子供向けと思ってたけど意外にハマる「爆丸」
エントリーバリューパック、パッケージ外観 |
エントリーバリューパックの内容物。これだけで遊ぶために必要な最低限の内容が揃う。ポイント計算用に紙と鉛筆、もしくは電卓があればなおよい |
最近、我が家に遊びにくる息子の同級生達の間で、あるオモチャが流行っている。セガトイズが展開中の「爆丸」(バクガン)だ。元々は2007年にアニメと連動する形で発売されたオモチャだが、日本よりも先に北米で人気に火がつき、ヨーロッパへ人気が拡大。そして今年2月にはアニメ第2期の放送が日本で始まり、これをきっかけに日本でも改めて注目され始めたのだ。筆者の場合も、現在放映中のアニメを見た子供にせがまれて入手したのだが、いざ買ってみると自分も気に入ってしまった。昔やっていた遊びにルールが似ており、子供に教えながら自分も楽しめるのと、「爆丸」のディテールやギミックが思いのほか良いためだ。
「爆丸」は、初期状態ではその名の通り直径3cmくらいの球状のアイテムだ。中に磁石が仕込んであり、金属などに触れるとこの磁石が動き、ロックが外れ、バネ仕掛けのギミックが作動する。収納されている各パーツが瞬時に展開し、ドラゴン、ゴーレム、ヒュドラなどのキャラクターへと変形する。「爆丸」単体では可変型のフィギュアでしかない。これはこれでなかなか味のある外見だが、ゲームとしての「爆丸」の遊び方は、男の子の大好きな「戦い」だ。
30代後半、それ以上の読者なら、昔「陣地取り」遊びをやった経験があるのではないだろうか。地面に円を描いて「陣地」とし、そこへ手持ちのビー玉や小石を投げ込んだり転がしたりして、相手をはじき飛ばし「陣地」を奪い合うゲームだ。「爆丸」の遊び方はこの昔懐かしい遊びに比較的近い。陣地に相当するものが「ゲートカード」と呼ばれるカード。双方2枚ずつ出し合ったこのカードに向けて、手持ちの「爆丸」を交互に転がす。カードに仕込まれた鉄板に「爆丸」の磁石が反応、変形してカード上に留まれば、まずは爆丸の投入は成功だ。自分の「爆丸」が2つカード上に乗る(つまりは「占領」)かすれば勝ち、そのカードをゲットできる。先に3枚のカードを獲得したプレイヤーが勝者となる。「ゲートカード」には金属板が仕込まれているが、「爆丸」の磁石は底部に内蔵されている。カード上で磁石を反応させ変形させるには、「カード」上を通過する際に「爆丸」の底部がうまくカードに接地するように転がすテクニックが必要になる。変形した相手の「爆丸」を、転がした勢いや変形の勢いではじき飛ばすテクニックも重要だ。
エントリーバリューパックに添付のバトルフィールドに各カードと爆丸をセットしたところ。なお、バトルフィールドは「爆丸」製品サイトからダウンロードしてプリントアウトすれば同じものが手に入る |
実際やってみると痛感するのだが、結構な「ワザ」が必要だ。まっすぐ転がすのもそう簡単ではないし、バトルの展開次第ではボウリングの「スピンボール」さながらの変化球を投げる必要も出てくる。相手をはじき飛ばすにしても、うまくコントロールしないと自分が飛び出してしまうので簡単ではない。逆に、ここに「ハマる」ポイントの1つがある。ボウリングやビリヤードと同様、基本的な技だけでも戦えるが、技のバリエーションを増やせば戦い方に幅が増え、難しい局面からの逆転も狙える「上級者の戦い」ができるのだ。友達同士で集まって遊ぶ際にも、難しい技を披露すると注目されるし盛り上がる。
例えば、相手からはじき飛ばされないように防御する、やや特殊な「召喚爆丸」を前面に置く戦術も可能だが、スピンボールを投げられるプレイヤーの場合、カーブのように投げて側面から相手にぶつけ、はじき飛ばすことも可能。こうなってくると見ているだけでもかなり面白い。かつて「陣地取り」で鳴らした読者なら、当時の腕を子供達の前で披露すれば尊敬の眼差しで見られるかもしれない。そうではなくても、親子で特訓するという楽しみかたも充分アリだろう。
「ゲートカード」を獲得する方法はもう1つある。というかこちらがメインの楽しみ方だろう。前述したとおり爆丸底部の磁石とゲートカード内の鉄板がうまく反応すれば「ポップアウト」(変形)する。変形が完了した状態を「スタンド」と言う。プレイヤー双方の「爆丸」が同じゲートカード上でポップアウトしたら「バトル」開始だ。
バトルはそれぞれの「爆丸」が固有に持っているポイント数と、幾つかのパラメーターに従って付与されるポイント数の合計で勝敗が決まる。ここで勝負の駆け引きに使われるのが「アビリティカード」と呼ばれるものだ。ポイントの追加、特殊能力の発動、能力の制限などがこのカードで発動させられる。最初にどのカードを選ぶか、あるいはどのタイミングでカードを出すか、戦略的なアタマの使い方が求められ、つまりこちらの遊び方はカードゲームの要素を持っているわけだ。
これらの遊び方については、しっかりとしたルールが存在する。詳細は公式サイトの「公式ルール」ページを参照していただきたいが、さまざまな状況に対応するため、それなりに複雑だ。基本的には、大枠のバトルフィールドと呼ばれるシートがあり、この中に爆丸のシュート開始位置や「ゲートカード」を置く位置があらかじめ印刷されている。ポイントはアビリティカードで、きちんと文章が読め、内容を理解していないと、途中で混乱する。
筆者の息子やその友達はまだ幼稚園児であるため、アビリティカードなどは今ひとつ内容を理解できないようで、最初は結構、適当だった。元々の推奨年齢が小学生以上なので致し方ないといえばそれまでだが、遊ぶことが目的なので、子供にしても結構モチベーションが高く学習してくれるのは驚きだった。例えばこのゲームではバトルにおいてポイントの計算が必須なので、3桁の足し算が出来ないとゲームをプレイできない。最初の2日はでたらめだった息子も、3日目あたりからは簡単な3桁の暗算と、電卓を使った計算ができるようになってきた。「アビリティカード」の文章や組み合わせの前提条件も、少しずつではあるが学習している。意外と知育っぽい効果があるのかもしれない。
なお、ルールを本格的に覚えたり、友達以外ともバトルを楽しむ場として、販売元のセガトイズでは「爆丸チャレンジ'10」というスキルアップイベントを全国の玩具店や玩具販売コーナーなどで実施している。筆者も先日、近所のイベント会場で参加し、指導員(?)のお兄さんに教わりながらほかの参加者達とバトルを楽しんだ。中には数十個の「爆丸」を持ち込んでいる猛者もおり、息子は手厳しく負けることもあったが、やり込んでいる上級者のテクを見るのも良い勉強になる。
イベントに参加する上で1点気になったのは、参加者が持ち込む「爆丸」やカード類はかぶっていることが多く、取り違えそうになったことがしばしばあったことだろうか。自分の持ち物であることを識別するためのマーキングを、何らかの形で行ってから参加すると、トラブルの予防になるだろう。
転がすアイテムとしての「爆丸」は、すでにかなりの種類が販売されている。最初に購入するのなら、いくつかの「爆丸」とカード類、バトルフィールドがセットされた「エントリーバリューパック」を購入するのがお勧めだ。キットにはチュートリアルDVDも入っているので、最初はこれをじっくり見ることを強くお勧めする。慣れてきたら、単体売りの「爆丸」を購入したり、カード類の追加パックを入手したりすることでバリエーションのある戦い方ができる。バトルフィールドにも別売りのものがあり、こちらは「クッションボール」のような「爆丸」の投げ方ができるなど違う楽しみ方もある。
「爆丸」は1個あたり数百円。高いか安いかの判断は控えるが、増えてくるとそれなりの金額になる。もっとも、収集する楽しさがあり、手持ちが増えれば作戦のバリエーションも増える。とはいえ、無制限に買い与えることは教育上よろしくないと筆者は考えている。どうバランスを取るかは悩みどころだ。
ということで、子供は勉強しつつ楽しみ、親もちょっとしたフィギュア収集感が楽しめる「爆丸」、なかなかに楽しい。「エントリーバリューパック」の購入から始まった我が家の6体の「爆丸」は、いつの間にやら仲間が増えて20体以上になっている……。休日は親子で楽しんでみてはいかがだろうか。
製品名 | 製造元 | 購入価格 |
爆丸 エントリーバリューパック | セガトイズ | 2625円 |
(C)SEGA TOYS/SPIN MASTER/BAKUGAN 2 PROJECT・テレビ東京
2010/9/3 06:00