「PHOTO-U SP01」レビュー

成長するデジタルフォトフレームへの期待


PHOTO-U SP01

 auから登場したデジタルフォトフレーム「PHOTO-U SP01」が面白い。通信機能を利用し、ケータイからメールで写真を送信し、PHOTO-U上に表示させられるのは当たり前。そのほかにも、かゆい所に手が届く機能が満載だ。今回はそんなPHOTO-Uの魅力について見ていくことにしよう。

とにかく安い料金プラン

 まず、何と言っても注目なのは、利用料の安さだろう。PHOTO-Uの利用料は、2年契約の場合で、月額390円+パケット通信料(上限390円)=最大月額790円。ただし、2011年5月までは月額390円で利用できるキャンペーンが実施されており、しばらくは牛丼1杯分(最近、値下げ競争も激しいが)の料金で使えると考えると、料金的な負担は軽い。

 こうした安さの背景には、音声通話やWebブラウジングなどの機能を省略し、単機能化することで、ネットワークへの負荷を小さくし、その結果として、一般的な携帯電話の契約よりも大きく利用料を下げられる、という緻密な計算がある。ネットワークへの負荷がこれくらいになりそうだから、料金はこれくらいにできる、というシミュレーションは、業界に先駆けてパケット定額制を導入したauらしい着眼点だ。

 通信機能付きカーナビ「CAR NAVITIME」でも同様に、月額525円(2年契約)という通信料金がはじき出されており、機能を絞り込んで月額利用料を安くする、という発想は、今後、通信事業者にとっては一層重要なものとなってくるのだろう。

PCから簡単に設定変更

「PHOTO-Uサポートサイト」ではPCやケータイから各種設定が行える
細かい設定はリモコンよりPCで行うのがオススメ

 次にPHOTO-Uが優れていると感じられるポイントは、設定の手軽さだろう。

 赤外線リモコンで操作できる、というフォトフレームは結構あるが、PHOTO-Uでは、各種設定をPCや携帯電話のWebブラウザから行えるようになっている。スライドショーの切替時間や省電力タイマーなど、PHOTO-Uの基本的な設定を全てブラウザ上で行えるのだ。

 設定項目自体は、高機能化する昨今の携帯電話に比べると決して多くはないが、それでもリモコンでちまちまと設定するのは骨の折れる作業だ。これをPC上で簡単に行えるのは、やはり楽。さらに、この手の商品の場合、実家の両親にプレゼントして孫の写真を表示する、という利用シーンが想定されており、そうしたユーザーにとってみれば、この機能を利用すれば、遠隔地のPHOTO-Uの設定をリモートで変更できるというのはありがたい。

 実は、筆者も最初はリモコンで一つずつ設定を行っていたが、途中でPC上から設定変更できることに気がつき、「なんだ、最初からこっちにしておけばよかった」と後悔した。本誌読者の皆さんならば、PC経由での設定が断然オススメだ。

 ところで、どうやってリモートでPHOTO-Uの設定を変更しているのかというと、メールである。後述のコンテンツ配信サービスもそうだが、PHOTO-Uではメールがうまく活用されているのだ。ちなみに、メールの設定を「自動開封」にしている場合も、リモートで設定変更した際にはその旨が画面上で通知されるようになっている。

付属の赤外線リモコン本体背面上部には(右から)「電源」「決定」「キャンセル」の3つのボタンのみを装備している

画面内の可能性は無限大

背面にはSDカードスロットを装備

 PHOTO-Uの基本的な使い方は、各種ケータイで撮影した写真をメールに添付してPHOTO-Uのメールアドレス宛に送信することで、PHOTO-U上に表示させるというスタイルだ。auの携帯電話だけではなく、各キャリアの端末からもメールを受けられるようになっている。メールフィルターも柔軟にカスタマイズできるので、パソコンのメールアドレスからもメールを受信できる。

 もちろん、SDカードスロットも装備しているので、ここにSDカードを挿せば、デジタルカメラで撮影した写真を表示させることも可能だ。

 PHOTO-Uの面白いところは、単に写真を表示するだけでないところだ。写真に重ねるフレームや、スライドショーでの写真の切替時のエフェクトなどが、ネットワーク経由で追加できるようになっている。

 これらの追加コンテンツは、プライムワークスが運営する「カスタモ for PHOTO-U」というWebサイトにPCおよび携帯電話からアクセスして入手できる。同サイトで配信されているコンテンツは基本的に有料だが、中には無料でダウンロードできるものも用意されているので、PHOTO-Uの基本設定を終えたら、同サイトを覗いてみるといいだろう。

プライムワークス運営の「カスタモ for PHOTO-U」では、PHOTO-U用の各種コンテンツが配信されている

 なお、フレームやエフェクトなどのコンテンツは、Flashベースで作られており、今後もキャラクターものなどが随時追加される予定。PHOTO-U自体は非常にシンプルなデザインだが、その画面の中で展開される世界観は、まさに変幻自在だ。

 フレームやエフェクトのほかにも、美しい風景写真や絵画などの写真を毎日1枚ずつ配信してくれる「定期配信セット」なども用意されている。青、緑、赤といった風に、色別のセットも用意されているので、部屋のイメージにあわせて、こうしたコンテンツを購読するのも悪くない。

 もっとも、日々写真が送られてくるため、あっという間に本体メモリがたくさんの写真で埋め尽くされることになる。これらのデータを削除したり、スライドショーに表示させるかどうか設定したりするには、リモコンを使って作業する必要があり、数が多くなると、かなり骨が折れる。もう少しデータの管理を楽に行う方法があればいいのだが、コンテンツの購読しすぎには注意が必要かもしれない。

人気キャラのフレームを設定したところ

ケータイ以外に目を向け始めた通信事業者

 デジタルフォトフレームは、近年、急速に普及しつつあるデジタルガジェットの一つだ。PHOTO-Uは、そこに通信の要素が追加されるだけで、こんなに楽しく、こんなに便利になるという一例だろう。

 正直なところ、これまでは通信事業者が手っ取り早く契約者数を増やすためのアイテム、という印象が強かったデジタルフォトフレームだが、PHOTO-Uは料金・サービスともに非常にアグレッシブな内容だ。

 さらに、メールとFlashをベースにしたコンテンツ配信の仕組みが搭載されているだけに、今後は我々の想像を超えるようなサービスがPHOTO-U上で提供されることになるかもしれない。これからのPHOTO-Uの成長に期待したい。



(湯野 康隆)

2010/9/7 12:36