進化したWindows Live徹底研究

HotmailやMessengerはケータイでどこまで使える?


 マイクロソフトは、この夏、Windows Liveを大幅にリニューアルした。ケータイ向けのユーザーインターフェイス変更なども、ここに含まれている。例えば、Hotmailでは、フォルダの利用や、メールに添付された写真などの閲覧が可能になった。メールの一括整理も、ボックスにチェックをつけ、動作を選ぶだけとより直感的だ。MessengerとHotmailをシームレスに利用できるのもうれしい。また、新たに、外部サービスをWindows Liveに取り込む機能を用意。Windows Live上で情報を一元的に管理できる。そこで、ここでは、新しくなったHotmailやMessengerを、ケータイから利用するという観点で各サービスをレビューしていく。

ケータイだけでメールの送受信が可能なHotmail


受信トレイを検索したところチェックをつけたメールを一括処理できる

 Hotmailは、日本のケータイに最適化されており、iモード、EZweb、Yahoo!ケータイなどに対応した、一般的な端末からもアクセスできる。URLは「 http://m.mail.live.com 」。PCでアカウントを取得していれば、メールアドレスとパスワードを入れれば、そのままホーム画面にアクセス可能だ。ホーム画面からは、Hotmailのほか、Messengerやフォトストレージの「SkyDrive」にシームレスに移れる。Hotmailの受信ボックスを見るには、ここで「受信トレイに移動」を選択すればよい。ホーム画面にも未読メールの数が表示されているため、必要な時だけアクセスすればOKだ。

 受信トレイを開くと、メールの一覧が表示される。一覧画面では、相手の名称やメールの件名を確認可能。件名をクリックすると、本文に移動する仕組みだ。添付ファイルの有無や、未読・既読の状態も、アイコンで示される。また、メール送信者の前にボックスが用意されているが、ここにチェックをつけ、画面下で動作を選ぶことで、メールをまとめて処理できる。動作は「削除」「移動」「開封済みにする」「未開封にする」「フラグを付ける」「フラグを外す」の6種類。件名でおおよその内容が分かるようなメールは、この方法で整理しておくのが便利だ。


フォルダ別にメールを見ることも可能メニューにはショートカットが割り当てられている

 フォルダ機能も活用できるようになった。画面下から「フォルダー」を選ぶか、テンキーの「5」を押すと、一覧が表示される。ここでは、移動したいフォルダをクリックすればよい。ただし、初期設定では、「受信トレイ」「迷惑メール」「下書き」「送信済み」「ごみ箱」の5種類しかなく、ケータイからは、新たなフォルダを追加することはできない。あらかじめPCで作成しておけば、この選択肢が増える仕組みだ。Hotmailを主にケータイで活用する場合は、後々の検索の手間などを考え、重要なメールだけを別フォルダに移すなどしておいた方がよいだろう。

 メールへの返信や転送、削除は、画面下のリンクから行う。長いメールだと、画面をスクロールさせるのが少々面倒になるが、各リンクにはテンキーのショートカットが割り当てられている。具体的には、「4」が返信、「5」が全員へ返信、「6」が転送、「7」が削除といった具合だ。返信や転送は全て、2段目のキーにまとめられているので、一度覚えてしまえば、こちらで操作した方がスムーズになるだろう。

添付ファイル表示や新着メール通知にも対応


ケータイだと添付ファイルは画像とテキストのみ新着通知の設定はPCから行う

 メールに添付があると、本文の前に、ファイルへのリンクが貼られる仕様だ。ここをクリックすると、ファイルの詳細を見ることができる。ただし、現時点で対応しているファイルは限られている。筆者が試してみたところ、JPEGやPNGの画像は表示可能。テキストファイルも開くことができた。逆に、ドキュメントビューアーやAdobe Readerを搭載している機種でも、WordやExcel、PDFといったファイルは文字が化けてしまう。添付ファイル対応といっても、あくまで画像やテキストのみと考えておいた方がよさそうだ。

 また、Hotmailには、新着メールの受信のお知らせを、プッシュ配信可能なケータイメールに送る設定が用意されている。ただし、この設定ができるのはPCのみ。Hotmailのトレイが表示された状態で「オプション」→「詳細オプション」→「携帯電話への新着メール通知」を選ぶと、アドレスを登録できる。迷惑メールフィルターを利用している場合は、あからじめ、「live.com」と「live.jp」をドメイン指定受信に加えておくことを忘れないでおきたい。新着メール通知は、全てメールに対して適用できるほか、アドレス帳に登録した人から届いた時だけ送るように設定できる。フィルターを作成し、特定のメールだけを通知することも可能だ。設定に手間はかかるものの、ここをカスタマイズしておけば、必要なメールだけを素早く確認できる。

Messengerへの切り替えもスムーズ


ログイン状態別にユーザーが表示される絵文字の使用も可能となっている

 Windows Liveは、メールに加え、Messengerやフォトストレージが統合されたサービスのため、これらへのアクセスもスムーズだ。Messengerの利用は、ロングイン後、「Messenger」というリンクをクリックするだけでよい。まず、自分の状態を設定し、Messengerのメイン画面に移動する。この画面で、メンバーの追加もできる。特定の相手にメッセージを送りたい場合は、まずそのユーザーをクリック。ログイン中だと、名称の横のアイコンが緑色になっている。あとは、メッセージを記入し、送信を押すだけ。Messenger専用で使われる絵文字を挿入することもできる。ログインしていない相手には、メッセージを残せないが、リアルタイムなやり取りができるのは便利だ。この状態で、ほかのメンバーを招待し、複数ユーザーで会話することもできる。

 登録した相手がログインしていない時は、表示されるアドレスをクリックすると、自動的にHotmailの新規作成画面が起動する。Messenger上でメッセージを残すことはできないが、ここにメールしておけばあとで相手に参照してもらえるというわけだ。

 ただし、ケータイ版からは写真の共有などができない。絵文字の読み込みにもページ遷移が必要となる。あくまでも、すき間時間にコミュニケーションを取るための、簡易的なメッセンジャーととらえておいた方がよいだろう。


Messnegerから直接メールを送ることができる

ソーシャルサービス連携機能は今後に期待

 新しくなったWindows Liveは、ソーシャルネットワークサービスなどと連携することもできる。例えば、Facebookのアカウントを設定しておくと、アップした日記などを相手とこの場で共有可能だ。共有された情報にはWindows Live上からコメントでき、大元のサイトにアクセスする手間を省ける。更新情報はWindows Liveのトップページに表示される。もちろん、ケータイでもこの機能は利用可能だ。


連携したサービスの更新情報が表示コメントを残すこともできる

 連携可能なサービスは、Facebook、YouTube、Flickr、MySpaceなど。フォト蔵や食べログなど、日本発のものも見受けられる。ブログのRSSも登録可能だ。このように、対応サービスは多彩だが、一方でmixiやTwitterといった、日本で多くのユーザーが登録しているSNSは、まだWindows Liveとの連携ができない。情報を1画面に集約可能なことが売りなだけに、これでは宝の持ち腐れになりかねない。今後とも、ローカライズにはぜひ力を入れてほしいところだ。

 なお、サービスの登録や管理は、PCから行う。PC版のWindows Liveのトップで、「接続済みのサービス」の横にある「追加」をクリックすればよい。FacebookやMySpaceはメニューからワンクリックで登録できるようになっているが、そのほかのサービスを探したい時は、「他のサービスを探す」を選ぶ。その後、ブログならRSSを、FacebookなどのSNSならアカウントとパスワードを入れれば、登録は完了する。ケータイから登録できればもっと手軽だが、残念ながら現時点では非対応。日本のSNSはケータイでの利用が中心になっていることを考えると、この機能もPCレスで行いたい。こちらも、マイクロソフトの今後の対応に期待したい。


海外系サイトが中心だが連携可能なサービスは多岐に渡る

 

(石野 純也)

2010/9/13 06:00