手書きメモ→画像化アイテムがコクヨからも登場!「CamiApp」
コクヨ「CamiApp」シリーズの1つである「ツインリングメモ」(メ-CA90S)。A7相当サイズのメモ帳 |
文具メーカー大手のコクヨS&Tから、新タイプのノート「CamiApp(キャミアップ)」が発表された。手書きの文章やイラストをスマートフォンのカメラで撮影すれば、簡単に画像ファイル化できるという製品だ。B5・A5相当の大学ノートタイプ、メモ帳風のものまで合計8種類が、9月7日に発売される。今回は、サンプル品をお借りできたので、一足早く試用してみた。
今回使ってみたのは「ツインリングメモ」(メ-CA90S)で、サイズはA7相当。外見は、胸ポケットに入る小型メモ帳そのもの。50枚綴りだが、表裏とも書けるようになっているので、実質的には100ページ分のメモができる。価格は241円だ。
試用する前から気になっていたのがネーミングだ。「CamiAppってどういう意味?」とまさしく頭上にハテナマークが浮かんでいたが、実際に製品を見てよくよく考えたら由来が想像できた。「CamiApp」というロゴの書体が、コンビニでも売ってる超定番ノート「Campusノート」とほぼ同じ。つまり、Campusノートの頭3文字+i(iPhoneなどの意味?)+App(アプリ)という事らしい。
いきなり余談から入ってしまったが、「ツインリングメモ」の構造自体は本当にフツーのメモ帳だ。黒1色の厚紙の表表紙・裏表紙はかなりガッチリして固いが、肝心のメモ紙部分は一般的な上質紙とのこと。ただ、メモ紙部分の印刷は横罫線ではなく5mm方眼になっている。
スマートフォンへの取り込みには、無料の専用アプリ「CamiApp」を使う。iPhone版がリリースされており、ダウンロードが可能なのでこちらを実際に使ってみた。今のところの正式な対応機種はiPhone 4/3GS。iPod touchやiPad 2ではカメラの性能が足りないため、正常に動作しない可能性があるとしている。なお、Android版も9月に公開される予定という。
取り込むには、まずアプリを立ち上げて撮影モードに移行、その上で目的の用紙をファインダー画面内に収め、画面タッチでシャッターを切るという流れ。スマートフォンを日常的に使っている人であれば、操作に迷うことはないはずだ。このとき、CamiAppの種類(判型)を指定する必要もある(一度設定すれば記憶される)。
上方向へ開ける。メモ紙より表紙がちょっとだけ大きい点も実は重要なポイント | 「CamiApp」で用紙を撮影しているところ |
CamiAppの特徴は、アナログ的な大まかな撮影にも関わらず、傾きや歪みを自動補正して、メモ紙部分のみをきっちりと取り込んでくることにある。もちろん、周りのテーブルの模様といった余計な背景もカットしてくれる。
この補正のカギとなっているのが、実は黒1色の表紙。メモ紙部分よりも表紙が少し大きめに作られているため、ページをめくると黒枠がメモ紙を囲んでいるように見え、基準線として機能するという。ただ、これはツインリングメモをはじめとしたツインリングタイプの製品のみの仕様で、他の無線とじCamiAppでは、四隅のスキャンマークを利用して取り込む。
さて、文章や簡単な図を書いて、iPhone 4での取り込みを試してみた。日中の室内、晴天で外光がふんだんに差し込む窓際という好条件もあったかもしれないが、精度は十分だ。ピンぼけになることもなく、なかなか取り込まれずに苦労するということもなかった。ただし色味については環境光にかなり影響されるようで、紙の端の部分が少々青みがかっていた。とはいえ、メモという主目的を考えれば、それほど問題ではないだろう。
取り込み品位を左右するのは、やはり周りの明るさにあるようだ。夜間で、環型蛍光灯のみが光源の室内となると、手ブレしないように気をつける必要があった。製品の注意書きにもあるが、とにかく明るい場所・時間帯を見つけてスキャンするのがよいだろう。
取り込み時には「アクションマーカー」という仕組みがある。用紙左上部分にあるボックス状マークの塗りつぶし方によって、7種類の番号を画像データに付加できる。「CamiApp」アプリではこの番号ごとにタグを紐付けられので、メモ取り込み時に自動でタグを付加できるというわけだ。この取り込み精度についても、特に不満を感じる部分はなかった。
タイトルは取り込み後に設定可能。タグは「アクションマーカー」を使うことでも付与できる | 実際に取り込んだ画像。下手な字でスミマセン…… |
アプリから“落書き”することもできる |
「CamiApp」アプリ自体にもさまざまな機能がある。アクションマーカーとは別に自由なタグ付けができるし、取り込んだ画像データ上に図形や手書きラインなどを付加できる。画像の明るさも調整可能だ。また、一番重要なことだが、画像データはメール送信(iPhoneの場合はi.softbannk.jpの「メール」から)、もしくはEvernoteへアップロードできる。これにより、さまざまな応用が考えられるだろう。
というわけで色々試してみたが、肝心要の手書きメモ→画像データ化という部分はノンストレスで行えた。「CamiApp」アプリの使い勝手は十分だし、メモを収蔵すればするほど、デジタル化の意義は高まると思う。
ただ筆者のように、講演者やインタビュー相手の発言内容をとにかく素早く書き殴って、後で1~2度見直すだけという用途が中心の人間にとっては、そもそものニーズに合わない。やはり、大学の講義とか、社内研究、議事録など、きれいにノートをとって後から繰り返し読む機会が多い人向けの製品のように思える。
もう1つ、気になるのはやはり価格だ。「ツインリングメモ」とほぼ同判型・同仕様の製品で「メ-M363」という(一般的な)メモ帳があるのだが、こちらの価格は147円。つまり約100円の差がある。月並みな意見ではあるが、ユーザーの用途、懐具合に応じてCamiAppにするか、既存製品にするか決めるのが一番だろう。
■キングジムの「ショットノート」と比べてみた
右にあるのがショットノートの「9120」 |
さて、手書きメモをスマートフォンへ簡単取り込みできる製品として市場で先行しているのが、コクヨと同じく文具メーカーであるキングジムの「ショットノート」シリーズだ。せっかくなので、手持ちの「ショットノート」を「CamiApp」と比べてみた。
ショットノートは製品バリエーションを次々と増やしているが、「ツインリングメモ」(メ-CA90S)とほほ同じ仕様の商品として、ツインリングタイプの「No.9120」(315円)がある。メモ紙のサイズはほぼ完全に同じ。表紙とメモ紙が同じサイズな分だけ、わずかに「No.9120」がコンパクトだ。メモ面の印刷は横罫線、ミシン目によるページ切り離しができる。また「No.9120」は表紙色を黒・白の2つから選べる。
スマートフォン用の独自アプリを使って読み込むのは双方とも同じだが、メモ面のデザインはかなり違う。「No.9120」ではメモ紙の四隅にプリントされたマーカーを基準に傾きや歪みの補正を行う。この部分を汚さないようにメモしなければならないため、ほんのわずかではあるが書き込みエリアが相対的に狭くなったような印象を受ける。また、上部には日付やシリアル番号をOCRで認識するための書き込みスペースがある。CamiAppのアクションマーカーとはまた異なった分類ができるわけだ。
用紙の四隅にあるマーカーをもとに、歪みや傾きを補正する点が異なる | ショットノート用アプリで実際に取り込んだ手書きメモ。上部のナンバーと日付は、OCRできっちり認識できていた |
アプリの作りについては、現時点では、どうやら後発の分だけCamiAppが有利なようだ。一番の違いは画像処理機能の充実度だろう。CamiAppでは取り込んだメモデータの上にさらに画面タッチ操作で赤線や囲みなどを書き込める。対してショットノート用のアプリは、明るさ調整がある程度だ。
一方で、アプリで取り込んだ画像をiPhoneのカメラロールへコピーする機能は、ショットノートにだけある模様。また、8月下旬の段階ですでにAndroid版アプリを公開しているのもショットノートのみだ。
紙のメモは日常的に使う製品だけに、あとは書き心地、手に持ったときの感触なども重要になってくるだろうか。このあたりは甲乙付けがたい部分だけに、気になるユーザーはCamiApp発売後に実際に使い比べてみてほしい。
製品名 | 製造元 | 購入価格 |
CamiApp ツインリングメモ(メ-CA90S) | コクヨS&T | 241円 |
2011/9/7 06:00