本日の一品

カブることのない手作りボールペン

 気持ちとしては万年筆が一番使っていたい筆記具なのだが、実際に筆者が最も使う機会が多い筆記具はボールペンだ。シャープペンシルは昨今使う機会が少なくほとんどコレクションの域を出ていない。

あいにく名前は分からないが、ハンドメイドボールペンを手に入れた

 実際に街の文房具店に出向いてみれば、一番多く出会うのはボールペンだという感じもする。工業製品として最も安定した供給が行われているのも、きっとボールペンなのだろう。価格としても万年筆ほど高額な商品も少なく、企業などがイベントのノベルティとして採用する頻度が一番高いのも、ボールペンだろう。最近なら、ボールペンとスタイラスのコンビネーションだ。

過去にいくつか手に入れたことがあるハンドメイドのボールペン。手前は全てウッド、真ん中はコンクリート素材
リフィルはゼブラF。現在は1.0mmの中字黒を使っている。スプリングまで付属したリフィルを初めて見た

 それゆえ、ボールペンは大量生産大量消費のイメージが強いのも事実。しかし、世界中で手に入るメジャーな“交換インク芯”(リフィル)を見てみれば、その汎用性の高いリフィルを上手く収納して応用できる、カスタムメイドの筆記具を作りやすいのもボールペンなのだ。

 いずれにせよリフィルの評価、安定した供給がカスタムボールペンの命であることは確かだ。過去、筆者が購入したハンドメイドに近い筆記具や、半ハンドメイド商品の筆記具はその全てがボールペンであることからもその辺りは簡単に想像できる。

 今回、筆者が購入したハンドメイドボールペンは、世界にただ一人と言われている“ボールペン作家”である、原マサトさんの手による逸品だ。たまたま代官山に行く用事があり、時間つぶしに立ち寄った蔦屋書店の文房具売り場で見つけて購入した。

 蔦屋書店の保証書によれば、ハンドメイドボールペンの素材は、アマゾンローズと鹿、水牛と記されている。筆者の想像では、木部がアマゾンローズ、白い部分が鹿の角、茶色の模様のある部分が水牛の角で、その他の部分は真鍮と洋白と思われる。

 クルクルと回転する旋盤を使って削って作られているようなので、全体の形状はダイエットしたパゴダのような外観だ。ショーケースに入っているところを見ただけでは、持ちやすさには多少の疑問もあったが、実際に手にしてみると、その感覚はなかなかの出来だった。

リフィルの交換はきわめて簡単だったが、国内では余り見かけないブルーの中字を探す楽しみが増えた

 リフィルとしては、ゼブラ社の「ゼブラF」が推奨替芯だそうだ。当初は、ゼブラFの黒の0.7mmが装着されていたが、太字が好きな筆者は、1.0mm芯も同時に購入し、速攻でリプレース、芯の交換はきわめて簡単だった。本当は筆者の一番好きな青インクの1.0mmが欲しかったが、どうも国内ではあまり出回っていないようだ。暇にまかせて海外も探してみようと思っている。

 考え事をしている時や、ついつい指が暇な時にボールペンを回転させる癖のある人がいる。筆者が考え事をしている時は、この太めのボールペンを、球体のパワーストーンの如く、無意識にニギニギしたり、クルクルと回していることが多い。しかし、今のところまだグッドアイデアの兆候は見えていない。

オールディーズなノートと一緒に持ち歩きたい。ペン先は、最後部の真鍮製のポールを押しながら時計回りにねじってロックする。ペン先を凹める時はその逆だ
製品名購入先購入価格
HSBハンドメイドボールペン代官山 蔦屋書店18000円

ゼロ・ハリ