持ち歩き楽勝!! の最新ScanSnap S1100

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


持ち歩き楽勝!! の最新ScanSnap S1100

 今回のネタはPFUのScanSnapシリーズの最新型となるS1100。PFUのScanSnapシリーズと言えば“自炊派”におなじみの高速ドキュメントスキャナだが、このS1100はちょいと方向性が違う。ドキュメントスキャナではあるが、速さよりも手軽さ~モバイル性を重視した製品となる。

PFUのScanSnap S1100。ScanSnapシリーズのなか最もコンパクトな機種だ。PFUダイレクト価格は1万7800円、「楽2ライブラリパーソナルV5.0」セットモデルは2万2800円サイズは幅273×奥行き47.5×高さ34mm、質量は350g。片手でも余裕で持ち歩けるサイズ/質量だ。コンパクトサイズのS1300と比べると、容積/質量とも1/4以下

 ほぼ1年前の2009年11月21日、小型のScanSnapとなるS1300が発売された。このS1300は、上位機種のS1500と比べるとスキャン速度(最速でも毎分8枚/16面)は遅いものの、そのコンパクトさ~イザとなればUSBバスパワー駆動(USBポート×2使用)も可能など、汎用性の高さが魅力の機種だ。

 そしてそれから約1年後の現在、さらに小型となるS1100が登場。実機を目前にすると、も~その冗談みたいなサイズが新鮮である。これなら一応じゃなくて楽勝でモバイルできるゼ!! と。

上から、S1500、S1300、S1100。S1500やS1300を見たことがあれば、S1100がいかに小さいかわかるだろうA4の紙を差し込んだところ。A4用紙の短辺の長さ+少々が、S1100の横幅なのであった一般的なサイズの名刺を差し込んだところ。S1100の奥行きは名刺の短辺長さより短い
S1100左側面。電源はUSBバスパワーのみ。もちろん、PC側のUSBポートを1基のみ使うモバイル系ノートPCと比べてみるとこんなサイズ。ノートPC用のバッテリーみたいなサイズですな質量は350gなので余裕で持ち運べる。「ノートPCでモバイルして書類をスキャン」というのも現実的だ

 すげぇ小さい!! しかも電源はUSBバスパワーのみという割り切りよう。前述のS1300はUSBポート×2を使ってのUSBバスパワー駆動だったが、S1100はUSBポート×1でしっかり駆動する。ACアダプタ不要で、モバイルユースにも手軽なチョイ使いにも向く新型って感じですな。ともあれ、以降、新型ScanSnap S1100の使用感などを見ていきたい。

片面スキャンだが毎分8面のスキャン速度は実用的

 スゲく小せぇッ!! とS1100にプチ興奮した拙者だが、スペックを一望したらプチ絶望した。というのは、S1100はほかのScanSnapシリーズと違って“ドキュメントの片面しかスキャンできない”のであった。また、複数枚のドキュメントをセットできないっつーか、要は1枚ずつ手差しでドキュメントをスキャンする“1枚送り機”なんであった。

 イヤ~ン!! 1枚ずつ手差し&片面ずつぅ~!? ScanSnapの名は付いてるけどビミョーに地味なスキャナかも~!! とか思ったのは事実だが、実際に使ってみたら「これなら使える」と思ったのも事実であった。

 てのはまず、USBバスパワー駆動でありながら、まずまず快適な速度でスキャンできること。実際の読み取り速度は、A4サイズドキュメントで毎分8枚に相当する7.5秒/枚。片面読み込みなので、毎分8面の読み取りが可能だ。

S1100は片面読み取りの1枚送りドキュメントスキャナ。ほかのScanSnapのように両面スキャン/複数枚原稿対応のADFといった機構ではなくなった機能的にはほかのScanSnapシリーズより見劣りするものの、USBケーブル1本で接続して使えるのは激快適。スキャン速度もまずまず実用的だUSBポートはS1100本体に向かって左側側面にある。ノートPCのキーボード手前に置いた場合、わりと扱いやすいUSBポート位置と言えよう

 前述のS1300の場合、USBバスパワー駆動時だと毎分2枚。両面同時スキャンできるので毎分4面。面数だけで言えばS1100はその倍の速度でスキャンできるようになった。枚数なら4倍速。まあ作業中に手差しで原稿を挿入するという小さな手間はあるが、1年で但し書きナシのUSBバスパワー駆動となりかつスキャン速度も大幅に高まったのはそーとーの進化だと思う。

 また、実際にスキャンさせたときの速度的な印象だが、ぶっちゃけ、自炊するとか山積みの資料を読み込むというのにはあまり向かない。速度的にはまあまあイケそうな感じだが、枚数が多いと手差しの手間が少々タイヘンに。

 でも、4~5枚のドキュメントなどをスキャンする程度なら手差しの手間もストレスには感じない。時間的にも、手差しの作業時間を含めても1分で済んじゃう作業。本体に原稿の端を差し込むとギッと自動セットのための引き込み動作を行ってくれる実用性も含め、多くない枚数のスキャンならS1100の使用感&速度でも大きな問題はないと感じた。

 なお、S1100には連続して原稿を読み込ませることができる「連送給紙機能」(Scanボタンを押すまで連続原稿として読み取りを継続する機能)があり、両面や複数枚の原稿でも手軽にスキャンできる。複数枚のドキュメントでもフツーにヒトツのPDFへとまとめられるわけですな。

 スキャン速度まで含めての使い勝手的な印象としては、手持ちの本を電子化するとか毎日けっこーな量のドキュメントが発生するとかって人でなければ、S1100はスッキリとシンプルにかつ手軽に使えてイイんじゃなかろうか。価格的にも手を出しやすいので、ライトユーザー全般にオススメな気が。

ScanSnap S1500。PFUダイレクト価格は4万9,800円。毎分20枚/40面のスキャンが可能な高速タイプ。書籍の電子化やオフィスユースならコレが定番ScanSnap S1300。PFUダイレクト価格は2万7,800円。毎分8枚/16面のスキャンが可能。USBバスパワー駆動(USBポート×2使用)にも対応したコンパクトタイプ。原稿搭載枚数は最大10枚ScanSnap S1100。PFUダイレクト価格は1万7,800円。毎分8枚/8面のスキャンが可能。片面スキャンで原稿は1枚ずつ手差しとなる。ライトなパーソナルユースにイイ感じ

 ScanSnapの現行機種を並べると上記のとおり、わりとハッキリと性格分けされる感じですな。何でも快適にこなせる定番的据え置き機がS1500。廉価&据え置き主体で使う感じのS1300。モバイル重視~ヘビーではないパーソナルユース向きのS1100てな感じだろうか。

いろんな原稿をスキャン~プラ製カードもOK

 実際にS1100を使ってみると、ちょい使いのドキュメントスキャナとしてヒッジョーに手軽で役立つ感じ。それは前述のように超小型なので、全然邪魔にならないことがまずある。完全にUSBバスパワー駆動なので、ACアダプタ的な邪魔物体が存在しないってのも大きい。

 それらに加え、そーとーイイ感じなのが、原稿のフィード機構。手前から向こうへ送ることも、手前から送って上方に原稿を戻させることもできる。

 手前から奥に送るフィードスタイルなら、一般的な全ての原稿に加え、クレジットカードなどの硬質なプラスチックカード類も問題なくスキャンできるってのがイカス。

 手前から送って上に排紙するフィードスタイルなら、S1100後方に障害物がある場合でもA4など大きめの原稿を問題なくスキャンできて便利だ。たとえばディスプレイの真ん前とか、ほか周辺機器のすぐ手前にS1100を置いて使うのも現実的だ。

S1100を閉じた状態=電源がオフの状態。実際の使用時には本体左側からUSBケーブルが出ることになる手前のカバーを開くと電源オン。このカバーの部分から原稿が送られ、奥に排紙される上部のカバーを開くと、原稿が上方向に排紙される
上部への排紙は、本体の向こうにスペースがない場所で便利小さく柔らかい原稿は上部排紙にすると受け取りやすくて快適だ。でも、ナゼ、レシート? 詳細は後述する上部カバーを閉じた状態だと、原稿がこのように本体の向こうに排紙される
折り曲がりを作りたくないような原稿は、本体の向こうに排紙するのがいいですな折れない原稿も本体向こうに排紙。クレジットカード程度の厚さなら余裕でスキャンできる手持ちのETCカードをスキャンしてみた。参照用のコピーとしてカード類をスキャンするのもいいですな

 てな感じで、もしかするとS1100は各上位機種よりも汎用性が高いかもしれない。カード類をスキャンできるのも便利ですな。紛失や参照に備えてカード類の画像コピーとしてスキャン結果を保存しておけば、カードのゲンブツを無くしたときに役立つかもしれない。またコレ、身分証明書のコピーを取るような業務用途でかなり役立ちそーでもある。

便利な付属ソフト、クラウド連携も可能に

 ScanSnapでスキャンしたドキュメントは、あらかじめインストールされたドライバおよび付属ソフトウェア類により、けっこー楽勝で処理できる。たとえば何かドキュメントをスキャンした直後、そのドキュメントをどのソフトで扱うかはワンクリックで指定できる。

ScanSnapで何らかのスキャンを行うと、このようなウィンドウが表示され、スキャン結果をどのソフトウェアで扱うかなどを指定できる。これはS1100に限らずほかの機種でも同様だ[このコンピュータに保存]を選び、ドキュメントをPDFとして保存した。PDFはAdobeのビューワでも扱えるが、付属の「ScanSnap Organizer」で扱うと分類も閲覧も快適に行える名刺をスキャンして[名刺ファイリングOCR]を選ぶと、「名刺ファイリングOCR」ソフトウェアで名刺を効率良く管理できる。このソフトからOutlookなどへデータのエクスポートも可能だ

 てな感じで付属ソフトを使って各種ドキュメントを効率的に管理&閲覧することができる。「ScanSnap Organizer」はPDFを一括して扱ったりサムネイル表示させたりするのに便利だし、「名刺ファイリングOCR」は文字通り名刺のスキャン~アドレス情報(名刺上の文字)の自動認識に大活躍してくれる。

 そう、OCRと言えば、新たに加わった付属ソフトの「やさしく家計簿エントリー for ScanSnap」。これを使うと手軽に家計簿作成ができそうだ。レシートのスキャン結果を「やさしく家計簿エントリーfor ScanSnap」に読み込ませると、レシート上の文字や数字を自動認識して、家計簿の当該欄に自動入力してくれる。

付属の「やさしく家計簿エントリーfor ScanSnap」を使うと、レシートなどをスキャンして手軽に家計簿を付けられる。金額や項目などのOCRにも対応している。認識率もまずまずレシートによってはこのようにOCRの誤認識が多いことも。ただ、金額部分のOCR認識率は意外なほど高いような印象だ。それだけでも家計簿付け作業がラクになりそうですなAmazonのレシート(というか明細書)を読み込ませてみた。情報量が多いからか、誤認識は多かったが製品名や金額などの肝心なところはシッカリと認識してくれた

 てな感じの「やさしく家計簿エントリーfor ScanSnap」。レシートという、レイアウトが独特だったり印字結果がイマイチだったりするドキュメントを扱うためか、誤認識も少なくない。が、全て手入力の家計簿作成よりはずっとラクそうだ。拙者は家計簿作りは考えていないが、その気のある人には一考の価値アリのScanSnap S1100&付属ソフト「やさしく家計簿エントリーfor ScanSnap」かもしれない。

 それから、ドライバの新機能としてクラウドサービスとの連携が可能になった。使えるクラウドサービスは「Evernote」、「Googleドキュメント」、「Salesforce CRM」となる。このうち一般ユーザーにとって身近なのは「Evernote」と「Googleドキュメント」ですな。

 具体的にどう連携するかと言うと、単純に、S1100などScanSnapでスキャンしたドキュメントを、ダイレクトにEvernoteやGoogleドキュメントにアップロードしてくれるというものだ。双方試してみたが、どちらも非常に手軽にアップロードできた。

書類をスキャン後、[Googleドキュメントに保存]を選ぶGoogleドキュメントのアカウントを入力すればスキャンした書類を自動的にアップロードしてくれるウェブブラウザでGoogleドキュメントへアクセス。スキャンした書類が問題なく読めた
今度は[ドキュメントをEvernoteに保存]を選んでみたEvernoteアカウント入力後、同様に自動的にアップロードが完了したアップロードされたドキュメントは問題なく読めた

 スキャンしたドキュメントは基本的にクラウドで活用、クラウドで共有、モバイル端末でクラウドにアクセスして閲覧、てな使い方をする人にとっては、ローカルPCへ保存したファイルを手動でクラウドにアップロードする手間が省けて超便利かもしれない。

 てな感じのScanSnap S1100。ぶっちゃけた話、ScanSnapと言えば誰でも思い浮かべる「超高速な両面同時スキャン」という機能は一切ナシではある。しかし、いつでもどこでも手軽に使える汎用性、それから付属ソフトウェアの利便などまで考えれば、PFUダイレクト価格で1万7800円ってのはかなり魅力的。常用できるドキュメントスキャナを探している人は、一度しっかりチェックしてみるといいだろう。



2010/11/15 11:00