本日の一品

自宅で化学実験、格安で炭酸水を作ろう「キリツボ」

 徐々に暑さが増してきて、我が家では炭酸水の消費量が増えてきた。清涼飲料水は飲み過ぎ禁物だが、ただの炭酸水ならガブガブ飲んでも気にしなくてよいところがよいし、出費も抑えられる。

キリツボを組み立てたところ。圧力計がカッコイイ

 しかし、毎日飲んでいるとさすがに財布への影響が大きくなるので、以前から炭酸水を自宅で作る方法を調査していた。当コーナーでも以前「ソーダストリーム」(※関連記事)が紹介されているが、この手の機器は専用のガスボンベやボトルが必要とされているので、結局ランニングコストが安くならないのではないかと思って手を出せずにいたのだった。

ペットボトルをセットしたところ。右にある支持具もキットに付属してきた

 しかし、先日Twitterでみかけた炭酸水を作るイベントをきっかけに知った炭酸水製造器「キリツボ」は、筆者の持つ懸念点を全て解決しているのがわかった。一般的な炭酸水製造器は高圧の炭酸をボンベに閉じ込めておくために、専用機材が必要になるのだが、今回購入したキリツボは毎回クエン酸と重曹を混ぜて二酸化炭素を発生させるのが他の炭酸水製造器と違うところだ。

 炭酸水を作る際に圧力に耐えるボンベは必要だが、その部分は市販の炭酸飲料のペットボトルを利用しており、簡単に安く調達できる。原材料である食品用のクエン酸と重曹は薬局や100円ショップでも購入できるし、本当に安くあげたかったら25kg入りの袋をネット通販で購入すればいい。キットに1kgずつ付いてくるので使い切ってから次を考えても遅くはないだろう。

届いた荷物の中身。水以外の必要なものが全てコンパクトに収まっている。フィルター3個がおまけで入っていた

 筆者が購入した「炭酸製造用キット(高級グレード)」という商品は、自分で組み立てる必要があるものだったので、まずはキットの組み立てから行った。組み立てる手順はそれほど難しくないのだが、一つ一つの部品をねじ込む際にかなり力が必要なので組み立てには1時間以上かかった。組み立て済みのものもさほど金額は変わらないので、組み立て自体をやってみたい方以外はそちらがお勧めだ。

重曹とクエン酸が反応して炭酸が発生する

 組み立てたらさっそく炭酸水を作ってみる。黄色いフィルターが入っているペットボトルに水道水を入れ、重曹とクエン酸を入れてそっとキリツボに取り付ける。乱暴にすると重曹とクエン酸が見ずに落ちて反応をはじめてしまう(=炭酸ガスが出始めてしまう)ので、そっと行うのが大事だ。

 次に炭酸を溶け込ませたい液体(水)が入ったペットボトルをキリツボの反対側に取り付けたら準備完了である。どう見ても実験器具のような見た目で他の炭酸水製造器とは明らかに違うが、気にせず炭酸の製造に進もう。

 キリツボでは炭酸を製造する重曹とクエン酸を反応させて二酸化炭素を発生させる。まずは二つの粉末が入った側のペットボトルを振って反応させる。炭酸が出て圧力が高まってきたら、今度は水の入ったペットボトル側を振って炭酸を溶け込ませる。ある程度振って溶けこませたところでキリツボに付いた弁を少しずつ開いて圧力を逃がしてから、ペットボトルを外して完成だ。

常温で作ったがおいしい炭酸ができた

 手順を長々と書いたところで気が付いた方もいらっしゃるかもしれないが、ガスボンベ式の炭酸水製造器に比べると1本(500ml)の炭酸水を作るのにも結構な手間と時間がかかる。

 メーカーのサイトでは複数のフィルターとペットボトルを用意してまとめて作ることによって1本当たりの手間を減らすことを勧めているが、キリツボを振る手間はけっこうなものだし、洗浄の手間もある。

 それでも筆者がキリツボをお勧めするのは、コストの低さとゴミが出ないこと以外にも、炭酸を製造する工程の面白さにある。自分で炭酸を作っているなという感覚がとても面白いのだ。水の温度や量で反応の具合は変わるので経験を積んで最適値を出していくことや、いろいろな飲料に炭酸を入れるのも楽しめることだろう。

 気兼ねなく炭酸水が飲めるとなれば暑い夏も少しは快適に過ごせるだろう。多少手間をかけても遠慮なく飲みたい方におすすめの一品だ。

製品名販売元購入価格
キリツボ 炭酸製造用キット(高級グレード)KIRITSUBO9500円(税込)