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ケータイで使えるWebメールサービス比較


 日本のケータイには、プッシュで配信されるメールが標準で搭載されている。老若男女問わず、誰もが当たり前のように使いこなしている機能の1つと言えるだろう。各社とも、新製品で次々とメール機能に磨きをかけているのは、そのためだ。ただ、ケータイメールは、ポケベルからショートメッセージを経由して今に至っており、やり取りされる内容もどちらかと言えば会話に近い。できれば複数のアカウントを使い分けたいところだが、ケータイのメーラーは基本的にキャリアメール専用だ。一部の機種ではPCメールを読み込めるようになったが、料金などの問題もあり、まだまだ普及途上。初心者には設定も難しい。そこで活用したいのがWebメールだ。ここでは、Webメールならではのメリットや、主要サービスの特徴を紹介していく。まだケータイで使ったことがない人は、ぜひ参考にしてほしい。

手軽に使えてメリットも多いWebメール

ブラウザでメールが読める
PCメールの確認などに便利

 ケータイで利用できるのは、「docomo.ne.jp」や「ezweb.ne.jp」「softbank.ne.jp」といったキャリアメールだけではない。Gmail、Yahoo!メール、Hotmailといったメジャーなサービスは、すべて日本のiモードやEZwebなどを備えた一般的な携帯電話(フィーチャーフォン)に対応しており、Webブラウザ経由でのアクセスが可能だ。これらのサービスは基本的に無料となる。アカウントさえ作ればすぐに使い始めることができ、非常に手軽だ。対応端末も多岐に渡る。Web接続機能さえ搭載されていればよいため、手持ちのケータイが古くても問題ない。専用のメーラーは不要で、最新のハイエンド端末から、らくらくホンのようなシニア向け端末まで、機種を選ばず使えるのが、Webメールの魅力と言える。

 いわゆるPCメールとして扱えるため、キャリアメールと併用するメリットもある。例えば、普段からPCでこれらのアドレスを使うようにしておけば、出先でもメールをチェックできる。PC宛のメールをキャリアメールに転送している人もいるが、Webメールに一元化しておけば、送信の際にいつものアドレスが使え、相手にとって分かりやすい。また、ケータイの迷惑メールフィルターの機能は限定的。やり取りする相手のドメインが多いと、結果としてフィルターを全解除しなければならなくなり、大量の迷惑メールに悩まされるということもある。ケータイのアドレスは限られた友達用にしておき、そのほかはWebメールに集約すれば、こうした事態は避けられる。

 ケータイにプッシュで届くとわずらわしく感じるメールマガジンなどの送り先に、Webメールを指定してもよいだろう。後述するように、Webメールは無料にも関わらず、容量が非常に大きい。そのため、メインのメールをバックアップするのにも使える。逆に、MNPでキャリアを変えることが頻繁なユーザーは、Webメールをメインにしておけば、その都度アドレスの変更通知を出さなくて済む。相手が迷惑メールフィルターをかけている場合は、ドメインやアドレスを登録してもらう必要があり、一手間増えるが、キャリアを超えて利用できるので使い方によっては便利だ。このように、Webメールにはさまざまな用途がある。次に、主なWebメールサービスとして、Gmail、Yahoo!メール、Hotmailを取り上げ、それらの特徴をチェックしていこう。

定番のGmail

 Gmailは、グーグルが運営するWebメールサービス。容量は約7.3GB。約100KBの添付ファイルがついたメールなら、7万通以上を保存できる。強力な迷惑メールフィルターも、Gmailの特徴だ。検索にはグーグルの技術が活かされており、大量のメールの中から必要なものがすぐに見つかる。残念ながらケータイからは、添付ファイルをつけることはできないが、メールの移動や迷惑メールの報告、削除などにはすべて対応。受信メールの添付ファイルも見ることができる。WordやPDFなどのファイルは、文字のみ抽出してくれるので、内容だけなら十分つかめる。絵文字の送受信も可能で、ケータイメールのようにも使える。評価が分かれるのは、スレッド形式と呼ばれるメール表示。メールがトピックごとに整理されるため、相手とのやり取りを時系列に確認可能だ。その反面、この表示は、慣れていないと、どのメールを見ているのか分かりづらいというデメリットもある。ちなみに、GmailはPOP3およびIMAPで外部のメーラーからアクセスすることができる。「Google Sync」にも対応しており、スマートフォンで設定すればプッシュでメールを受信するため、ケータイ感覚で利用可能だ。Android端末の場合、初期設定の際にユーザー名とパスワードを入力するだけで、Gmailが自動的に同期される仕組みとなっている。


Gmailはケータイにも完全対応絵文字の利用もできるスマートフォンはプッシュ配信にも対応

日本向けに進化したYahoo!メール

 Yahoo!メールは、その名のとおりYahoo!JAPANが運営するサービスで、容量は約1GB。有料のプレミアム会員は、約1.5GBに容量が拡張される。迷惑メールフィルターや検索機能を備えているのは、Gmailと同様だ。絵文字にも対応する。一方、ケータイ専用の署名を設定できたり、画像などをカットしてパケット量を節約できたりするのは、このサービスならでは。しかも設定は、ケータイから行える。この辺りの決め細やかさから、Gmailより、日本のケータイ事情をしっかり反映している印象を受ける。ケータイからのアドレス変更も可能だ。なお、ソフトバンクのケータイなら、キャリアのポータルであるY!ケータイのトップページからワンクリックでアクセスできる。ただし、ケータイで表示可能な添付ファイルは画像のみで、IMAPには非対応。スマートフォンでのプッシュ配信も利用できない。


UIがケータイサイト風のYahoo!メールケータイ専用の設定項目も用意

容量無制限のHotmail

 マイクロソフトが運営するHotmailも、ケータイに対応している。こちらの容量はなんと無制限。当初は5GBまでで、容量がいっぱいに近づくと自動的に拡張される仕組みだ。もちろん、この容量には添付ファイルが含まれている。写真などがたくさんついたメールも、安心して受け取れるだろう。ただし、画像以外の、WordやPDFなどのファイルのプレビュー表示はできない。残念ながら、絵文字にも非対応だ。オプションでGmailのようなスレッド表示も用意されているが、こちらはPCのみの対応。賛否は分かれるところだが、PCに比べると画面が小さく一覧性の低いケータイでは、1件1件のメールを確認していける方が、見やすいかもしれない。条件を決めて、ケータイに新着通知メールを送ることも可能だ。最近、EAS(Exchange ActiveSync)アクセスへの対応も開始されており、スマートフォンユーザーはこちらの利用も検討してみてはいかがだろう。


容量無制限と大盤振る舞いのHotmailケータイでも添付ファイルのサムネールを表示

 このように、同じWebメールでも、サービスごとの違いは明確だ。それぞれの特徴をつかめば、おのずと自分に合ったサービスが見つかるだろう。料金はかからないので、しばらく複数のWebメールを使い比べてみるのもいいかもしれない。

 

(石野 純也)

2010/9/6 06:00