本日の一品

銀座「五十音」で買ったつまみ出し式 “チューブ消しゴム”

懐かしい学生時代には使ったことがある絵の具のチューブイメージの消しゴムだ

 “消しゴム”はそれを作り上げている素材の種類もきわめて多いステーショナリーだが、昨今は、道具としてのスタイルのバリエーションも広がっている。

 ビジネス分野では設計や製図などがCADに置き換わり、パーソナル用途でも鉛筆やシャープペンシル、万年筆に代わってボールペンの利用シーンが増えている。鉛筆やシャープペンシルで書いた文字や図の消去に使用する消しゴムの登場機会は、どんどん減ってきている。

 市場が縮小していく時は、その小さな市場の奪い合いが加速する。そんな中で、市場から撤退する企業が現れる一方で、ポジティブにアイディアを盛り込んで工夫をこらした新商品を生み出し、価格競争から可能な限り遠ざかって、継続性のある健全なビジネスを志向する企業も登場する。

 市場が大きく旺盛な需要があった頃は、ただ四角いカタチだけの素っ気ない消しゴムだったが、市場が小さくなっている昨今は、そこにいろいろな工夫やデザインを凝らした商品が登場してきている。ノック式や捻ることによる繰り出し式の便利なスティック型消しゴムや、細かなところを確実に消去出来る特殊な形状をしたモノなど、“納得感”で思わず買ってしまいそうな商品も多い。

 ますます競争の激しくなる市場で生き残っている消しゴムは、実用性に直結する差別化デザインを実現した商品や、もう1つ、思わず買いたくなるようなアイディアやセンス、オシャレ感覚を商品に吹き込んだモノが多い。本日の一品としてご紹介する銀座「五十音」謹製の「チューブ消しゴム」もそんなオシャレ感覚溢れるリーズナブル価格の消しゴムだ。

 全体の形状はかなり頑丈なアルミパイプから作られているようで、一見して誰もが知っている懐かしい絵の具のチューブ型だ。ねじ込式のキャップは初めから付属しておらず、絵の具が出てくるところから丸いスティック状の消しゴムが突起している。

 チューブの胴回りには名前を書いたり、好きなメッセージを書けるように周囲に紙テープが巻かれている。簡単に手書きや、パソコンでユニークなイラスト入りメッセージ等を作ってプリントアウトし、自分専用のチューブ消しゴムに仕上げることも可能だろう。

 チューブ消しゴムは、メカ好きや、面倒くさがり屋にはちょっと期待はずれかも知れないが、昨今、市場で流行しつつある、シャープペンシルやカッターナイフの様な簡単なノック式やスライド繰り出し式の消しゴムではなく、ノン・メカニカルでかなりアナログ的な繰り出しの仕組みを採用している。

 消しゴムがすり減って短くなってきたら、おもむろにスティック状の消しゴムの周囲で消しゴムとチューブを固定している内側のリングを爪先で少し力を加えて引き抜き、適度な長さにスティック状の消しゴムを引き出し、そのまま再度、内側のリングと消しゴムを同時にチューブ側に押しこむという固定作業を行う必要がある。

 慣れるまではちょっと面倒に思うかもしれないが、慣れてしまえばほんの数秒以下の作業だ。文章を考えながら書いたり、アイディアや企画を考えている時の、そういうチョットした何も考えずにできる単純作業は、脳細胞をリフレッシュしてフラグメンテーションを一掃する特効薬なのだ。文房具に限らず、昨今は無駄のない合理的な商品が求められることも多いが、人が文化的に楽しんで生きてゆくためには、時には“無駄を楽しむ”ことも重要なのだと思う。

最近は、伝統的な消しゴムイメージから離れた商品も多く登場してきている。多くはスティック状のメカニカルな繰り出し式消しゴムだ(手前)
チューブ消しゴムも繰り出し式の市販の”消しゴムリフィル”を利用する
レトロな落ち着いた雰囲気が好きな人にはピッタリのデザインだ。
時にはあくせくせずにゆっくりと考え事を……。チューブ消しゴムはそういう雰囲気の商品だ
製品名購入場所購入価格
チューブ消しゴム銀座五十音480円

ゼロ・ハリ