みんなのケータイ

内蔵チューナーで「ワイドFM」を聞ける? 聞けない?

【Moto G4 Plus】

 Moto G4 Plusは標準でFMラジオチューナーを備えています。海外製品を中心になぜかFMラジオが聞けるという製品は意外と多くて、例えばiPod nanoですとか、ソニーのICボイスレコーダーあたりが該当します。この連載でもチョイチョイ触れているように、筆者は結構ラジオを聞く方なものですから、Moto G4 Plusでも有り難く使っております。

Moto G4 PlusでFM放送を受信する際に使うアプリ。周波数の上部に表示された赤丸部分が受信感度を示す
放送局の周波数をプリセットしておける。チャンネル名は手入力しました

 そのラジオですが、エキサイティングな動きがここ1年ほどの間に続いています。その筆頭は10月に「Radiko(ラジコ)」でスタートしたタイムフリーの実証実験。NHKを除く民放各局の施策ではありますが、AM/FMでの放送後1週間は無料かつユーザー登録不要で番組をオンデマンド聴取できるようになりました。実際には細かな機能制限があるとはいえ、“ラジオ全録機”がタダ同然で使えるわけですから、極めて意義の大きいサービスです。筆者の場合、このタイムフリーで深夜26時ごろに前日のプロ野球クライマックスシリーズ実況を聞いたときは「アメージング!」「センス・オブ・ワンダー!」と叫びそうになりました。

本題とは外れますが、Radikoのタイムフリーは相当凄い
注意点として、1度タイムフリー再生した番組は3時間後には聴取できなくなる。トータル3時間分の再生後ではなく、あくまでも再生実行ボタンを押してから3時間後がデッドライン

 そしてもう1つが2015年12月に始動した「ワイドFM(FM中継補完局)」。これまでAM放送を実施していた一部民放局が、FMでも同一番組を放送してくれるようになりました。東京近郊だとTBS、文化放送、ニッポン放送が実施しています。ただし、周波数帯が既存のものと微妙に異なるため、ラジオによっては受信できないケースがあります。例えば、我が家のマイカーのカーラジオでは聞けません。2~3年前に交換したばっかりなのに……。

 さて前置きが長くなりましたが、Moto G4 Plusの内蔵チューナーはあくまでも電波を捕まえる方式。このため、イヤホンをアンテナ代わりに接続する必要があります。

 実際の聴取には、プリインストールされている「Motorola FMラジオ」アプリを使います。アプリ自体はGoogle Playストアにも登録されていますが、当該端末にしかインストールできません。

 アプリ自体はかなりシンプルですが、手動チューニング、一括スキャンによるチャンネル登録、お気に入り指定、スリープタイマーなど、搭載機能は必要にして十分。録音もできますが、タイマー予約非対応なので、今聞いている部分をメモ代わりに保存しておく以上の用途はちょっと難しいでしょう。それと電子番組表の概念もありません。

 受信感度については、あくまでも主観ではありますが、これが結構よく聞こえるんですよね。伸縮式ロッドアンテナよりも向きの調整が柔軟なケーブルアンテナだからか? それとも受信用チップの性能なのか? そのあたりははっきりと切り分けできていませんが、総じて都心部の建物内での受信感度が良い印象なので、とにもかくにも電波環境が抜群だっただけかも?

 本記事のタイトルにしましたが、結局のところMoto G4 PlusでワイドFM局は聞けるのでしょうか? 正解は「一応聞ける」。なかなか微妙な表現ですが、アプリの設定で「(放送局の)地域」を「日本」にしていてはダメ。「日本」を選んだ状態では75.5~90.0MHzの範囲でしかチューニングできず、ワイドFMでおもに使われる90.1~95.0MHzのチャンネルを受信できないのです。もちろんTOKYO FM(80.0MHz)とかJ-WAVE(81.3MHz)といった本来のFM局はこの状態で問題なく聴取できます。

日本以外の国の設定は豊富にありますが、ほとんどは88~108MHzがチューニング範囲

 じゃあ絶対ダメなのかというと、それも間違い。地域設定を日本以外にすれば該当帯域を聞けるのです。例えば「ヨーロッパ」を指定すると、87.5~108MHzがチューニング範囲になります。ですから90.5MHzのTBS、91.6MHzの文化放送、93.0MHzのニッポン放送に合わせられるし、実際に聞けます。

 問題は、この設定を変えるたびに周波数プリセットがリセットされること。手間を考えると、愛聴しているチャンネルに応じて設定を固定しておかざるを得ません。ここだけでも、アプリのアップデートで改善してくれればいいのですが……。

このようにお気に入り設定しておけば、ワイドFM選局も簡単
せめて設定変更のたびにプリセットが破棄されなければいいのだが……

 こうやって要望をクドクド書きますと「御託はいいからRadikoで聞け」とのお叱りも受けそうですが、そこはやはり電波には電波のメリットがあると思うわけです。その筆頭は災害対応でしょう。もちろん、放送局の送信設備が壊れて携帯電話の基地局が生きているというシチュエーションもあり得ますから、放送だけに依存するわけにはいきませんが、テレビも含めて情報入手経路を多様化させるに越したことはありません。

 あと、趣味的な話であれば「遅延」もあります。例えば、ラジオの実況中継を聞きながらスポーツを現地観戦する時、それこそ東京ドームでプロ野球・巨人戦を見る場合、Radikoだとタイムラグがありすぎて話になりません。見事ホームランを打った数秒~数十秒後に、歓喜の実況が追いつく訳ですから。これはまあエクストリームな野球ファン限定の事象ですが、「Radikoと電波ラジオ、どっちもいいね!」ということで一つよろしくお願いいたします。