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ソフトバンクの気球基地局が商用環境の試験免許、北海道で

 ソフトバンクは、総務省より気球無線中継システムのフィールド評価を行うための実験試験局の免許を取得したと発表した。5月上旬に北海道広尾郡太樹町にて、商用周波数帯を用いた同システムの実証実験を行う。

実験概念図

 気球無線中継システムは、同社が2013年に開発し、実証実験を進めていたもの。全国の主要拠点に配備され、災害時に臨時の中継局として運用される。これまでの実験では中継元の基地局との通信に大規模災害時のみ運用できる3.3GHz帯を使用し、携帯電話端末とは2.1GHz帯で通信していた。

 2016年3月に気球を用いた無線基地局が制度化されたことにともない、今回の実験では、3.3GHz帯に代わり、同社が商用周波数帯として利用している1.5GHz帯を使用することになった。

 同社広報によると、1.5GHz帯を使用できるようになったことで、大規模災害時だけでなく台風や水害などの局地的な災害時にも運用できるようになったという。実験ではまた、2本のアンテナで同時に通信する2×2 MIMOを初めて採用し、通信速度向上の評価を行う。

 なお、気球基地局は4月14日に発生した熊本地震に際して、福岡県八女市にて運用されていた。この運用時には、今回の実験に先立ち、中継元の基地局との通信に1.5GHz帯を使用していた。

熊本地震時の気球基地局運用の様子

石井 徹