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地方の課題をIoTで解決、ドコモら参加の「白山市IoT推進ラボ」発足
2017年6月30日 19:29
6月29日、石川県の白山市において、NTTドコモらが参画する「白山市IoT推進ラボ」の発足式が行なわれた。
白山市IoT推進ラボは、経済産業省とIoT推進ラボが選定しているプロジェクト「地方版IoT推進ラボ」のひとつ。過疎や高齢化など、地方特有の課題をICT技術で解決するための実証実験や人材育成、ソリューションの開発などを行なっていく。
産学官の共同プロジェクトで、金沢工業大学、白山市、NTTドコモ、アイ・オー・データ機器などが参画し、地元企業や地域住民が参加できるコンソーシアムを設立して活動を行なっていく。
白山市IoT推進ラボは、平成30年4月に白山市の里山地域に開設される金沢工業大学の白山キャンパスに拠点を設置し、事務局は金沢工業大学が担当する。
ドコモがなぜ白山市IoT推進ラボに参画するのか、どのようなことを行い、なにを目指しているのか、NTTドコモ 執行役員 法人ビジネス本部 IoTビジネス部長の谷直樹氏に話を伺った。
まずドコモが今回のプロジェクトに参加したきっかけは、経済産業省に選定されたからではなく、もともと金沢工業大学と付き合いがあり、その取り組みの中で地方版IoT推進ラボに応募したのだという。ドコモはどちらかというと、プロジェクトの立ち上げ側の立場だ。
白山市IoT推進ラボ向けに、ドコモでは白山キャンパス周辺にPremium 4Gネットワークを整備するとともに、IoT機器向け通信技術であるLoRa規格のネットワークも敷設する。
白山市IoT推進ラボでは、里山地域特有の課題を解決するような、IoTを使ったサービスやソリューションの創生を目的としている。ターゲットを特定の産業ジャンルに絞らず、農業や交通、観光、災害対策、新産業創出など、里山地域の課題を解決するためのあらゆるサービスやソリューションを対象とし、アイディアを出し合って検討し、実証実験や開発を行なっていく。
たとえばフリーディスカッションの中で生まれたひとつのアイデアとして、「農業機器のシェアリング」というものがあるという。通常は農家がそれぞれ用意している農業機器や設備について、複数の農家でシェアリングすることで、コストの削減や効率化ができるのでは、というアイデアだ。
こうした農業特有の課題は、農業に従事している人以外には気がつきにくい。NTTドコモや金沢工業大学だけだと、課題を解決する技術やシステムを持っていても、課題自体に気がつけないことがある。まずは地域の持つ「ニーズ」を知る必要があるのだ。
各企業が持つ「シーズ」と地域が持つ「ニーズ」をマッチングさせるというのも、白山市IoT推進ラボのひとつの重要な役割になっているとのこと。白山市IoT推進ラボは、産官学に加えて民(地域の市民)も参加することが重要なポイントになっているという。
すでに金沢工業大学では市民参加のハッカソンなどを実施しているが、今後はたとえば白山キャンパスに設置されたLoRaネットワークを活用する農業ソリューションを周囲の農家と協力して実証実験を行なう、といった展開が想定されている。
ドコモでは全体の戦略として、「お客さまへの価値・感動」と「パートナーとの価値・協創」という2つのテーマを掲げており、今回のような取り組みは後者、「パートナーとの価値・協創」にあたる。
地方創生分野では、NTTドコモはすでにさまざまな地方でさまざまな取り組みをしている。今回のプロジェクトもその一環だが、これまでの取り組みで培ってきたノウハウや技術を里山地域に応用する重要なテストベッドともなる見込みだ。