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Cerevo、音が見えるスマートマイク「Listnr」を1万6900円で発売
(2016/1/22 15:45)
Cerevoは、クラウドに連携して感情を伝えるスマートマイク「Listnr」(リスナー)を発売した。同社直販サイトでの販売価格は1万6900円(税別)。今後、九十九電機などの量販店でも取り扱われる。
「Listnr」は、Wi-Fi接続機能を持つマイク。周囲の音声などを拾って指定されたサーバーにアップロードできる。
当初、利用できる機能は赤ちゃん(乳幼児)の声から、どんな感情を多く表現したのかがわかるというもの。
0~2歳児の赤ちゃんがいる部屋にListnrを設置すると、赤ちゃんの声を録音してインターネット上のCerevoのサーバーにアップロードする。サーバーではパナソニックの音声認識システム「xauris」(ゾウリス)によって感情を解析される。
「泣く」「笑う」「叫ぶ」「喃語(なんご、乳児が発する意味のない声)」の4パターンを認識してアイコンとしてアプリに通知する。アプリでは日・週・月・日の単位でどの感情が多かったのかを振り返ることができる。また、本体に設置されたLEDが感情にあわせて光る。
Listnrを管理する保護者など以外にも「招待コード」を入力したユーザーがフォローする機能があり、離れた場所に住む孫の状態を「緩く伝える」ツールとして活用できる。
Listnrのサイズは約123.5×96.5×76.5mmで、重さは約190g。microUSB端子からの給電または単3乾電池2本で駆動する。Wi-Fiは2.4GHzのIEEE802.11b/g/nをサポート。スマートフォンアプリはAndroid 4.4~対応で、iOS版も提供される予定。
「棚がない商品」を積極的に開発するCerevo
22日の製品発表会では、Cerevoの代表取締役CEO 岩佐琢磨氏が「Listnr」を紹介した。
岩佐氏は、Cerevoについて「棚がない商品」を作る会社だと紹介。大手メーカーが手を出さないようなニッチな分野で、量販店にとっては置くコーナーが判断しづらい製品を開発して、世界中に販売していくのが強みだと話す。
今回の「Listnr」もそういった製品の一つで、「マイクにWi-Fiを付けたら、いろいろな用途に役立つのではないか」という発想から作られた。
製品コンセプトを明確にするため、当初は利用シーンを乳幼児の感情分析に絞るが、近日中に「開発者モード」を提供する予定としている。
「開発者モード」では、マイクから音声を送信するサーバーを自由に設定できる。音解析エンジンや音認識サーバーをなど独自に設定することで、据え置き型のICレコーダーのように音声を自動保存したり、音声認識エンジンを組み込んだりと、録音した音を自由に利用することができる。ユーザーのサービスや独自のアプリと組み合わせた利用もできる。
感情解析に利用している音声認識エンジン「xauris」は、パナソニックが開発しているもの。岩佐氏は、「資金力や開発力でアドバンテージがあるメーカー企業と、機動力があるハードウェアベンチャーが提携して新規ジャンルへの参入を図っていくアプローチは、今後増えていくのではないか」と話した。
「コンセプトを引き継いで一から作り直した」
「Listnr」のプロジェクトマネージャーは、UPQのCEOも務める中澤優子氏。当初「Listnr」はInterfenom社がプロトタイプを作成し、Cerevoが開発を受託していたが、Interfenom社が開発に失敗したことで、Cerevoが引き継いで開発することになったという。
中澤氏はUPQの設立前の2015年3~5月頃を中心にListnrに携わったという。岩佐氏とともに、「無くなりそうになっていたListnrを、コンセプトと名前を引き継いで一から作り直した」と話す。
「赤ちゃんの感情解析」に特化したのは、「聞くことはできても意味がわからないものから感情を読み取れる」という明確なメリットがあることに加え、当初から一定の精度を担保して提供できるのが赤ちゃんの声の感情解析だったためとも話す。
中澤氏によると、パナソニックでは赤ちゃんの感情解析以外にも応用できるという、複数の音解析エンジンを開発中で、提供できる精度になったら機能を追加することも検討しているとのこと。