ニュース

「子どものスマホ依存が不安」~ママの声から生まれたTONEの“使わせない”新機能

 トーンモバイルが発表した新端末「TONE m17」には、子どもが安全にスマートフォンを利用するための新機能が搭載されている。この狙いが石田宏樹社長より紹介された。なお、端末についての詳細別記事をご覧いただきたい。

トーンモバイル 代表取締役社長の石田宏樹氏(左)と「VERY」編集長の今尾朝子氏

通信事業者として抵抗があった「使わせたくない」という声

 TONEは、2月より女性誌「VERY」とコラボレーションして、子ども向けスマートフォンの新機能を共同で開発してきた。VERYの読者アンケートによって浮かび上がった母親の声は「子どもをスマートフォン依存にさせたくない」というもの。特に、夜にスマートフォンを使うことへの不安が大きかったという。

 一方で、ITリテラシーが低いために、スマートフォンの利用を制限する機能を設定できないという声も多い。石田氏は「どの親も子どもを守りたいという気持ちは同じ。しかし、子どもを守りたいが親自身のリテラシーが足りないのが悩みだった」と説明する。

 この母親達の声を元にVERY側は「夜間にスマートフォンを使えないようにしてはどうか」と提案。石田氏は「いつでも使えることが価値になる通信事業者としては、発想を切り替えないといけない難題だった」と振り返る。一方で、子どものスマートフォン利用のトラブルは社会問題化しつつある。こうした状況を重く見て「中学生になるまでは、夜10時~朝6時まではTONEのスマートフォンを使えない」というルールを決めたという。

 このルールは設定なしで適用される。TONEの契約時に利用者の年齢を中学生未満と申告すると、初期設定で22時~翌6時まで、端末にロックがかかるという仕組みだ。見守り機能から、親の判断で解除することはできる。

リテラシー不足に悩む親も使える「親子のスマホ約束」

 また、新機能の中でも特にユニークなのが、紙に書いた制限の内容をスマートフォンに反映する「親子スマホの約束」だ。これは、制限をかけるなら、子どもに納得して使ってもらうべきというVERYの考えから生まれたという。

 子どもにスマートフォンを買い与えるときに、親子で利用ルールを決めても、実効性を持たせなければ、そのルールはなし崩しになってしまう。紙に書いたルールは壁に貼っておいて、その通りに利用させるようにできないか、というのがVERYのアイデアだった。

 「親子スマホの約束」では、文字認識技術を使ってそのアイデアを実現。専用の用紙に利用ルールを書いて、その内容を読み取り、スマートフォンに自動で設定するという仕組みで、ITリテラシーの低い親でも使えるようにした。

 また、学校など、そもそも子どもがスマートフォンを利用するにはふさわしくない場所で、その場所に入った時点でロックがかかるという機能「ジオロック」も用意。こうした利用制限機能を充実させながらも、見守りや緊急通報といった機能は残すことで、子どもの安全を守りつつ、スマートフォンを利用させる仕組みを実現した。

 9月には、NFCを活用したオプション「お知らせシール」を発売する。子ども部屋などに貼っておき、子どもがTONE端末でタッチすると親の端末に通知が届くという製品で、ジオフェンスより高い精度で子どもの位置を把握したいという要望に応えるものだという。

富士通との共同開発でハードウェアも「安全安心」に

 TONEの見守り機能の基盤にある遠隔設定や端末ロックといった仕組みは、同社が開発したミドルウェアによって支えられている。標準的なAndroid OSに大幅な機能追加を施すため、これまでのTONE端末は、主に中国のODMメーカーを利用して開発されてきた。

 今回の「TONE m17」では、富士通コネクテッドテクノロジーズがODMとなっている。富士通がarrowsシリーズで提供している防水、防塵、耐衝撃の技術をベースとした「TONEダメージレス構造」によって、落としたり水に濡れたりしても、壊れないようにしたという。

 加えて、TONEのミドルウェアを組み込むことで、独自の機能を実装。富士通の協力により、独自機能も従来より向上させたとしいう。例えば、IP電話では従来機種より遅延を低減。端末を箱で置くだけで、設定をチェックする「置くだけサポート」では、新たにバッテリーの不良というハードウェアの問題点も把握できるようになった。