本日の一品

多彩な文字盤に、最も時計らしい外観のスマートウォッチ「LG G Watch R」

 昨年辺りから徐々に増えているスマートウォッチ。機種によって機能は異なるが、大きなコンセプトとして共通しているのが、スマートフォンで受けた通知を時計型のデバイスで確認できるということだ。様々なプラットフォームがあるのは、スマートフォンと同様。その中の1つがGoogleが開発した「Android Wear」となる。今回紹介する「G Watch R」は、そのAndroid Wearを採用したスマートウォッチ。開発元はLGエレクトロニクスで、同社のAndroid Wearとしては第2弾となる製品だ。

円形のディスプレイを搭載した「G Watch R」。写真のベルトは、筆者が購入して交換したもの。標準ではレザーのベルトが付属する

 最大の特徴は、ひと目見て分かるように、その形状にある。G Watch RはP-OLED(プラスチック有機EL)を用いた円形のディスプレイを採用している。多くのスマートウォッチがスマートフォンのディスプレイをそのままコンパクトにしたような四角い形状をしているのに対し、円形のG Watch Rは、見た目がまるで本物の時計のようだ。よくよく見るとケースの塗装がプラスチックのようでややチープだが、数あるスマートウォッチの中では、もっとも時計らしい外観をしている製品と言えるだろう。サイズはW46.4×H53.6×D9.7㎜で、男性向けの時計のなかでも大ぶりなサイズ感。普段から無骨なダイバーズウォッチなどを着けている人には、ちょうどいいかもしれない。

腕に装着したところ。やや大ぶりだが、腕時計の枠内には収まっている
ベルトの幅は22㎜。時計売り場などで販売されているベルトに交換することも可能だ。ベルトは、バネ棒で固定されている

 ベゼル部分には時計に用いられることの多い金属素材を採用。標準で付属するベルトは本革で、時計らしさを追求している。ベルト幅は22㎜で、時計用のものをそのまま流用可能。ベルトの固定にはバネ棒が用いられているため、一般的な時計と同じ方法で交換もできる。かく言う筆者も、標準添付のベルトの質感が好みではなかったため、金属素材のものを購入。22㎜幅の金属ベルトはあまり一般的ではなく、リアルな店舗にはほとんど売っていなかったのは誤算だったが、ネットでようやく好みのものを発見できた。

 外観の特徴は以上だが、ここからは肝心の中身を紹介していきたい。時計のような外観をしているが、G Watch Rは立派なコンピューター。OSはAndroid Wearだし、心臓部であるCPUには1.2GHz駆動の「Snapdragon 400」を採用している。RAMは512MB、ROMは4GBで、ミッドレンジからローエンドのスマートフォンに近いスペックだ。バッテリーは410mAh。IP67の防水・防塵に対応し、気圧計やジャイロスコープ、加速度計、コンパスなども搭載する。スマートフォンとはBluetooth Low Engergyで接続。対応するOSはAndroid 4.3以上となる。

 ソフトウェアは、一般的なAndroid Wearに近い。腕を挙げたり、ディスプレイをタッチしたりすると、画面が点灯。ここで「OK,Google」と呼びかけると、音声で操作を行える。とは言え、対応している操作はごく一部。検索や歩数の表示、SMSの送信といったことが可能だが、アプリまでは呼び出せない。購入後1週間以上、毎日着けているが、知らない人がたくさんいる場所で使うのに、ちょっと勇気がいることもあり、残念ながら出番はほとんどない。

「OK,Google」と呼びかけ、音声で操作する。その状態のまましばらく経つか画面を触ると、タッチでメニューを選択できる

 それより便利なのが、通知を確認できること。GmailやカレンダーといったGoogle純正アプリはもちろん、LINEやドコモメールのようなサードパーティ製アプリの通知もしっかり表示できる。特に設定しなくても、スマートフォン側にアプリが入っているだけでいいのは手軽だ。アプリによって、通知がわかるものだけだったり、そのまま音声入力で返信ができたりと様々だが、とりあえず通知がきていることがわかるだけでも便利。スマートフォンを、カバンの中に入れておいてもすぐに気づける。Gmailのように、きちんと作りこまれたアプリなら、本文まで表示できる。また、Google Nowを通知してくれるため、Googleカレンダーに住所まで入力しておけば、きちんと目的地に時間通り着くように通知してくれる。これなら、うっかり出発が遅れて、遅刻するということも減りそうだ。

スマートフォンが受けた各種通知を表示できる。特殊なアプリをインストールしている必要がないのも便利
アプリによっては、そのまま音声入力でメッセージの返信をすることも可能だ。写真はLINE
メニューから、アプリ一覧を呼び出したところ。こうした階層構造は、スマートフォンのAndroidにも似ている

 Android Wearを採用しているだけに、アプリでのカスタマイズも可能だ。アプリはスマートフォン側からインストールする仕組みで、Google Playからダウンロードできる。インストールしたアプリを呼び出したいときは、まず画面をタップ。メニューをスクロールさせ、「開始」と書かれたアイコンをタップする。ここを押すと、インストールしたアプリがズラリと表示される。今のところ自分にとってのキラーアプリと呼べるような決定的なアプリは見つけられていないが、スマートウォッチ側からスマートフォンのテザリングをオンにできるアプリはなかなか便利。音楽をコントロールするためにも、使っている。

アプリのインストールは、スマートフォン上から行う
音楽のコントロールが腕元でできるのは、便利。筆者が重宝している機能の1つだ

 とは言え、これらはAndroid Wearの標準機能。同プラットフォームを採用する、ほかのモデルでも同様のことができる。G Watch Rならではの機能の1つは、やはりその円形ディスプレイを生かしたウォッチフェイスの多彩さだ。クロノグラフ風のものや、デジタルウォッチ風のものなど、多数の文字盤がプリセットされていておもしろい。気分に合わせて、時計のデザインを変えられるというわけだ。もう1つのG Watch Rならではの機能が「アンビエントモード」。放っておくと画面が消えるのはAndroid Wearに共通している機能だが、G Watch Rは、針と時刻の目安だけを常時表示できる。表示はシンプルになるものの、時間だけはこの状態でも確認可能だ。

円形のディスプレイを生かした、多彩なウォッチフェイスを用意する

 この状態だと、消費電力は1/10になるという。なぜそのようなことが可能かと言うと、それは、ディスプレイが有機ELだから。自発光で標準の状態が黒の有機ELは、液晶と異なり、点灯させた部分だけが電力を消費する。つまり、アンビエントモードだと、長針、短針と、時刻の目盛りだけが電力を使っており、そのほかの黒い部分は消灯している状態と同じになるというわけだ。このおかげで、電池の持ちと利便性を両立させることができている。

画面の表示をシンプルにして、消費電力を減らすアンビエントモード。標準設定だと画面が完全に消えないが、これでも消費電力は1/10になる

 電池の持ちは、まずまずといったところ。朝、充電器から外し、そのまま腕につけっぱなしにしているが、日付が変わるころまでしっかり使えている。通知の数や、どのくらい操作したかにもよるが、おおむね深夜0時ごろには20~30%ほど電池が残っている。これなら、翌日の朝ぐらいまでなら、電池が切れることはないだろう。とは言え、1日に1回は充電しないと、やはり電池が足りなくなる。まだまだ発展途上な操作性と合わせて、駆動時間を伸ばすことも、スマートウォッチの課題と言えるだろう。

製品名製造元購入場所購入価格
G Watch RLGエレクトロニクスGoogle Play3万3900円

石野 純也