情けなさでマジックテープ式を上回る? 紙製財布「マイティ・ウォレット」


内容はデラックスになって価格はダウン。ガジェット商品のあるべき姿だ

 ニューヨークの“ダイノマイティ・デザイン社”が手がけるタイベックス紙の財布「マイティ・ウォレット(Mighty Wallet)」をこのコラムで紹介したのはもう3年も昔のことだ。頼まれもしないのに、たった1人で情けなさ爆発の紙の財布のエバンジェリストをやっている。

 先日都内の某文具店で、従来よりはるかにデラックスになり、価格は以前より安くなった新しいマイティ・ウォレットを発見し、購入したのでご紹介したい。読者の皆さんも世代によって感じ方はまちまちだが、小学校低学年の頃、ゴールデンウィーク前の図画工作の授業に「紙兜」を作った記憶のある方も少なからずおられるだろう。

 紙兜と同じだが、手作り風、かつきわめて貧相なペーパー・ウォレットのバリューは、(1)軽い、(2)安い、(3)珍しいの3点だけだ。一方、誰でも気づくマイナス点は、(1)弱い、(2)格好悪い、の2ポイントだ。

 ごく普通のモノを、多くの人が欲しくなる特別なモノに変身させるには、長所の拡大か、短所の克服、そして長所化が基本戦略だ。マイティ・ウォレットは、素材に“マイクロファイバー紙”を採用することで、軽さを演出し、同時に、引っ張り強度や水に対する抵抗力を向上させ、本来の紙が持つ弱さを克服した。

 しかし、たった1つだけ、素材の品質ではカバーできないことがある。それは、抽象的で曖昧な印象である「格好悪さ」だ。一個人のがんばりではいかんともしがたいこうした既成概念の改善には、“ヴィトンの財布を持つよりマイティ・ウォレットの方がカッコいい”、“世界のトップモデルやハリウッドスターが使い始めている”といったトレンド・セッティングが必要だ。

 実際の販促活動では、マイティ・ウォレットを使えば、エコ活動に貢献できるとか、自然保護団体への寄付が自動的に行えて、オーナーがレジストレーションされるなど、ユーザーの手を煩わせない貢献システムの抱き合わせが必要だ。近未来のマイティ・ウォレットは、必ずそういう方向に向かって欲しいとひそかに思っている。

 さて、新しいマイティ・ウォレットは、紙幣を収納するコンパートメントが増えて2箇所になり、札種によって分類収納が可能になった。また明確なクレジットカードポケットが2箇所ある。想定された使用法かどうかは別にして、それ以外に、隠しポケットや隙間のような収納袋が3~4箇所は確保可能だ。

 筆者は、その一部で表面に最も近いところにSUICAを入れ、両方のスリットに名刺を合計10枚収納している。かなりの厚さになるが、普段、ジーンズのお尻のポケットにぎゅうぎゅうと押し込んでも、マイクロファイバー紙はビクともしない強靱さだ。

 今回は、“牛革財布のイメージ”を印刷した「なんちゃって牛革財布」と、「コンピュータ・アウトプット・フォーム紙財布」の2種類を購入。毎日愛用している。

 なんちゃって財布の“情けなさオーラ”を利用すれば、彼女との豪華ディナーの席で割り勘に持ち込める可能性もあるかもしれない。しかし、そんなセコイことにマイティ・ウォレットを利用してはいけない。紙の財布からさりげなく金やプラチナのカードを取り出し、スマートに支払いをしてほしい。

ゆる~い札入れや軽~い財布は、現代社会の一つのトレンドになりつつある。右上は3年前、日本に輸入されてすぐの初代タイベックス財布。長持ちだ最新の“My Old Wallet "革の印刷が情けなさ爆発。多くの収納が可能になった。筆者は、頻繁に変わるの覚えていられない自分のケータイ番号を書き込んでいる
馴染んでくるまでは、自然に開いてしまう。1日、ジーンズの後ろポケットに入れていればすぐに馴染んでしまう“Number”は、札入れが2カ所になったこと以外は基本的に3年前のモデルとほぼ同じだ

商品名実売価格購入場所
マイティ・ウォレット「My Old Wallet」
マイティ・ウォレット「Number」
各1785円銀座 伊東屋

 



(ゼロ・ハリ)

2010/10/19 06:00