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高密度な基地局を結びつける、ファーウェイのソリューションとは

 4月16日~18日に東京ビッグサイトで、光通信システムに関する展示会「光通信技術展 FOE2014」が開催される。

 固定回線向けとして利用される光通信だが、携帯電話では、基地局とコアネットワークを繋ぐ大容量回線としても利用されている。これから、モバイル通信がさらに高速化し、通信トラフィックが増大していくなかで、基地局向けの固定回線がどうなるのか、という点も技術面における注目トレンドの1つだ。

基地局を細かく設置して容量を確保

 一般的に、携帯電話のサービスエリアは、ビルや鉄塔の上に基地局が置かれ、その周囲をカバーし、基地局をあちこちに設置して面を広げていく。ところが最近は、スマートフォンの登場もあって通信量(トラフィック)が日に日に増えており、駅前の繁華街などでは、ごく限られたエリアだけをカバーする小型基地局の設置も増えている。

 現在、主流のLTE方式に続き、これからLTE-Advancedと呼ばれる次世代の技術が導入され、さらなる高速化が図られるが、通信量もあわせて増大する見込みであり、「大きなエリアをカバーする基地局」と「ごくわずかなエリアだけの小型基地局」という組み合わせは、今後、さらに拡がるとみられている。こうした組み合わせはヘテロジニアスネットワーク(HetNet)と呼ばれており、LTE-Advancedでは、さらに基地局同士を協調させる仕組みや、大きな基地局ではプラチナバンド、小型基地局では3.5GHz帯など高い周波数を使って、両方を組み合わせるキャリアアグリゲーション(CA)といった手法を採用して、繋がりやすいエリア作りが進められる見込みだ。

ファーウェイの提案

ファーウェイの滝広氏

 ファーウェイでは、そうした状況に向けたソリューションを今回の「FOE2014」に出展する。ファーウェイジャパンのソリューション・セールス本部チーフネットワークアーキテクトの滝広眞利氏によれば、ファーウェイでは基地局設備のうち無線関連の設備(RRU、Remote Radio Unit)を数多く展開する状況に対して、ベースバンド処理はクラウド(Cloud BaseBand、Cloud BB)で処理する仕組みを提案。そして無線装置とCloud BBを結びつけるネットワークとして、光ファイバーやマイクロ波を使うのだという。このCloud BBは最大で1800のセルを処理できる。

 光ファイバーで繋ぐ場合、RRUとCloud BBの間で輪を作り、一方のルートが何らかのトラブルで切断されても、もう一方で繋がるような形にする。この場合、遠回りのルートになると、遅延が拡がる可能性もあるが、あらかじめその分を調整しておく手法も採り入れた。

 光ファイバーがない場所へ基地局を設置する場合、Cloud BBとRRUはマイクロ波で繋げる。80GHz帯前後の5GHz幅ずつを使って、1.25Gbps~10Gbpsという速度で繋げる。現在は、都市部での展開が想定されているとのこと。

 滝広氏は、NTTドコモが開発している高度化C-RAN(Centralized Radio Access Network)と同じ技術ではないかとした上で、1000を超えるセルを管理する場合でも信頼性のあるネットワークにするとして、ファーウェイでは規模の大きな設備もサポートできるとした。またRRUとCloud BBという構成するメリットとして「これからマイクロセル(小型基地局)の展開がどんどん早くなる。マイクロセルが進展すると、あるエリアでは1つの基地局だったのが10倍くらいになる感じ。これまで以上に、ベースバンドを1カ所に集めて基地局同士の協調処理をするメリットが出てくる」とコメントした。

 既に韓国や香港、そして中国のChina Unicomで採用されているとのことで、導入することで通信事業者にとっては、基地局を設置する面積が小さく済むようになると説明。LTE-Advancedのスピーディな展開にも寄与できるとした。

関口 聖