、筆者はペットを飼っていないので、何とも言えないが、愛犬家なら、ぜひとも試してみたい機能のひとつと言えるだろう。


SVG-Tビューア バウリンガル
 SVG-Tビューアの画面。[1]で縮小、[3]で拡大、[2]と[8]で上下スクロール、[4]と[6]で左右スクロールが可能  愛犬家には見逃せないバウリンガル。愛犬とのお散歩のお供にケータイが欠かせなくなる!?

「これでもか!」の機能満載ケータイ

J-SH53(右)とV601SH

 完成度の高いJ-SH53(右)をさらに向上させたV601SH。次は、3Gケータイへの進化を期待したい
 最後に、V601SHの買いについて考えてみよう。2メガピクセルのカメラにオートフォーカス機能を搭載したV601SHは、カメラ付きケータイの最高峰を目指した端末だ。しかし、デジタルカメラのように仕上げるのではなく、あくまでもカメラ付きケータイとしての完成度を高めようとしているところに、この市場を切り開いてきたシャープのこだわりが感じられる。また、カメラまわりだけがスゴいのではなく、細かい使い勝手についてもよく考えられており、初心者に易しく、使い込んだユーザーにも「なるほど」と納得させられるだけの仕上りとなっている。

 もちろん、ミュージックプレーヤーの仕様変更やメールボックスの操作性(一覧と表示画面でのサブメニューの相違)など、細かい部分に不満がないわけではない。しかし、それらを補って余りある新機能が数多く搭載されており、全体的な完成度もかなり高い。ユーザーに「これでもかッ!!」と言わんばかりの機能満載ぶりだ。

 これらのことを総合すると、V601SHはボーダフォンが提供する現行のPDCサービスを軸に、ケータイを思う存分、活用しまくりたいというユーザー向けということになる。従来のJ-SHシリーズを愛用してきたユーザーの乗り換え端末としてはもちろん、ケータイでフルに活用したいというどん欲なユーザーのニーズにも十分応えられるだけの機能を持つ。ボーダフォン端末としては、間違いなく「最強」の称号を与えられる端末と言えるだろう。

 V601SHは、J-フォン時代のJ-SHシリーズから続いてきたPDC端末のシリーズの完成形に近い。V601SHは文句なしにおすすめできる仕上りだが、ぜひ、このノウハウを活かし、次なるVodafone Global Standardというステージでもさらなる進化を期待したい。

使いこなし編



URL
  ニュースリリース(ボーダフォン、PDF形式)
  http://www.vodafone.jp/japanese/release/2003/031016_1.pdf
  製品情報(ボーダフォン)
  http://www.vodafone.jp/japanese/products/kisyu/v601sh/
  ニュースリリース(シャープ)
  http://www.sharp.co.jp/corporate/news/031016.html
  製品情報(シャープ)
  http://www.sharp.co.jp/products/v601sh/

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(法林岳之)
2003/12/16 12:13

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