DATAで見るケータイ業界
アクセスランキングから2015年のケータイ市場を振り返り、来年の動きを探る
(2015/12/25 12:00)
今年最後の更新となる今回の記事では、今年1年間の当コーナーにおける記事アクセスランキングから2015年を振り返りつつ、来年の動きを探っていきたい。
「DATAで見るケータイ業界」2015年アクセスランキング ランキング
注目集めた総務省施策、2016年はSIMロック解除本格始動と消費者保護強化へ
2015年は何と言っても総務省の施策に注目が集まった1年だった。安倍首相の値下げ指示を受けて立ち上げられたタスクフォースの議論の行方に大きな関心が寄せられたことは、当コーナーでの関連記事が4位と7位にランクインしたことからもうかがえる。料金値下げは消費者メリットになり得るが、買い替えサイクル長期化や販売奨励金の縮減は来年以降の端末販売にどのような影響を与えるのだろうか。
また、2位にランクインしたSIMロック解除は購入から6カ月経過後に解除可能となったため、来年3月にはいよいよ「iPhone 6s」のSIMロック解除が解禁となる(特定の条件に当てはまる利用者は既に解除可能)。
携帯販売店も施策の影響を大きく受けそうだ。クーリングオフの通信契約版とも言える初期契約解除は「お試しサービス」の拡充と引き替えに適用が猶予される可能性も残るが、「レ点ビジネス」とも呼ばれる各種オプションは、提供主体が販売代理店のものも含め契約時の書面交付の義務付けが検討されており、接客時間のさらなる長期化が予想される(なお、12月24日開催の「ICTサービス安心・安全研究会」にてさらなる議論が行われる予定のため、状況が変化する可能性があることをあらかじめお断りさせていただきます)。
キャリア間で続く高速化競争もPR方法に足かせ、セット割への「電力」追加も
キャリアの動きを取り上げた記事では、決算比較が3位、高速化が8位、契約数比較が9位となった。
高速化ではNTTドコモが11月から3波キャリアアグリゲーション(CA)で下り最大300Mbpsを実現、KDDIとソフトバンクも下り最大200Mbps超のサービスを展開している。来年以降、UQコミュニケーションズはCAと4×4 MIMOを組み合わせ下り最大440Mbps、NTTドコモは3.5GHz帯TD-LTEの導入で下り最大370Mbpsを目指すことを明らかにしている。ただし、設備投資に振り向けられる予算にも限界があるため、NFV/SDNも視野に効率化がより重視されるだろう。また、実効速度を対外的に記載する場合、今年決まったガイドラインに基づいた計測手法を用いるとともに一定幅での記載を求められており、従来に比べてアピールしにくくなっている。
3位の決算比較の記事でも触れたが、決済やポイントなどサービス事業への進出でキャリアの本業である携帯回線以外のビジネス展開が加速した年でもあった。2015年はNTT東西によるサービス卸の解禁で光回線と携帯とのセット販売が強く意識されたが、2016年は小売自由化となる電力もセットのラインナップに加わりそうだ。
これら非回線ビジネスへの注力は、MVNOとの競争激化の裏返しでもある。総務省は2016年にMVNO契約数を1500万まで拡大する目標を掲げており、MVNOへのデータベース開放などMVNO市場の拡大を後押しする施策は来年も継続が見込まれる。MVNO市場全体としては追い風だが、参入が相次いだことでMVNO事業者間の競争も厳しさを増している。優勝劣敗が色濃くなることも予測されよう。