Eye-Fi X2にダイレクトモードがキたッ!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


Eye-Fi X2にダイレクトモードがキたッ!!

 知る人ぞ知る超便利なSDメモリカードことEye-Fi。Wi-Fi内蔵のSDメモリカードで、デジカメに「撮った写真をワイヤレスで転送する機能」を追加してくれる製品だ。

アイファイジャパンのEye-Fiカード。デジカメで使えるSD/SDHCメモリカードで、撮影した写真などを自動的にクラウドやPCにアップロードできる。現行製品はEye-Fi X2と呼ばれる世代で、3種類ある

 以前にも書いたが、Eye-FiカードはフツーのデジカメをWi-Fi(無線LAN)対応にしちまうという、かなり斬新&強力なアイテム。登場当初からデジカメユーザーの間で話題を呼んだが、現在もなおその利便は健在だ。ちなみにEye-Fiカードの現行機種は上の写真のEye-Fi X2シリーズと呼ばれる3機種。各機種の違いはココで一覧できる。

 で、つい最近、このEye-Fi X2シリーズに熱いファームウェアアップデートがリリースされ、ダイレクトモードと呼ばれる機能が追加されたのだ。また同時に、ダイレクトモードを利用できるスマートフォン用アプリの配布も始まった。

 このダイレクトモードを使うとどうなるか? 大雑把に言うと、Eye-Fi X2カードを入れたデジカメで撮影すると、撮った写真がスマートフォン(Android端末やiPhoneなど)に自動転送されるのだ。

 すなわち!! 高性能なデジカメをスマホ用のカメラとして活用できたりしちゃう!! スマホをデジカメの無線ストレージ&画像ビューワ的に利用できちゃう!! スマホでブログとかSNS使ってる場合、スマホのなーんかイマイチな写真じゃなくて、デジカメ専用機の美しい写真をネットにアップしたりもできるのである!! キャー素敵っ♪

 てなわけで今回はEye-Fi X2カードについて。Eye-Fi X2カードの基本的な機能や使い方をおさらいしつつ、新たに加わったダイレクトモードの使用感などをレポートしてみたい。

 

Eye-Fi X2カードって何がデキるの?

 Eye-Fi X2カードは、SDHCメモリカードにWi-Fi機能が加わったもの。撮った写真を無線LAN経由で自動的に転送し、写真共有サービスやPC上に画像を転送することができる。「撮ったらすぐネット上に送りたい」「撮ったら即パソコン上で画像を使いたい」てな要望に真っ向から対応したWi-Fi機能付きSDHCカードなんですな。モバイルWi-Fiルーターが普及している現在、さらに利用価値が増したEye-Fi X2カードとも言えよう。

 たとえばネット上のサービスなら、Evernote、Facebook、Picasaなどをはじめとする有名どころの各種サイトを使える。つまり撮った写真などを自動的にそれらサービスへとアップロードできるわけだ。あるいはPC上の特定のフォルダへ画像などを自動転送することもできる。

有名どころのオンライン写真サービスに対応。これらサービスに対して、撮った写真を自動的にアップロードできるのだ動画にも対応。YouTubeなどのオンライン動画サイトへ、デジカメで撮影した動画を自動的にアップロードできるんですな特定のPCに静止画/RAW静止画/動画を自動転送することもできる。転送先フォルダを細かく指定することもできる

 自動転送とか無線LANとかなると設定などが面倒な予感だが、しかし、そのあたりが非常に容易なのがEye-Fiカードの良いところ。現行機種のEye-Fi X2カードの設定も非常にラクだ。

 Eye-Fi X2カードのセットアップに必要なものは、USBポートを持つPC(Windows XP/Vista/もしくはMac OS X 10.5以降)と、ブロードバンドにつながった無線LAN環境。Eye-Fi X2製品パッケージにはカードおよびUSB接続のカードリーダーが入っており、Eye-Fi X2カード内には「Eye-Fi Center」などをセットアップするためのソフトウェア一式が収められている。

 ので、要は無線LAN環境でパソコンにEye-Fi X2カードをUSB接続して、インストールしつつウィザードに従って操作していけば、準備完了。ほとんどのケースで、恐らく全然ハマることなく、セットアップを済ませられると思う。

 以下にセットアップ手順のスクリーンショットを掲載してみよう。実際はもう少々細かなステップがあるが、おおむね以下のような作業となる。

これはEye-Fi X2カードのパッケージ。拙者はEye-Fi Pro X2 8GBを使用中。以降、Eye-Fi Pro X2 8GBを例にとって見ていこうパッケージに含まれるのはEye-Fi X2カードとUSBカードリーダー。このほか、わかりやすいセットアップガイドも付属しているEye-Fi X2カード内には必要なソフトウェアが入っている。ので、カードをPCに接続し、ソフトウェアを起動してセットアップ開始

 

ウィザードに従ってクリックしていく。ときどき、アップデートなどのリコメンドが表示される。御意。アップデートしちゃうのだネットワーク外部からコンピュータにアクセスするので、ファイヤウォール関連の警告が出ることがある。その場合の対処法の表示こんな警告ダイアログが表示されることがあるわけですな。このような場合[ブロックを解除する]をクリックして作業を進める

 

全体的にインストーラ(Eye-Fi helper)がアレコレやってくれる。ので、ユーザーは基本的に選んだりクリックしたりするだけだEye-Fi X2カード利用にはアカウントが必要。なければ新規登録。既にEye-Fiカードユーザーなら手持ちのアカウントを入力するEye-Fi X2カードのファームウェアが古い場合は、その旨をソフトウェア(Eye-Fi Center)が指摘してくれる。のでアップデート

 

引き続き、どの無線LANを使うかを指定。PCにつないだEye-Fi X2カードが無線LANを検知したのでそれを選択。手動入力も可能Eye-Fiサーバーにも画像を保存すると、ネットに接続できさえすれば画像を表示/共有/ダウンロードできる写真や動画の共有サイトの指定/設定も行えるが、後回しにしてもよい。Eye-Fi X2カードは非常に多くのサイトで使える

 

セットアップ完了時のテスト。「Eye-Fi X2カードをデジカメに入れて自分撮りしてみなはれ」との指示が。そうしてみた自分撮り写真が無線LAN経由でPC上に転送された!! 撮れば即、パソコンに自動転送されちゃうなんて、すニャらしい~!!セットアップ完了。以降、設定変更などはEye-Fi Centerソフトウェアを使って行う。複数枚のEye-Fiカードも一括して扱える

 

 なお、Eye-Fi X2カードを含むEye-Fiカードは、最終的に無線LANアクセスポイントがある場所に持っていかないと、その真価を発揮できない。アタリマエですけど、無線LAN経由で静止画や動画などを指定したサービスなどにアップロードする必要があるんですな。

 ただし、常に無線LAN環境で使わなければならないという話ではない。無線LAN環境がなければ、Eye-Fiカードは単なるSD/SDHCカードとして機能する。撮れば撮っただけ、SD/SDHCカード内に写真などが保存される。で、無線LANが利用可能なエリアに入ったら、無線LAN経由でネットにつないで写真などを自動転送する。

 ちなみに接続する無線LAN(アクセスポイント)は最大32個まで登録できる。ただし、事前にEye-Fi Centerソフトウェアを使って設定しておく必要がある。

 

デジカメ→スマホへと直接画像を送信

 前述の使い方だけでも十分便利なEye-Fi X2カード。たとえばPCへの画像自動転送だと、自宅などでのスナップ撮影とかブツ撮りが超快適化しますな。要は撮れば間もなくPC上に画像が現れるのだ。SDカード抜き差しやUSBケーブル接続などは必要ナシ。撮った直後に大画面上で画像精査するのも現実的。使い方によっては、デジカメをスキャナ的に活用することもできるだろう。

 写真を画像共有サイトにアップロードしまくりの人なら、いちいちPCを介さず、自動的かつ直接的に、常用のサイトへ画像を送れる。画像などはローカルよりむしろクラウドに、という指向のユーザーにとっては役立ちまくりのEye-Fi X2カードだと思う。

 そしてこれらとは別の新たな機能として、ダイレクトモードが加わった。これは、Eye-Fi X2カードが無線LANアクセスポイントとなり(SSIDを生成し)、スマートフォンでアクセスできるようになるというもの。結果、スマホ側の専用アプリが、デジカメ内のEye-Fi X2カードにアクセスし、画像をスマホへとコピーするなどしてくれる。つまり、デジカメ→スマホへの直接的な画像転送が可能になる。

 ダイレクトモードを使うには、最新ファームウェアにアップデートしたEye-Fi X2カード、対応スマートフォンなどモバイルデバイス、そしてそのモバイルデバイス用の専用アプリが必要。また、ダイレクトモードの設定には前述のEye-Fi Centerソフトウェアを使う。

 ダイレクトモードが使えるスマートフォンなどデバイスは、iOS 4.0以降のiPhone/iPod touch/iPadと、Android2.1以上を搭載したAndroid端末となる。各アプリの名称は「Eye-Fi」で、iOS用アプリはこちら、Android用アプリはこちら

 で、早速使ってみちゃう拙者だが、まずはEye-Fi X2カードの設定をば。前述のインストールで既にEye-Fi X2カードのファームウェアを最新のものにアップデートしたので、あとはEye-Fi X2カードがダイレクトモードで動作するように設定するだけ。Eye-Fi Centerソフトウェアを使って設定する。結果、カンタンであった。

PCにEye-Fi X2カードを挿し、Eye-Fi Centerソフトウェアを起動し、[ネットワーク]→[ダイレクトモード]で設定していく設定していくってゅーか[ダイレクトモードを有効にする]を選んで[保存]するだけ。カードを挿した時点でSSIDなどが生成される引き続き(そのまま)iPhoneとかAndroid端末とかからEye-Fi X2カードにアクセスしてEye-Fi X2カード用ネットワーク接続を追加する。

 このようにダイレクトモードを有効にし、iPhone/iPod touch/iPadもしくはAndroid端末のネットワーク設定から、無線LANアクセスポイント化したEye-Fi X2カードにつなぐだけですな。モバイルデバイスから一度Eye-Fi X2カードに接続したら(つまりネットワーク接続設定を新たに追加し終えたら)、Eye-Fi X2カードをPCから抜き、これをデジカメに入れる。

 次はモバイルデバイス側の操作。ここではiPhone 4を例に試してみよう。Eye-Fiアプリをインストールしたら、アカウント情報を入力したり、対象となるカードなどを設定したりする。

iPhone 4に対応するEye-Fiアプリを起動したところ。初回では、Eye-Fiアカウントでログインする必要があるログイン中対象となるEye-Fi X2カードを指定する。2枚見えているのは、拙者アカウントにカードを2枚登録しているから

 

どの種類のファイルをアプリに転送するかも選べるアプリのホーム的画面。写真はまだ未撮影状態Wi-Fi接続情報。Eye-Fi X2カードがアクセスポイントに

 以上で準備完了。あとは撮影するだけですな。Eye-Fi X2カードで撮影し、iPhone 4側でEye-Fiアプリが起動していれば、間もなくデジカメ→iPhone 4への自動画像転送が行われる。次々と写真を撮れば、転送も次々と行われる。

写真を撮った直後のEye-Fiアプリの様子。画面下に転送状態を表示させることもできる。5MB程度の写真が1~2秒で転送される感じこんな感じで、写真を撮れば逐一iPhone 4に転送される。アプリ内では撮影した順に写真のサムネイルが並んでいくEye-Fiアプリを使った写真の保存先は、単純にカメラロール内であるもよう。以降、写真のコピー&ペーストなどは自由に行える

 こんなふうに、セットアップや設定が終われば、iPhone 4とデジカメが無線で直結されたような感覚で利用できる。撮ればすぐにiPhone 4上に画像が出現……ていうかコレだよ!! コレがやりたかったんだよ俺は!! とか声を上げちゃいましたマジで。

 なお、撮影時にiPhone 4上でEye-Fiアプリを起動しておく必要はない。起動しておけば撮影後に逐一画像が転送されてサイバーであり未来な感じであり愉快だが、あとで休憩時などにデジカメおよびEye-Fiアプリをいっしょに起動すれば、撮影した写真がまとめて転送される。

 デジカメからiPhone 4などのモバイルデバイスにダイレクトで写真を転送できちゃうとなると……これはイロイロと夢が広がるわけですな。第一無線で転送ってんだからラクだし手っ取り早い。画質はデジカメ依存。ていうかデジカメ次第でいくらでも高画質。非常に美しい写真をiPhone 4などのモバイルデバイスで扱えるのはじつに有り難い。

 ただ、状況によっては一手間かかる場合がある。たとえば公衆無線LANホットスポットとか、自宅でいつも使っている無線LANネットワークに、モバイルデバイスが接続しているとき。これらネットワークよりもダイレクトモードのほうが接続優先順位が低いので、デジカメ→モバイルデバイスへの自動転送を行いたい場合、モバイルデバイス側で接続先を手動変更する必要が出てきたりする。

 また、拙者環境ではナゼか、ときどき、Eye-Fiアプリ上での接続先(Eye-Fi X2カード指定)設定がオフになっちゃってたり。結果、自動転送が行われないので、再度アプリ上で接続先設定を行う必要が出たりする。……でもまあ、「たま~にプチ面倒な状態になるEye-Fi X2カードのダイレクトモード」てなコトを頭に入れておけば混乱しないと思われる。

 少々残念だったのは、拙者手持ちの4台のデジカメのうち、Eye-Fi X2カードが使えたのは2台のみだったという点。具体的には、パナソニックのLUMIX DMC-FT2とLUMIX DMC-GH1、キヤノンのEOS-5D MarkII、カシオのEXILIM EX-ZR10で試したが、Eye-Fi X2カードが使えたのはパナソニックの2機種のみ。

 キヤノンのEOS-5D MarkII(SDカード/CFカードアダプタ使用)ではカードのフォーマットを要求されたがフォーマット不能であった。カシオのEXILIM EX-ZR10ではカード異常のエラーが出て使用不能だった。ちなみに、Eye-Fi X2カード対応デジカメはココ(http://www.eyefi.jp/support/faq/is-the-eye-fi-card-compatible-with-my-camera/)で調べられる。カシオのEXILIM EX-ZR10にはもともと非対応のEye-Fi X2カードみたいですな。

 ともあれ、iPhoneやAndroidなどのモバイルデバイスへ、デジカメから直接写真を転送できるようにしてしまう、けっこー画期的とも言えるEye-Fi X2カードのダイレクトモード。ダイレクトモード以外の機能も実用的だったりするので、デジカメとナニカを無線で接続できたらナ~と思っているならゼヒ一度チェックしてみてほしい。

2011/4/25 06:00