写真大好き

KDDI総研 菅谷知美
 KDDI総研海外市場・政策グループ。専門はラテンアメリカなど新興市場の情報通信政策・市場動向ということになっている。“ウズベキスタン”に行った話をしても友人の記憶には“何とかタン”としか残らないようだ。


 旅先では誰しも“にわかカメラマン/ウーマン”になる。使うカメラの種類としては、コンパクトデジカメ派、一眼レフ派、ケータイカメラ派の3タイプに分かれる。私はコンパクトデジカメ派だが、それほど熱心に撮る方ではない。

シャーヒズィンダ廟(筆者撮影)

 昨春に訪れたウズベキスタンの携帯電話加入者数は約2378万(2011年末)と、中央アジア5カ国の中で最も加入者数が多い。だからなのか、カメラといえばケータイがスタンダードのようだ。大きな都市ではコンパクトデジカメをもっているウズベク人も見かけたが、少し地方に行くとケータイカメラが主流で、一眼レフを見て、カメラかどうか分からない人もいたくらいだ。ただ、それより驚いたのは、観光客である私たちとしきりに写真を撮りたがることだ。

 青いドームのモスクで有名な街、サマルカンド。丘の上にシャーヒズィンダ廟という聖地がある。大勢の巡礼者が訪れるなか、日本人ツアー客が観光へと入っていくと、あちこちで人の輪ができ始めた。ウズベク人の誰かが、「一緒に写真に写って!」と日本人に頼むと、私も私もと撮影待ちの輪ができるのである。観光客が現地の人と写りたがるのではなく、逆なのだ。だからといって、お金を請求されることもない。なぜか、ウズベク人&日本人の腕組みツーショットで写りたがるので、撮影待ちの輪はなかなか解消されない。撮影待ちで並ばれる方としては、まったく理由はわからないけれど、プチ芸能人気分を味わえる。

広場での撮影会を終えたウズベク人の新郎新婦(筆者撮影)

 地方の町では、ティムール像のある広場でウズベク人の新郎新婦に出会った。ウズベク式結婚行事では、タキシード・ドレス姿で広場(人の集まるところ)を練り歩く慣習があるという。「誰でもどんどん写真を撮って!」ということだそうで、ツアー客一同、初めて出会った新郎新婦さんと記念撮影。その様子をケータイカメラやデジカメで撮影するウズベク人がワイワイ。また人の輪ができる。

 「ケータイで撮りまくった写真、現像するの? Webにアップするの?」とロシア系ウズベキスタン人のガイドさんに聞くと、「暇なときに眺めて、楽しんで、飽きた写真から削除していくだけだよ」と。ウズベキスタンは社会主義体制から独立して19年の若い国。時が経つと写真熱もおさまるのだろうか。

 どうやって統計をとるのかわからないけれど、「世界で一番写真が大好きな国民は?」というデータがあったら興味深い。今のところ、私の中ではウズベク人がNo.1。

(菅谷知美)

2012/3/27 11:42